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魔女戦記  作者: 好きな言葉はタナボタ
第3章

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第22話 マナミの実力の底はまだ分からない

お茶会に出席していた面々はいったん解散し、サイバラ砦の内部に設けられた魔女用の訓練場に再集結した。 魔女が武芸の鍛錬に用いる、土の地面が剥き出しの運動場である。


訓練場にはマキハタヤ・マリカも来ていた。 着替えに戻ったマナミからベティーと一騎討ちすることになったと聞き、先ほどベティーにけなされたのに懲りずノコノコと顔を出した。


マリカの姿を見つけて、スザンヌ・グッドウィルが寄って来た。


「マキハタヤ殿、先ほどは申し訳ございません。 ホントにもう何と言って良いか―」


マリカは、いいよいいよとばかりに軽く手を振る。


「気にしないでいい。 グッドウィル殿に非は無い」


「そう言って頂けると気が楽になります。 どうか末永くテツナンド王国にご滞在ください」


マリカは苦笑する。


「実際、長い滞在になりそうだよ。 マナミがテツナンドに仕官してしまったからな」


「ハッ、まさかそのために―」


71の知力値でもってスザンヌは閃いた。 名将マキハタヤ・マリカをテツナンドに引き留めるため、テツナンドの魔女王がマナミを登用したのだ。 そう考えるなら、半人前の魔女が一名将軍に任じられた辻褄が合う。


「おおかたイナギリさんの差し金だろう」 フジワラノ殿が考えつくとは思えない。


「なるほど、イナギリ殿の...」


確かに、知勇兼備と称されるイナギリ・クルチアの策略と考えたほうがしっくり来る。 知力的にも気質的にも、テツナンド魔女王はこんなうまい手を思いつきそうにない。


「するとやはり、シュクガワ殿に一名将軍を張るだけの実力は無いのでしょうね」


なにしろ、修行の途中で国を逃げ出した魔女だ。 満足に魔法を使えないのでは?


ところがスザンヌの予期に反し、マリカは "無い" と明言しない。


「う~ん、どうかな。 そこそこ強いとは思うが... 一名将軍クラスと戦ったことがないから、マナミの実力の底はまだ分からない。 この勝負で分かるだろう」


スザンヌはマリカの言葉の裏を読んだ。


「すると、シュクガワ殿は四名将軍クラスにまでは勝ったことがあると?」


だとすれば、シュクガワ殿の武力値は80を確実に超えている。 また、もしこの試合でベティーに勝つなら、旧タバサやダナウェイ女王国といった大国の一名将軍に匹敵する武力の持ち主。 テツナンド王国に強力な武将が2人も同時に加入することになる。 スザンヌの期待はいやが上にも高まる。 凋落ちょうらくの一途を辿るテツナンド王国に転機が訪れたのかも知れない。


だがそこで、スザンヌはギクリとする。


(あ、違う)


ディアマンテ女王国との武将交換制度のことを思い出した。 シュクガワ殿がトップクラスの武力を持つなら、いや、たとえ武力値80台に過ぎなくとも、ディアマンテの魔女王ナタリー・ディアマンテは間違いなくシュクガワ殿を差し出せと要求してくる。 そしてシュクガワ殿がテツナンドを去るならマキハタヤ殿も去る。


軽やかだった心が重くなった。 スザンヌは沈んだ声でマリカに尋ねる。


「この勝負どちらが勝つにせよ、シュクガワ殿はディアマンテに出向することになります。 そのときマキハタヤ殿は...」 やっぱりシュクガワ殿の後を追ってディアマンテへ行ってしまうのですか?


「私は契約に縛られる身だからな。 マナミがディアマンテに出向しようと、1年間はテツナンドに留まるよ。 だが、そもそも―」


「そもそも?」


「マナミが大人しくディアマンテに出向するか怪しい。 マナミは随分とテツナンドに肩入れしている」


「あらあら、そうなんですね」


スザンヌのマナミへの好感度が大きくアップした。

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