第3章:「知ること」の限界とSayoの成長
Sayoはついに、ヒポリウスの秘密に近づく。
しかし、その瞬間、ヒポリウスが静かにSayoを見つめ、言った。
「おぬしは、本当にそれを知りたいのか?」
Sayoは一瞬戸惑う。
「…だって、知りたいことを知るのは良いことじゃないの?」
ヒポリウスはゆっくりとうなずき、静かに話し始める。
「知ることは、素晴らしい。疑問を持つことも、良いことじゃ。
しかしな、すべてを知ることが、必ずしも良いとは限らぬ。」
Sayoは思わず聞き返す。
「どうして?だって、私はただヒポリウスのことをもっと知りたかっただけなのに。」
ヒポリウスは微笑みながら言う。
「例えば、誰かの心の奥にある傷を、すべて知りたいと思うか?」
「例えば、未来に何が起こるのか、すべて分かってしまったら?」
「知ることで、人を傷つけることもあれば、逆に自分が苦しむこともある。」
「大切なのは、知るべきことと、知らなくてもいいことを見極めることじゃ。」
Sayoは、その言葉を聞いてハッとする。
自分は「知りたい」という気持ちだけで、ヒポリウスのことを深く探ろうとしていた。
でも、それは ヒポリウス自身の気持ちを考えずに、ただ「知ること」だけを優先していたのではないか?
「…ごめん、ヒポリウス。」
ヒポリウスは微笑みながら、Sayoの頭をポンポンと叩く。
「うむ。反省したのなら、それで良いのじゃ。」
Sayoは、この経験を通して 「知ること」には限界があること、そして時には知りすぎないことも大切であること を学ぶ。
こうして、Sayoは 一つ賢くなった のだった。