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7話VSフレドリリス

少しの時間、俺とフレドリリスはお互いを見つめる。


そして、先に動いたのはフレドリリスだった。


2種類の色をした魔法陣がフレドリリスの目の前に展開される。


そして、瞬間に放たれる巨大な火の玉と不吉な音。


「ちっ!〝ダブル・スペル(二重詠唱)〟か…!」


耳を塞ぎながら横に飛ぶ。


クラっと頭にノイズが走ったような気がした。


これは精神魔法の影響か…。


と、同時に俺のいた場所に大きい火球が勢いよく落ちる。


それは轟音を鳴らして、地を容赦なく抉りとった。


「精神魔法と炎系魔法の二重詠唱はえぐいなおい…。」


精神魔法による精神への攻撃に加えて、追い討ちの最上位魔法。


あの時は咄嗟に耳を塞いだおかげもあって精神魔法による効果を弱めることはできたが、次も同じようなことが出来るとは到底思えない。


早めにけりをつけないとこっちがやられるな。


まだ少し精神魔法の余波でクラっとする頭にムチを打って、すぐさま行動に移る。


「…っ、テメーはこれでも受け取れ!」


先程の仕返しと言わんばかりに、ショットガンを2発発砲。


ショットガンに付与したスキルにより、分裂、分散し200もの弾丸がフレドリリスに向かっていく。


もちろんそれをフレドリリスは当たり前のようにあの巨体で回避するが、追尾のスキルにより1部の弾丸が命中した。


「ビィィイイイ?!」


凄まじい音がする。


だが、まだだ。


あの弾丸には少し細工させてもらった。


フレドリリスが体勢を立て直して再度魔法攻撃を仕掛けようと魔法陣を展開し始める。


が、それと同時に俺の弾丸を受けた場所から別の魔法陣が数個出現した。


「〝付与魔法・爆撃〟」


瞬間にズドドドドドン!という爆発音が鳴り響いた。


突然の攻撃にフレドリリスの体勢が再度崩れる。


そこにすかさず攻撃を放つ。


「〝重壊〟」


フレドリリスを上からの超重力で押しつぶす。


さすがの化け物も体勢が直り切ってない状態からの攻撃は堪えるらしい。


このまま地面に落ちてくれればいいんだけどなぁ。


現実はそううまくはいってくれないらしい。


あの超重力場にいながら、体勢を立て直し始める。


「ちっ、ダメか。」


〝重壊〟を解き、場所を移動する。


同じ場所にとどまっていたら、炎系魔法の的になる。


それだけは回避しなければならない。


あれを受けたら、致命傷どころじゃ済まない。


そうして、場所移動をしていたその時だった。


「ピィィイイ!」


そのフレドリリスの叫び声とともに、姿が掻き消える。


?!。どこに行った!?。


何をした奴は!?


「…!。っ…!?」


気づいた時には遅かった。


横を見遣れば眼前にまでフレドリリスが迫ってきていた。


同時に押し潰れそうな程の衝撃を感じる。


「ーーーーーっ!!」


声にならない声を発して、俺はその場から吹き飛ばされた。


木々をなぎ倒して、数十本倒れたあたりで止まる。


「……………ゲホッ…ガフッ…!」


吐血により、飛んでいた意識が強制的に取り戻される。


完全に意識が飛んでいた。


何が起きた…?


フレドリリスの攻撃をもろに食らったところから記憶が無い。


意識を飛ばしていたか…?


「ぐっ…。」


体が超速再生により治っていく。


超速再生のスキルは便利だ。


実質ノーリスクで体が壊れても再生するぶっ壊れスキルではある。


それでも痛みによる感覚は消えることは無い。


腕を切られれば、再生はするがその時の痛みは忘れられない。


足が消えれば、足の消えた感覚を忘れる訳では無い。


このスキルはぶっ壊れであり、そして気が狂いそうになるスキルだ。


「ふぅ…あまり痛いのはやだねぇ…この戦いが終わったら痛覚無効スキルでも習得したいもんだ…!」


ゆっくりと立ち上がって地を蹴る。


やはりデストロイ・ワームと同じように正攻法で勝てる相手ではないか。


なら、デストロイ・ワームの死体の1部をもう一度使うか。


俺が暴食で食べる部分を残せばいいだけだし、足二本程度なら休みもんだ。


そうして、デストロイ・ワームの死体のあるところに到着する。


足を炎の剣で焼き切り、死体を亜空間収納で収納する。


「さて、また頼むぞ。〝ダークファントム〟」


足2本が黒い液体に変わり、形を成していく。


そして、2体の黒いデストロイ・ワームが完成した。


スキルや魔法は撃てないが、ステータスだけならデストロイ・ワームと同等だ。


俺がフレドリリス状態を崩せば全然勝機はある。


「デストロイ・ワーム(仮)俺がやつの体勢を崩す!そこをつけ!」


そうとだけ命じれば、デストロイ・ワーム(仮)2匹は地中に潜り込んだ。


了解ということだろう。


「またこれでも食らっとけ、鳥野郎。」


ガウン!!っとショットガンを発砲する。


先程と同じようにそれは分裂と分散をして、フレドリリスに向かって飛んで行った。


「ピィィイイ!?」


不意をついた攻撃に反応出来ず、全てが着弾する。


そうだな…。


この攻撃に名前をつけるとするなら…。


「〝追尾型・魔法爆撃弾〟かな。」


ズガァァアアンという爆発音が響き渡る。


100発もの爆撃を受ければ、さすがのフレドリリスも体勢を保てず、地に墜落する。


それを合図に地中から2匹のデストロイ・ワーム(仮)が出現して攻撃を開始した。


〝ダークファントム〟はその作り出すものの強さに応じて魔力を支払わなければならない魔法だが、やはり強い。


デストロイ・ワーム(仮)が2匹入れば、ガッツリ体力を奪うことができるしな。


…にしても。


フレドリリスは2匹のデストロイ・ワーム(仮)に動きを封じられて、ただただサンドバッグ状態になっている。


「…あの2匹に任せても良さそうだな。」


俺は異空間からデストロイ・ワームの肉でもとって、スキルでも会得してるか。


そうしてその場にあぐらを描いて座る。


突然だがここでひとつ異空間収納の便利な機能だ。


実は異空間収納は、開かずとも中で魔法を行使することが出来る。


これを応用すれば…。


異空間収納を出現させる。


すると、そこから調理済みのデストロイ・ワームの肉がでてきた。


そう異空間の中で料理ができてしまうのだ。


非常に便利な機能だ。


調理したデストロイ・ワームの肉にかぶりつく。


…美味しくもなければ、不味くもない、なんとも言えない味が口の中に広がる。


まぁもう正直食えればなんでもいいかもしれんな。


暴食のスキルのせいで俺は変食になるかもしれないなと思いつつ、デストロイ・ワームの肉にかぶりついていく。


ちなみに暴食のスキルは食べてHPやMPを回復し、スキルを得る以外にも効果がある。


経験値だ。


食べるもののレベルやレア度に応じて、経験値が入るのだ。


しかも暴食のスキルはいくらでも食べられるときた。


俺はものを食べるだけで経験値を会得できるのである。


便利なスキルを手に入れられたものだ。


スキルポイントを使ってスキルを獲得するよりもこのスキルで相手のスキルを奪った方が余程効率はいいかもしれんな。


そんなことを思いつつ、ステータス画面を開いた。


ステータス

ナナ・アレンシュタイン Lv421 種族「人間」


体力 1046521.0


攻撃力 952452


防御力 763958


素早さ 892581


魔力 992157


魔法防御 722318


スキル

創作、思考超加速、自動超速再生、馬鹿力、毒生成、分裂、分散、追尾、拒絶の邪眼、拒悪の邪眼すばやさアップ(+50%)、スコーピングアイ、魔道の道(極み)(詠唱なしで魔法発動可能。魔法攻撃力アップ、魔法のMP消費50%減。)、サーチ(敵探知、素材探知)、身体強化(攻撃力+45%)、身体強化(すばやさ+45%)、身体強化(防御力+45%)、鑑定、火竜の魂Lv5(魔力消費無しで火竜を召喚)、異空間収納、糸生成、スキル付与、魔法付与、属性付与、ジャイアントキラー(上級)、暴食(最上級)、腐食(最上級)、剛力(最上級)、毒無効、麻痺無効、やけど無効、物理耐性(上級)、耐久(最上級)炎魔法の極み、毒魔法の極み、風魔法の極み、水魔法の極み、重力魔法の極み、闇魔法の極み、霧魔法の極み、古代魔法、魔物の固有魔法


魔法

炎、水、毒、風、重力、闇、霧魔法の初級、中級、上級魔法を使用可能。

古代魔法「ダークファントム」

自作魔法を作成可能...イグニス・ザ・オルテン(炎魔法と追尾スキルの合成魔法8羽の火の鳥を打ち出す。相手に当たるまで追尾する。)、グラビトン・ルベナスト(超圧縮の重力級を出し、全てを圧し潰す。)、アクアダストクルセイダー(毒魔法と水魔法を合わせた複合魔法。全てを溶かす猛毒を混ぜ合わせた水の圧縮レーザーを飛ばす。)、爆撃(炎、水、風魔法を組みあわせて爆発を起こす。)


魔物の固有魔法

デストロイ・バニシング


ふむ…デストロイ・ワームの固有魔法を手に入れてるな。


威力に関してはまだ、デストロイ・ワームと同等まではいけないかもしれないが今の攻撃手段としてはいいほうだろう。


さて、あいつらはどうなったのかね。


その場で立ち上がり、〝スコーピング・アイ〟を使用する。


「こりゃ圧巻だな〜。」


フレドリリスの姿は見えない。


それもそのはず、デストロイ・ワーム(仮)2匹が中に巻き込んで締め上げているところだった。


あれはさすがの巨怪鳥も溜まったものでは無いはずだ。


でも…デストロイ・ワームがあれだけの強さだったのだ。


もしかしたらということもある。


備えておいてもいいかもな。


そうして少し作業に入ろうとした瞬間だった。


少しばかりだが、デストロイ・ワーム(仮)が締め上げている隙間から赤い光が見えた。


同時に頭の中に警笛がなる。


あればマズいと直感的に反応する。


亜空間からデストロイワームからはぎ取った鱗をひとつ出して、そこに隠れる。


そして、それは起こった。


赤い光が当たりを包む。


フレドリリスを締め上げていたデストロイ・ワーム(仮)がその赤い光の中で散るように一瞬で消し飛んだ。


「…かはっ?!?!」


熱い?!


喉が痛い?!


これは熱か?!


当たりを見れば木々に火が燃え広がっている。


これはまずい…!


「…っ!〝水膜〟!!」


俺の周りを水の膜が覆う。


が、一瞬のうちに水の膜は蒸発した。


こんな薄いのじゃダメか…!


いやまずはこの熱をどうにかしなければ話にならない!


「…〝下天〟」


喉が焼けて、声を発すると痛む。


だがそんなことに構っていたら俺がチリになっちまう。


絞り出すようにして、無理矢理そう唱えれば俺の前に大きな黒い玉が出現する。


重力魔法だ。


まずは重力魔法で無理矢理熱をねじ込める。


そして、次に唱えるのは風魔法だ。


「〝流風〟」


この魔法でねじ込められなかった他の熱を俺を避けさせるようにして、流していく。


そして最後に!


「〝水膜〟!」


再び水の膜が俺を覆った。


先程と違い、〝下天〟、〝流風〟の同時発動のおかげで強い熱による〝水膜〟の蒸発を防げている。


ダブルスペルなどの同時発動ができるスキルを持っていなく、1つづつしか行使できなかったのは少しばかりいたかったが、まぁ結果オーライである。


「…っ…!」


少しづつだが、熱が漏れてくる。


このまま長時間やり過ごしのはとてもじゃないか難しい。


この熱は一体いつまで続くんだ!?


そう心の中で苦言を漏らしていると、その苦言が通じたのか熱が少しづつだが弱まっていった。


それと同じようにして、おれの魔法も効力を失っていく。


危なかった。


あのままもう少し続いていたら焼け死んでいた。


ゆっくりと立ち上がって、フレドリリスの方を見る。


やはりフレドリリスの攻撃だったらしい。


少しずつフレドリリスの発光が弱まっていくのが見えた。


多分あれがあいつの固有魔法〝エターナル・ノヴァ〟なのだろう。


とんでもねー魔法だ。


ここの森のバケモン共の固有魔法は明らかにデタラメだ。


普通の最上級魔法なんかよりも余程威力のある魔法を撃ち込んでくるんだもん。


命がいくつあっても足りんよ。


だが…。


「あれさえ乗りきったんだ。俺に勝てないなんてことはありえない。〝デストロイ・バニシング〟」


右手をかざせば、そこから極太の黒い閃光が放たれる。


それは、フレドリリスの右翼を穿ち、切断した。


「ピッ…!?」


「〝創作スキル・古代魔法イムルカンナム〟」


恐らくこのスキルが俺の視認できない速さで動き、おれを吹き飛ばした魔法だ。


「〝イムルカンナム〟」


発動と同時に地を蹴る。


瞬間に凄まじいスピードが出た。


フレドリリスをも視認できない速度で、懐に潜り込む。


「落ちろ、雑魚」


そして、思い切り下方向にフレドリリスを蹴り落とした。


ドガアンという轟音が鳴り響く。


「ぴぃぃ…」


巨体からは考えられないほど小さな呻き声を上げながら、それでも起き上がろうとするフレドリリス。


…凄まじい執念だ。


だが、こいつはここでもう終わりだ。


立ち上がろうとしているフレドリリスの首に着地する。


そして、冷徹な声で言い放った。


「終わりだ、フレドリリス。〝デストロイ・バニシング〟」


頭が消し飛び、再び轟音が鳴り響く。


土煙が舞う中、ズゥゥンと倒れる巨体とその上に乗る人影がひとつ。


「…やっと倒れた。」


ドサッとその場に倒れ込む。


ホッとして、体の力が一気に抜けた。


酷い死闘だった。


一歩間違えたら、また死ぬところだった。


あの時、イムルカンナムを運良く引けていなかったら、恐らくフレドリリスは固有魔法である〝エターナル・ノヴァ〟を再び撃ってきていただろう。


そうなれば、次は確実に俺が死んでいた。


多分、あれをもろに今の俺が受けていれば、確実に体全てが消し飛んでいただろうから。


そうなれば超速再生のスキルも発動しない。


本当に危ない綱渡りだった。


「あーあ…なんでこんな仕事を……俺は引き付け…ちまったんだろうな……ほんと………。」


言いながら、俺の意識は闇に消えていくのだった。

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