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12話 2つ名魔獣

依頼を受け冒険者ギルドを後にした俺らは、1度宿に帰宅していた。


あの駄天使は目的地に行く時同行すると言って、どこかに消えていった。


慈愛の天使が聞いて呆れる。


人間のことを心配もクソもしないどころか、バカにするしまつだ。


本当にあんなのが慈愛の天使なんてしてていいのだろうか。


そんなことをグチグチ思っていれば、シノが


「2つ名を持ったミノタウロスとレッドサーペントはこの街の近くにある森の洞窟に今はいるみたい。かなり警戒してる。」


「ふむ、聞いていた場所よりかなり移動しているな……。」


ギルド職員からは森の入口付近に姿を現したとか聞いていたが……それなりに相手には知能が備わっているらしい。


人間と鉢合わせたのなんて、4日ほど前のことだろうに、未だに警戒しているということはかなり慎重な性格をしているようだ。


無知であれば、楽にやりあえたものを……。


「他に情報で言えば、普通はミノタウロスが使わないはずのスキルを使うとか。目撃証言で言えば、血をなめるとステータスが急激に上昇するだとか、触れた血液を自在に操り始めるとかがあった。」


「……まるで吸血鬼だな。」


「私も考えた。でも、ミノタウロスが吸血鬼になるとは考えられない。」


「この世界の常識はまだ分かりきっては無いが、吸血鬼になった理由が吸血鬼によるものの可能性は無いのか?」


そういうと、シノが少し考え始めた。


「……ある。その可能性の方が高いかもしれない。〝眷属〟なら、そのミノタウロスの目撃情報とも一致する。〝眷属〟なら、血を舐めればステータスが上昇するし、飲めば飲むほどHPも回復して強くなる。」


「ふむ……ステータス上昇ってのは永続的なものなのか?」


「ううん。多分、一時的なものだと思う。永続的なステータス上昇は特殊個体の吸血鬼しか持ってない。それに、それが〝眷属〟を作ったとて〝眷属〟には適用されないはず。」


「特殊個体の吸血鬼の能力、か。」


恐らく、そのミノタウロスと戦えば、いずれはその真犯人である吸血鬼に出会うことにはなるだろう。


そして、もし特殊個体なら相当面倒だ。


永続的なステータス上昇。


つまりはレベルに関係なく、それは力を持っているということ。


何年生きているかによっては、俺やシノでさえ太刀打ちできない可能性がある。


「……私はあったことがないなら、確証は無いけれど、もしも特殊個体の吸血鬼だったとしても、ナナが考えているほどの驚異にはならないと思う。」


「ほう?どうしてそう言える?」


「特殊個体の吸血鬼は確かにステータスだけ見るなら強い。事実上レベルに関係なくステータスが強化されるから。……でも、そんな強力なものがデメリットなしに永遠に発動出来るわけない。」


「何言ってやがる。俺の超速再生のスキルもデメリットはないだろう。」


「ううん。ある。確かにクールタイムとかそういう部類では無いけど、超速再生は発動する前必ず、何かしら怪我を負う。その怪我は大きいか小さいかも分からない。つまり……大きい場合凄まじい激痛が走る。」


確かに、怪我によってはとてつもない激痛になる。


だが、所詮その程度の……いや、そうか。


俺には痛覚軽減がある。


痛覚軽減があると言うだけで、痛みによる耐性は天と地ほどの差があるのだ。


俺の場合それがあるおかげで、気を狂わさずに耐えられていると言えよう。


だとしたら、シノの言うように俺のこのスキルのデメリットは痛覚と言えるか……。


「強力すぎるスキルというのは生き物が扱う上で、何かしらデメリットがある。そう考えておいた方がいい。」


「わかった。」


デメリットか……。


確かに当たり前と言えば当たり前のことではある。


……だが、強力なスキルは確かにデメリットがあるものの、それを上回るメリットもある。


それにデメリットとはいえ、痛覚軽減などのスキルを取れば、デメリットを軽減させることも可能だということは証明済みだ。


ならばして、デメリットなどさほど気にするようなものでもないだろう。


「まぁ、今回のクエストに関してはある程度準備して、そのまま目的の場所に乗り込んでもいいだろう。」


「うん。でも念の為、補助魔法に関しては多めにかけておく。」


「わかった。」


シノのステータスを見た時に補助魔法っぽいものはあった。


効果を見たがまぁまぁなぶっ壊れ性能だ。


今回の依頼はだいぶ楽になりそうである。


「さて、行くか。」


「〝リゼネーション、マナリジェネーション、天楼の光、グランライト、リフレクション、マナリフレクション〟」


俺の体が淡く光る。


「天楼の光は3倍、付与時間は3時間は持つ。リジェネーレーションとマナリジェネーレーションはナナのスキルと重なって発動する。リフレクションとマナリフレクションは1時間、物理、魔法耐性が1.2倍されてる。」


「.........これが補助魔法か。体が軽くなった。」


「多分ミノタウロスを見たところ、それほど強い訳では無い。ゴブリンロードよりは強いようだけどデストロイワームなんかと比べると大きく劣る強さをしてるはず。」


「ふーん.........。」


まぁ弱いなら弱いに越したことはない。


面倒なことは出来る限り避けたいしな。


「じゃぁいく。〝転移・洞窟前〟」


シノの魔力の流れを少し感じたかと思えば、目の前が白く染まり、少しして森の景色と洞窟が現れた。


これが、例のミノタウロスがいるっていう洞窟か。


「果たして2つ名のミノタウロスってのはどれほど強いものなのか、ねぇ。」


「私が見た限り、あれはまだまだ若いミノタウロス。レベルもさほど高くないはず。見られていることに気づかないあたり、相当。」


「……あまり期待できそうになさそうか。」


「強さでいえばそう。でも、ナナの求める珍しいスキルは持ってると思う。そこは期待してもいいところ。」


シノの言う通り、今まで見た事のない珍しいスキルは本当に持ってそうではある。


吸血鬼の眷属ってくらいだしな。


「いくか。」


「うん。」


そうして、洞窟の中に入っていく。


何も明かりのない洞窟は先が暗すぎて何があるのかも分からない。


「暗すぎるな……〝ライト〟。」


ポウっと手の中に光が現れる。


この暗さじゃ心許なくはあるが、ないよりはいい。


そうして進もうとすると、真横から聞き覚えのある声がする。


「私が照らして差し上げましょうか?クスクス。」


「いらん。というか、本当にくるとはな。てっきり、来ないものかと思っていたよ。」


「まるで来て欲しくなかったみたいな言い方ですねぇ。まぁでも残念ですねぇ。来ちゃいました。」


「勝手にしろ。」


ラファエルから視線を外して先が暗い洞窟を見やる。


そして、ふと少し先すら見えない奥から少しの殺意を感じ取った。


「……〝ディクシオン〟。」


ショットガンを大きな盾へと変化させて、目の前に構えれば、瞬間に金属音が響き渡る。


「突然攻撃してくるたァ、礼儀がねーな?」


「今の攻撃、多分例の。」


「赤いミノタウロスとレッドサーペントでしたけ?どこまで強いのでしょうねぇ。クスクス。」


ズシンズシンという重苦しい音とともに、奥の暗がりから赤い何かが見えた。


あれが赤いミノタウロスとレッドサーペントか。


強さは別として、普通では無いのは確かだな。


吸血鬼の眷属ってのはあながち間違いじゃないのかもな。


「〝鑑定〟。」


(吸血鬼の眷属)アレウス Lv124 「ミノタウロス」 (上級)


体力 26582.0

攻撃 49625.0

防御 35214.0

素早さ 32415.0

魔力 52146.0

魔力防御 42152.0


スキル

%°%%°#(上級)、吸血鬼の眷属、血液操作(上級)、血液貯蓄(最上級)、吸血(初級)、魔力操作(最上級)、筋力(上級)、魔力反射(初級)、戦士の心得(初級)、狂戦士の心得(中級)、狂戦士(上級)、火魔法の上級(上級)、氷魔法の上級(上級)、防御貫通攻撃(上級)


魔法、技能

ブラッド・フローズン……血を氷で凍らせ、辺り一体の地面から氷の棘を出す。氷の棘が出た場所から半径1mは全て凍てつく。


ブラッディ・クロウ……血液で作りだした手で相手を切り裂く。当たれば、自身のHPを大幅に回復する。


血界……血で作りだした壁を自身の周りに張り出す。


ブラッディー・ノヴァ……溜め込んだ血液を辺りに撒き散らし、撒き散らした血で全てを貫く。(効果範囲は血の量によって大きく変わる。)


火魔法と氷魔法の上級までを扱える。


固有スキル

筋力増強


固有魔法

パワーデストロイ


レッドサーペント Lv116 「大蛇」 (上級)


体力

攻撃

防御

素早さ

魔力

魔力防御


スキル、バッシブスキル

硬質化(中級)、妖怪液生成(初級)、真・真紫の魔眼(最上級)、MPドレイン(上級)、眷属召喚Lv5(中級)、毒魔法の上級(上級)、回復魔法の中級(中級)


魔法・技能

毒魔法の上級までを扱える。


固有スキル

腐食の邪眼


固有魔法・技能

眷属召喚


こいつらはあの町のCランク、Bランクごときじゃ、手に負えないような魔獣じゃねーの。


「調査とは書いてあったが、このまま殺るか。まぁ、元からそのつもりできたは来たが。」


「別に討伐してはならないとは書いてないから、問題ない。文句を言われたら、詳しく書いていないギルド側の問題。」


「そもそも人間側の依頼なんて、てきとーにこなしておけばいいのでは?」


「それをすると面倒なことになる。人族を見た事ない訳では無いでしょう?ラファエル。」


「……そうですねぇ。いつもいつも面倒事ばかり起きていた記憶すらありますね。」


ラファエルの顔から一瞬で笑顔が消えた。


表情の切り替えがこうも早いと、さすがの俺でさえ引く。


気味が悪い。


そう思いながら、視線を前へと戻す。


「……にしても……随分と慎重なやつだな。まだ警戒してやがる。」


「そうでもなさそう。くる。」


瞬間だった。


ミノタウロスがこちらに走り出してくる。


そして、そのままディクシオンに激突した。


「はっ!なかなか根性のあるやつだ!。だが、まだ浅いなぁ!〝アイシクル・ヒャダイン!〟」


ミノタウロスの足元から氷の大きなトゲがいくつも出現する。


「?!」


「驚くにはまだ早い。」


瞬時にディクシオンをショットガンに変え、ミノタウロスに向けて撃つ。


それに何とか反応して、ミノタウロスは体を、仰け反らせた。


だが、残念。


「〝分裂、分散、追尾〟」


飛んだ弾はその場で100にも増えて、ミノタウロスに向かっていく。


その追尾弾に対応しきれなかったミノタウロスに、それらが突き刺さった。


「ブモォ!」


「ついでに私が追加攻撃あげますねぇ。」


ミノタウロスの懐に潜り込み、軽くラファエルが蹴りあげた。


ドガァン!と洞窟の天井に打ち付けられるミノタウロス。


紙切れのように飛んだな。


体格差はこちらの方が小さいというのに。


「……どうした、それで終わりなんて言わないだろう?まだお前の魔法は全て見切ってないぞ?」


「グ……ウゥゥ。」


目の前で、うなりながら何とか立ち上がろうとするミノタウロス。


拍子抜けだ。


知能が少しはあって、かつ珍しいスキルなんかも持っているからLv関係なく出来るやつかと思ったが……。


なんという期待はずれな……。


「殺すか。」


そうして、ショットガンをリロードしてミノタウロスの額に銃口を突きつけた。


「残念だ。また生まれ変わったら、楽しませてくれよ。ミノタウロス。」


言い捨てて、引き金を引こうとした。


が、それはもう一体の魔物によって遮られる。


「ギシャァァア!」


「おっと。」


微かな魔力を感じ、飛び退けば俺がたっていた場所に毒の沼ができ上がる。


毒魔法か……。


俺目掛けて、毒魔法をぶっぱなしてきやがったな、あの蛇。


「面倒だな……。」


レッドサーペントはミノタウロスを囲うようにしてとぐろをまく。


そして、その中で淡い光が微かに見えた。


そういや、この蛇は回復魔法を使えたっけか。


「あの蛇から殺した方が良さそうだ。」


瞬時に5、6回ショットガンを発砲する。


だが、レッドサーペントはそれを硬質化することにより受けきった。


こいつを防ぐたァ、なかなかタフな野郎だ。


「だが……長くは続かなさそうだな?」


今の攻撃で硬質化にヒビが入っている。


分裂、分裂も使っていないため、恐らくそれを2、3発打ち込めば硬質化などすぐつらぬける。


「どこまで耐えられるか見ものだ。」


リロードして、次々に発砲する。


その度にレッドサーペントの硬質化が剥がれていくのがわかった。


「これは、私とラファエルはあまりここにいても意味はなさそう。少し奥に行って、なにか無いか探してみた方がいいかも。」


「初依頼がここまでしょぼいとさすがの私も呆れますねぇ。こんなのに手こずる可能性がある人間にも残念としか……。」


「人は弱い生き物というわけじゃない。人には人の強い部分がある。」


「……そうですかぁ。それならそれで私はいいんですけどね。」


2人がそんなことを話しながら、真横を通っていく。


俺の攻撃により2人に反応できないレッドサーペントは2人を目で追うことしかできていなかった。


ミノタウロスもまだ傷が完璧に癒えていないのかレッドサーペントの中からは姿を表さなかった。


まぁ、現したところで俺に一蹴されるだけだろうけどな。


「……にしても、飽きたな。」


ずっと、撃ち続けるってのは手が疲れる。


それにずっとこんな遊びを続けるのも時間がもったいない。


次で終わりにするか。


「てなわけで、じゃーな?レッドサーペント。」


ショットガンを発砲。


分裂、分散の能力を発動して弾を増殖させた。


それらは硬質化したレッドサーペントの身体に当たるや否や、爆ぜてその体の一部を消し飛ばした。


「これで残るはお前だけだな?ミノタウロス。」


レッドサーペントの守りが無くなったミノタウロスはその場にじっと立ち尽くしている。


だが、困惑していたり、怖気付いているそれとは違うのがわかった。


すると、ミノタウロスの周りに散らばっていた血液がミノタウロスの頭上へと向かって集まりだした。


「なるほど、ようやく本気か。おもしれぇ。」


俺もまたショットガンを構え直す。


さて、こいつの本気がどこまで強いやら。

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