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第5話 巨大ムカデと巨怪鳥

翌朝。


まだ日が出ていない頃に目を覚ます。


そして、上体を起こして近くに立てかけておいたショットガンを手に取った。


それを昨日木などで即興で作り上げた工具を使って解体していく。


解体し終えたら、近くに置いてあった布を手に取って一つ一つの部位を拭いていく。


本来であれば、このショットガンは神が作り出した伝説級のアーティファクトであるため、手入れなんてものは必要ない。


ただ、つい前世の癖が出てしまっていた。


前世ではモデルガンなどを買ってコレクションすることが俺の趣味の1つであった。


そしてその趣味により、俺の朝の日課となっていたのがそれらの手入れだ。


どんなものにも手入れは必要な事だ。


手入れをすることでより綺麗に、より使いやすく保つことが出来る。


そう考えながら毎日モデルガンなどを手入れをしていたせいか、拳銃を見たりすると体が自然と動いてしまうようになっていたのだ。


今のように。


恐らく習慣づいてしまったこの行動は直そうと思っても直せ無さそうだ。


そう思いながら、手入れの完了したショットガンの部位を元に戻していく。


「……うん、いい感じか。」


組み立て終わったショットガンを構えて、そう小さくつぶやく。


こういう静かな時間は、恐らくこれから先この時間しか取れない。


だからこそ、こういう時間を有意義に使わないとな。


「さて、そろそろ飯の時間か…。」


ぐぅ…と腹の虫が鳴る。


昨日はいろいろ狩ったしな、今日はその中でも美味そうだった兎の肉にでもするか。


ショットガンを肩にかけて、ベッドから降りる。


そうして部屋を出ようとした時だった。


ガチャッとドアが開き、ラファエルが現れる。


「…朝から何の用だ、駄天使。」


「クスクス。たかだかイノシシごときで、グズグズ言ってた人がよく言いますよ。クスクス。とっても、可愛かった、ですよ?」


ニヤニヤしながらこちらを見てくるラファエルにイラッとしながらも、堪える。


「用がないなら、俺はもう飯食っていくぞ。お前に構ってる余裕は無い。」


「あーもう、そんなにせかせかしたら、ダメですよぅ、オタクくん✩.*˚」


横を通り過ぎようとする俺の腕を掴んで止めてくる。


一体なんなんだこいつ…。


「離せ、駄天使。俺はお前に用はない。」


「つれないことを言いますねぇ。だから、前世にずっとボッチで過ごすことになるんですよォ?…クスクス…可哀想…クスクス。」


「殺す!」


朝から1発の発砲音が響く。


が、それを当たり前のように避けながら、本題を話し始めてくる。


ちっ、すばしっこいヤツめが。


「短気ですねぇ。私だって用もなしにあなたなんか引き止めたりしませんよ、ナナさん。」


「じゃぁ、用はなんなんだ」


「少しは落ち着くってこと覚えた方がいいのではなくて?まぁいいです。……今日一日私天界の方に行ってきたいと考えているので夜は私はいないものとお考え下さい。あ、でも朝ごはんは食べるので作っといてくださいね✩.*˚」


てへぺろとでも言うような顔をして、図々しいことを言ってくるラファエル。


「何しに行くのか知らんが、別に帰って来なくてもいいんだぞ、こっちに。俺はお前なしでもやって行けるし、何よりお前といることの方が苦だしな。」


「ふふ、それは私にも言えることですけど?あなたといることは私にとって非常に苦なんですよ。…ただ、仕事だから仕方なく私はあなたのサポートをしないといけないんです。」


「はは、面白いことを言うな。お前それらしい事この世界に来て何かしたか?転生後のボーナスのある場所だって、明確な場所もいえなかったくせに。」


「誰にだって少し抜けてしまうことはあるんですよ?もしかして、そんなことも分からないんですか、オタクっていうのは。まぁ、それも仕方ないですよねぇ、あなた前世で友達と言えるような人は全くいなかったんですから。クスクス。」


ニヤニヤと小馬鹿にしたような笑顔を向けてくるラファエル。


こいつ本当に天使なのか?


少なくとも俺の知ってる天使ってのはもう少し、心が綺麗なはずなんだが……。


こいつは明らかに心が薄汚れている。


それどころか悪魔のようにすら見えてくる。


なんでこいつが天使やってられんのか不思議でならんな本当に。


「誰にだって間違うことはあるっていう言葉で逃げるあたり、お前はやっぱりド三流天使かもしれんな。結局、神ゼウスのおかげでその大天使としての地位を保てているだけだろう。」


その俺の言うことを聞いたラファエルの表情が先程とは違う影を帯びた表情に変わる。


気色悪い


「……そうですねぇ。あながち、私がド三流天使だという意見は間違っていないのかもしれませんねぇ。オタクのくせになかなかいいことを言うじゃありませんか。」


天を仰ぐようにして、ラファエルは言った。


その表情にはどことなく影があり、いつものような反応はできない。


「ちっ……気が狂う。さっさと顔を洗ってこい、駄天使。」


「はーい。」


すんっといつも通りに戻るラファエル。


あの表情は一体なんだったのかね。


まぁ俺には関係の無いことか。



「それでは、 引き続き邪神を倒すべくレベル上げを頑張ってくださいね、オタクくん。」


「消え失せろ、駄天使。」


ふふ、と笑って亜空間に入っていく。


去り際にも忘れず悪態を着いてくるとは、あいつも随分暇なヤツだ。


もう帰ってこなければいいのに。


「……さて、俺はまたあの森に行くか。」


ショットガンを肩に担いで、走り出す。


すると、軽く走り出したつもりなのだが、一気に30メートルほど一気に進んだ。


さすがに300もレベルが上がっていれば、軽く走ってもとんでもないスピードが出るな。


今時速何キロで走ってんだ?俺。


その間にふと少し気になることが出来た。


本気で走ったらどうなるんだろうか。


この好奇心はどうにも抑える事の出来無さそうだ。


……少し本気で行ってみるか……。


次の踏み込みで、力を入れて……。


ドガァン!と地がえぐれる。


同時にものすごいスピードで、道を駆け出した。


「これはいいな!すぐにあの森まで着けそうだ!」


そうして、走り続けること数分……。


「ふむ。着いた。」


昨日入った森の入口まで、すぐに着いてしまった。


昨日と同様、森の中からは獣の鳴き声は何一つとして聞こえず、あるのは木々が風で揺れる音だけ。


この様子だと、今日もレベル上げは期待できそうだ。


そう思いながら、森の中に足を踏み入れていく。


今日はどんなやつと会えるのか……。


昨日は、レベル50から70前後のイノシシだとかデカい虫が全般だった。


入口付近だったのもあるだろうが、今のレベルじゃ、レベル上げには不向きだろう。


今日はもう少し深く潜ってみるのもありだろう。


そうして、着々と歩を進めていると早速、何かがこちらに近づいてくるのがわかった。


「この魔力は……イノシシかね。」


「ぶもぉぉぉぉぉぉお!!」


ドスッドスッと大きな足音を鳴らしながら、こちらに突進してくる。


あのイノシシはマジックとかついていながら、突進しかしてこないのな。


「脳みそあんならもう少し知恵を絞りやがれ、ばーか。」


ショットガンを1発発砲すれば、イノシシの固い額の魔石をぶち抜いて、倒れ込んだ。


「楽になったもんだ。〝収納〟」


死体を収納する。


この異空間収納というのも便利なものだ。


容量に上限はないし、何でも入るしな。


そういや、これをなにかに応用するってことはしたことが無いな……。


今度、色々試してみてもいいかもしれない。


ショットガンをリロードして再び歩き出す。


それから数分。


それなりに歩いて、昨日よりは深くは潜っているはずなのだが、何かが出てくるという気配は全く感じられない。


「……今日はハズレかな……。」


イノシシも巨大虫もほとんど出てきやしない。


これをハズレと言わずしてなんという。


仕方ないが、今日のところはイノシシとかを自力で探して何体かかることが精一杯かもな。


そうして、踵を返そうとした瞬間だった。


ドガァァァァアン!


という轟音が真後ろから聞こえてくる。


「っ……?!」


即座に後方に飛び退く。


なんだ?!


何が起きた?!


目の前を見れば、巨大な何かがうねうねと天へと伸びていた。


「はは…まだいるんじゃねーか、このやろう。」


今日の獲物は巨大なムカデか。


不思議と口角が上がってしまう。


あぁまずい。


恐らくこの魔物は俺なんかよりも余程強い。


今回で俺は死ぬ可能性があるかもしれない。


だと言うのに、この今繰り広げられようとしている戦闘に俺はウキウキしてしまっている。


「確実に殺して、テメーのスキル全て奪い去ってやる!」


グッと臨戦態勢に入る。


と、同時に俺のいる場所に大きな影が差し込んだ。


「あ?」


上を見る。


すると、何かが飛来してくるのが見える。


「おいおい、まじかよ……。こいつも相手しろってか?」


「ピィぃぃぃいいぃぃぃぃ!!」


風を巻き起こして、ズズンッと降り立つそれ。


巨大なムカデと巨大な鳥……ねぇ。


この前見たのとは訳が違うようだ。


明らかにこの二匹はまずい。


試しに鑑定を発動してみる。


巨怪鳥・フレドリリス Lv1256

体力 1657352.0

攻撃 1357245.0

防御 856842.0

素早さ 1216874.0

魔力1241538.0

魔法防御 635124.0


スキル・バッシブスキル

スキル

分裂、分散、追尾、筋力(上級)、神威(最上級)、威圧(最上級)、自己再生(上級)、魔力伝達、魔力強化、魔眼「石化」、精神魔法の極み、炎系魔法の極み、古代魔法、フレドリリス、飛行(最上級)、魔力タンク、視覚強化、千里眼(最上級)、アンチ光属性、炎耐性(最上級)、水耐性(上級)、風耐性(最上級)、魔法強化(最上級)、鋼鉄(上級)、気配感知(最上級)、魔力感知(最上級)、痛覚半減、怪力、耐久(上級)

パッシブスキル

筋力(上級)、素早さアップ(最上級)、魔力強化


魔法・技能

炎系魔法全て、精神系魔法全て、ノヴァ・フレイム、イムルカンナム(古代魔法)、アルテマイオス(古代魔法)、イルムイーター(古代魔法)、エターナル・フォルスタム


固有魔法

エターナル・ノヴァ


巨害虫・デストロイワームLv1342

体力 2468512.0

攻撃 2241325.0

防御2567124.0

素早さ1852415.0

魔力 1243524.0

魔力防御 842359.0


スキル・バッシブスキル

拒悪の邪眼、デストロイワーム、絶対防御、暴食(最上級)、魔法付与、状態異常無効、物理系ダメージ軽減、暗視(最上級)、腐食(最上級)、剛力(最上級)、魔力変換、視覚強化、炎耐性(最上級)、光耐性(最上級)、毒無効、麻痺無効、やけど無効、物理耐性(上級)、耐久(最上級)、MPドレイン(最上級)、HPドレイン(最上級)、毒魔法の極み、霧魔法の極み、闇魔法の極み、古代魔法、退光属性(上級)、毒強化(上級)、毒牙(中級)、毒生成(最上級)、溶解液生成(最上級)


魔法、技能

毒、霧、闇魔法の最上級まで扱うことが出来る。

闇霧、毒霧、ブラッドポイズン、ダークファントム、パワータックル、ダークブレイン

固有魔法

デストロイ・バニシング


え、ステータスおかしくね?


ステータス全て100万超とか聞いてねーよ。


「……くくく……。」


笑いがこぼれる。


多分、こいつらに見つかった時点で俺はもう積んでいるってことだろうな。


だったら……。


「お前らを上回って、勝つ!」


瞬間、一気に8つの魔法陣を展開する。


これはパッシブスキルである並列思考と瞬間構築があるおかげでできる業だ。


「〝イグニス・ザ・オルテン〟」


8つの魔法陣からは合計80もの炎の鳥が出てくる。


それは全て目の前の2匹に向かって激突した。


「ピィぃぃぃい?!」


「きゅえぇぇ!」


凄まじい轟音と共に奴らの鳴き声が聞こえてくる。


恐らくこんなもんじゃまだ足りない。


まだまだ先制攻撃は続くぞ。


「〝アクアダストクルセイダー〟!」


右手をかざせばそこに魔法陣が出現し、紫色の液体の光線が放たれた。


それを横に薙ぎ、2体に当てる。


「どーよ。少しは聞いたんじゃねーか?」


後方に下がって様子を見る。


すると、黙々と立ち上る煙の中で、何かが揺らめくのが見えた。


「……っ!!??」


霧の中から何かが放たれて俺の目の前に着弾した。


それは着弾と同時に地面を溶かす。


これは……溶解液か?!


あんなものを食らったらただじゃすまねーぞ、おい。


「ピィぃぃぃい!」


俺が溶解液に集中していると、いつの間にか俺の真上に飛んでいたフレドリリスが魔法攻撃を打ち込んでくる。


「くっ!このやろう!〝アクア・ハーティア〟!」


水の光線を放ち、それらを相殺する。


ちっ、あまりに厄介すぎる!


一体に集中しすぎると、もう一体に攻撃される。


が、2体を相手にすると、ジャイアントキラーを持つ俺でも、手に余る相手。


これはどうしたらいいのかねぇ……。

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