第25話 忠誠度を目当てに義姉妹になるなど...
ディアマンテ女王国のゾウゲ市。 タバサ城の6階にある魔女王ナタリー・ディアマンテの執務室を、腹心の魔女メグ・マグパイが訪れていた。 ナタリーは黒檀の巨大な執務机を離れ、部屋の脇にある応接セットでメグと向かい合い座っている。
「セガワが領有していたコク州を併合した結果、我らディアマンテの兵力は1万増えて7万となる見込みです」
ナタリーは顔をしかめながら、口元に笑みを浮かべる。
「どうにかタバサ王国時代の兵力の6割ってところね」
不満と嬉しさが半々といったところだ。
メグは淡々と報告を続ける。
「魔女武将の増加は3人です。 セガワ陣営で参戦した武将の大部分はセガワに殉じて討ち死にし、投降したのは武力値76のイチゴノハラ・セツコだけ。 残る2人は留守居役としてセガワの領内に残っていた魔女であり、武力値は30台です」
「戦力として期待できないわね。 ―それはそうと、ド・レミー殿の忠誠値はどうなってる?」
「ナタリー様に対する忠誠度は現在64。 順調に上がっています。 ですが、フジワラノに対する忠誠度が依然として高い水準にあります」
1人の人間は複数の人物に対し忠誠心を抱き得る。 〈忠誠視〉の異能を持つ魔女は、会話により誰への忠誠かを明確にして忠誠度を視る。
「高い水準って、具体的には?」
「95です」
まるで下がっていない。 ナタリーは嘆息する。 フゥ。
「ド・レミー殿を完全に手中に収めるにはフジワラノを始末するしかないようね。 いつになることやら」
「そう悲観することもありません。 ナタリー様に対する忠誠度を100まで上げれば、ド・レミー殿はフジワラノよりナタリー様を優先します」
「でも、プレゼント攻勢はもう限界。 前回のプレゼントはあまり喜んでもらえなかった」
「名馬は3匹目でしたからね。 これ以上与えても喜ばないでしょう」
「困ったわ。 宝飾品は好きではないようだし...」
「お茶会で地道に親密度を上げるしかないでしょう」
「いっそド・レミー殿と義姉妹になろうかしら」
義姉妹になると、互いの忠誠度が100になる。 また、絶対に忠誠度が下がらない。
メグはきっぱりと反対する。
「お考え直しください。 忠誠度を目当てに義姉妹になるなど不純です。 武力値94程度の武将に、ナタリー様の貴重な義姉妹枠を使う価値があるとは思いませんし、あちらが義姉妹になりたがるとも限りません。 もっとナタリー様の義姉妹にふさわしい方が他にいるはずです」 あなたのすぐ近くに。
ナタリーはメグの勢いに気圧された。
「そ、そうね」
何故そんなに勢い込んで反対するの? あなた不純とか言い出すタイプだった? ナタリーは不思議に思ったが、メグの勢いの前に尋ねそびれた。




