第24話 感涙
マナミがベティーの上から降りてもベティーが動かないのを見て、スザンヌとマリカがマナミの所へやって来た。 ベティーが失神しているのを確認し、スザンヌがマナミの勝利を宣言する。
「この勝負、シュクガワ殿の勝利です」
見物していた魔女たちが集まってきて、二手に分かれる。一方は 意識を失い倒れているベティーに駆け寄った。
「パーカー殿!」「しっかりしてください!」
もう一方はスザンヌにクレームを付け始める。
「今のでシュクガワ殿の勝ちっておかしくない?」「パーカー殿が落馬したせいじゃん」「勝負をやり直すべきよ」
クレームを付けているのはディアマンテ女王国の魔女ばかり。 自国の一名将軍の敗北を認めたくない。
スザンヌは反論する。
「試合にアクシデントは付き物。 落馬が原因だろうと負けは負けです」
ディアマンテの魔女たちはスザンヌに詰め寄る。
「そんなのおかしいわ」「納得できない」「シュクガワ殿がテツナンドの魔女武将だから、依怙贔屓してるのではなくって?」「どこかの馬の骨にパーカー殿が負けるわけないじゃん」
「アクシデントじゃない。 私が魔法を使った」
マナミが声を上げ、ディアマンテの魔女たちが今度はマナミに詰め寄る。
「魔法?」「どんな?」「落馬させる魔法なんて無いわよ?」
「あいつの斧槍を〈重量変化〉の魔法で重くしたのさ」
魔女たちは容易に信じない。
「ウソでしょ」「あり得ない」
高速で動く相手の斧槍に合わせて〈重量変化〉の魔法を使うなんて。 そんな発想はなかった。 そもそも可能と思わない。 斧槍の動きを捉えられないし、そこまで素早く〈重量変化〉を発動できない。
「嘘じゃないよ。〈重量変化〉はマナミの得意技だ」
マリカが保証すると、疑念の声は鎮まった。 旧タバサ王国の魔女はマリカの実直さを知っている。 マリカの戦い方を卑怯と蔑む者も、マリカの誠実な人柄は認めている。 マキハタヤ殿が嘘じゃないと言うなら嘘ではない。 シュクガワ殿が落馬を引き起こしたのだ。
スザンヌ・グッドウィルは感激に目を潤ませている。
(結局、シュクガワ殿は運ではなく実力でパーカー殿に勝利した。 しかも、あんなに簡単に。 武力値93のパーカー殿を手玉に取ってしまうなら、シュクガワ殿の武力は90台後半? だとすれば、大国の一名将軍に匹敵する武力。 そのように強力な魔女が、とうとうテツナンド王国に来た。 それもマキハタヤ殿と一緒に)
(それにしても、問題は交換武将制度。 マキハタヤ殿はシュクガワ殿が交換に抵抗するようなことを言っていたけれど...)




