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第2章 3話 冒険者ギルド

ここが王都か……。


活気が溢れているな。


「それで?冒険者ギルドってのはどこにあるんだ?」


「この道を真っ直ぐ行けば、すぐに着くわ。なんならここからでも見えるくらい大きいわよ。ほら。」


ポニーテールの女が指さした方向を向けば、ほかの建物とは様子が違う建物があった。


「あれが冒険者ギルドか。こんなに近くにあるものなんだな。」


「その方が、魔物が王都に攻めてきた時とかに対応しやすいって言う理由があるんじゃよ。」


「なかなか考えられてるんだな?まぁ……そんなことは今はどうでもいいか。さっさとやること済ませるぞ。後にやることがまだまだあるんだからな。」


そう言って、ギルドの方に一直線に向かっていく。


さて、どんな感じなのか見ものだな、冒険者ギルド。



~冒険者ギルド前~


一言で表すなら、賑やかだった。


王都に入った直前の賑やかさとはまた違う。


活気があるというのが正しいだろうか。


多くの冒険者らしき者たちが冒険者ギルドの前には沢山いた。


これが冒険者ギルドか。


普通の人間もいれば、ドワーフ、ハーフエルフだろうか?


とにかく色々な種族が冒険者にはいた。


冒険者ってのは意外と広い種族がやっているものなのか。


もしかしたら、この中にヘラの手先なんかもいたりしてな。


まぁだが……この中にはいなさそうか。


「……あまりにも弱すぎる。」


どいつもこいつもLvは百にも行っていない。


半分以下の奴もいる。


この世界の人間のレベルはよくて、70以上、まれに100以上がいる可能性はあるが、大抵はそれ以下という考えでいいだろう。


「だとすると……俺らのレベルは異質かもしれんな。」


俺のレベルは現時点では500以上、シノに至っては500は確実に超えているレベルのはずだ。


ラファエルも500は超えているがそもそも実力を現時点で2人とも図れないため、未知数だ。


俺らは異常そのものだな。


「おい、お前ら。冒険者になるために、することってなんだ?」


「え、えっと……大まかに言うと実技テストが大半なんだけど、筆記試験も少しあるわ。最終的に冒険者のプレートを作るためにステータスを測るの。」


実技、筆記、ステータス確認か。


なかなか面倒だな。


実技も筆記も何が出ても正直困ることは無いだろう。


一応、それなりの知識はあるし。


問題はステータスか。


俺らのステータスがバレた時の反応とその対応がどうなるのか分からない。


「……ずっと気にしていても仕方ないか。とりあえず、中に入る。そして冒険者登録するぞ。」


「私はナナが行くところなら、どこでもついて行く。」


「決断が遅いですよ、優柔不断ですか?もしかして。」


ラファエルの煽りをスルーして、歩き出そうとした、その時だった。


「おいおい、なんでこんな場所にガキがいんだ?ここはガキがおいでになっていい場所じゃねーぞ。」


「どこの冒険者パーティーかなぁ、子供連れなんてしょうもないことしてる奴ら。」


「なかなか顔面偏差値だけは高いな。」


と、3人の男が俺らの目の前に現れる。


ほぅ……本当にいるんだな、こんなチンピラども。


にしても邪魔だし、ぶち殺してくかね。


そう思い異空間収納からショットガンを取り出そうとすると、赤魔の破断が前に出た。


「そこをどいてくれないか?カルノスさん。」


「んー?なんか言ったか?リク。」


リクって言うのか、あの赤い髪の男。


覚えておくか、名前くらい。


「どいてくれ。俺らにもやることがあるんだ。」


「へぇ、そっかァ。そんなこと言えるようになったんだな。」


ニヤニヤと笑みを浮かべるカルノス。


吹きそうになるからやめて欲しい。


「気にせず通ろう。構っている時間がもったいないから。」


「ふっ……構ってる時間がもったいない?本当に……随分と生意気になりやがったな、このガキが……!」


赤いオーラがカルノスの体から吹き出した。


あれは身体強化系のスキルだな。


だが、さほどクラスは高くない。


良くて中級程度というところだろうか。


この程度で俺の目の前に経つとは……なかなかどうして。


「しね!」


カルノスが大ぶりに攻撃を仕掛ける。


と、同時に俺はリクの目の前に立ち、その拳を掴んでいた。


「……あ?」


「軽い。何だこのなまくらな拳。」


「てめ……っ、調子にのんな……!」


もう片方の拳をこちらに向けてくる。


が、それを片方掴んだ状態でひらりと交わした。


「……弱すぎだろ、お前。」


がしりと顔面を掴む。


そのままカルノスを地面にねじ伏せた。


「な?!」


「たかだかLv40程度のクソ野郎が。相手の力量を測ってから次からは挑むんだな。」


「このがきぃ!」


もう1人の男が襲いかかる。


「うおらぁぁあ!……がっ?!」


「お前もこの程度で十分だ。」


それを俺はその辺にあった石ころを弾いて撃墜した。


「ふむ……レベルの差ってのはなかなかにでかいものだな。ここまで簡単に片付くとは……物足りねーな。」


「ひっ……。」


どさりと尻もちを着く最後の男。


ひって……情けない声を出すもんだ。


そうして、尻もちを着いたやつの方を見て頭の中であることを思いつく。


「なぁ、お前ら。男にとって大切なものってのはなんだと思う?」


「な、なんじゃいきなり、変なことを聞きおるの。根性……とかか?」


「残念、もっと大切なんじゃねーかって思うものがあるんだよ。ここだ、ここ。」


俺が親指で自分の股を指すと、リクの顔が青ざめた。


「ま、待ってくれ……そ、それはさすがに可哀想じゃ……。」


「可哀想だァ?お前随分お優しいこと言うじゃねーの。喧嘩を売られたなら……買って有難く全て返さなくちゃぁダメだろう?」


ニヤリと不敵な笑みを浮かべて、ショットガンを異空間から取り出した。


そして、それをゴルフ棒のように振り上げる。


「歯ァ食いしばれ。……たーまやー!」


瞬間に鈍い音が当たりを響き渡らせた。


尻もちをその場に着いていた男は悶絶する余裕もなかったようで、バタリッと倒れ込む。


ふむ、少しやりすぎただろうか?


いや、やりすぎと言うには生ぬるいくらいか。


そもそも喧嘩を売ってきたのは、こいつらなわけだし。


俺は綺麗にそれを返した。


それだけの話か。


「……ただ、注目を少し集めすぎただろうか?」


「うん、少し暴れすぎ。往来でこれだけやれば、嫌でも注目は集まる。」


「むっ……今後気をつけるようにする。」


「ほんとあなたの考えなしの行動どうにかならないんですかァ?バカもここまで行くと大バカですよ。」


「黙れ、駄天使が。てめーこそ、その腐った根性、シノを見て見直したらどうなんだ?それともそれを直せないほど、お前の頭は弱かったか?……もしかして、ステータスに反して頭のレベルは上がらなかったのか?」


バチバチと俺とラファエルの間に火花が飛び交う。


赤魔の破断はそれを見てオロオロしだしていた。


いつもの事なので、さほど気にする必要は無いと思うが……。


俺もこいつと今は事を立てる気はないしな。


「さて、中に入ろうか。早めにな。」


これ以上見られるのも本意では無いため、足早に冒険者ギルドの中へと歩を進める。


そして、冒険者ギルドの扉を開ければ、広い空間が中には拡がっていた。


食堂や解体所と書かれているカウンター、そして依頼などを受けるカウンター。


外にもいた冒険者は中にも沢山いる。


「案外中にもいるものだな。いつもこんなんなのか?」


「いいえ、いつもあんなに外に溜まっている訳では無いわ。今日は解体祭りをやってるのよ。」


「解体祭り?」


「冒険者は魔物とか狩るでしょ?その時に出る魔物は当たり前だけど解体したりするでしょ?その時大抵の冒険者はギルドで解体をお願いするのだけど、解体には料金が発生するのよ。解体の労働に対する料金とか、その他諸々ね。でも、解体祭りではそれらが半額以下になるの。だから、冒険者はこぞってこの日に魔物の解体を依頼するのよ。」


「へぇ……なるほどな。」


値段を半額以下とはなかなか……冒険者ギルドってのは儲かってるんだなぁ。


まぁこんだけ冒険者がいりゃ、儲かるものか。


「解体祭りは2ヶ月に一回はやるから、お主らも今回で今日取った魔物を解体するといいぞい。」


「解体祭りは冒険者にとっていのちの源。」


「それは言い過ぎじゃないか……?」


口々に赤魔の破断がアドバイスを言ってくる。


だが、どれもさほど俺には必要ないものだ。


魔物の素材はなんなら自分で解体できるため、金を払ってまでしてもらう必要は無いし、金も今のところはさほど困っていない。


問題としては魔物の残った残骸くらいか。


「魔物残骸とかを売れる場所とか捨てる場所は無いのか?」


「魔物の残骸……あ、素材のこと?……て、もしかして、1人で解体できるの?!」


「一応な。」


ただ、食ってるだけなため解体といっていいかはわからんが。


「で、どこなんだ。」


「い、一応、解体所で買取もやってるわ。買い取る場合は解体料とかを差し引いた額が冒険者カウンターから渡されるの。番号札もその時渡されるから、それを見せれば、貰える。ただ、大抵の冒険者はいい魔物の素材とか魔石は鍛冶屋で武器にしてもらっていたりするわね。」


武器か……。


今のところ困っているという訳では無いが、最上級の魔物の素材を武器に組み込むのはいいかもしれんな……。


まぁ今のところさほど必要な魔物の素材は無いため、大体のものは売る気でいるが。


「さて、混んでる理由はわかったとして、俺らはここに冒険者登録をしに来たんだ。そろそろ冒険者登録出来る場所を教えてくれないか?」


「あ、そうだったわね。あそこよ。塊ができてるでしょ?」


ミリアはそう言いながら、人が固まっているところを指で指し示す。


「冒険者は成人にならないと登録できないから毎年学校卒業の時期になったらまとめて審査するようにしてるのよ。」


まとめて、ねぇ。


……冒険者を目指すやつって案外いるもんなのだな。


「ちなみに冒険者になる前に冒険者学校っていうものに通っている子いたりするわ。冒険者としての知識を養うためにね。」


「へぇ……冒険者学校ってのもあるのか。必要か?そんなもの。」


「必要だと俺は思う。それで無駄に死ぬやつが減るんだからな。」


リクがムッとした顔で食い気味に割り込んでくる。


どうやら俺の言葉が少し気に食わないらしい。


「無駄に死ぬやつが減る……か。そもそもの話、実力のある人間とそうでない人間を見分けられていないギルドの人間がいるから、無駄に死ぬやつが増えるんだと思うぞ?ちゃんと見分けられてさえいれば、そんなことは少しでも防げるはずなのにな。」


「なっ……なんでそんな言い方……!」


リクが少し俺の言葉に怒りをしめす。


が、俺はそんなことを気にも止めずに塊へと歩き出す。


「お前ら自信がよくわかってるじゃねーか。弱いやつは強いやつに食われる。それがこの世界の摂理ってもんなんだよ。じゃーな。ここまでの道の案内は感謝するよ。」


「うん、助かった。ありがとう。」


「あなた達に不運がないことを、祈っています。」


口々にそう言い残してその場を去る。


赤魔の破断はそんな俺らをその場で見送るしか出来なかった。


リクも拳を握りしめて俯いている。


図星で何も言えないのだろう。


「とりあえず、あの塊に混じっておけば問題ないだろう。」


「変なのがいないといいけど。」


「ですねぇ。いたら、このおバカさんがまたやらかしかねませんからねぇ。」


「ふん、あれは不可抗力だ。反射的につい手が出ちまっただけだ。」


そう3人で話していると、どこからか視線を感じた。


俺らのことをジロジロ見てるやつがいやがるな……どこのどいつだ?


周りに視線を回すも塊にいることと自分の背丈の問題で見えない。


「ちっ……だからこの体は嫌なんだ……。」


小声でそう愚痴る。


まぁいい。


誰かにジロジロと見られていようと、さほど問題では無い。


この辺にいる連中で俺をころせそうな相手はいなさそうだしな。


もし襲いかかられても、返り討ちにはできるだろう。


なんて、思っていた時だった。


「なんで、こんなとこにガキがいるんだ?」


怒りを含んだような声が聞こえてくる。


……誰だ、また俺の事をガキ呼ばわりしやがるやろーわ……。


ギロリと威圧と少しの威圧とともに声のした方を向く。


そこに居たのは、若い黒髪の男だった。


動きやすさを重視した黒タイツのような装備をしている。


最低限の弱点になるようなところは鉄で守っている。


「……だれだ、てめぇ。」


「口の悪いガキだなおい。見たとこ、あんたの子供か?教育くらいしたらどうなんだ?」


「クスクス……なんですって?」


「だから、教育だ教育。そもそも子連れで冒険者になろうなんざ、頭がおかしいんじゃないのか?ここはそんな生ぬるい世界じゃないぜ?」


「これが?私の子供……?」


瞬間にラファエルから少し殺気が漏れだした。


すると、男はその殺気にビクリと体をふるわせて、後ろへ飛び退いた。


ほぅ……。


「この程度の殺気でそこまで驚くとは思いませんでした。ふふ……口は達者なのに、心はなかなか小心者なようですねぇ。所詮人間ということでしょうか?」


ラファエルが小馬鹿にするようにそう言えば、男はこちらを睨んできた。


「調子に乗るなよ……!くそあまが!」


腰につけていた短剣を引き抜いた。


完全に戦闘態勢に入ったようである。


若いっていうのは、どうしてこうも変にプライドが高いのか……。


「……何をやっているのですか、ブライン。」


「!。ライアンか。ちょうどいいところに来た。こいつらが俺に喧嘩を売ってきやがった。」


「ほぅ……。それはそれは、なかなか自分に自信がおアリなようですね。」


うっすらと笑みを浮かべる槍を持った男。


槍使いか。


レベルも解析者で見て見たが、さほど高くない。


ライアン・レイノルズ レベル24


h 215

s236

a241

v201

m206

mv212


スキル・バッシブスキル

槍使いの中級、風魔法の初級


魔法・技能

風魔法の初級まで。

槍使いの中級まで。


スキルポイント 201


弱いな。


弱すぎて話にならない。


「お前らに構っている暇はないんだよ。雑魚は黙ってろ。それにこれ以上喋られると撃ち殺しちまいそうになる。」


そう吐き捨てて、銃口を男に向けた。


「......あまり私たちのことを舐めない方がいいですよ。ねぇ、ケイナ、エルネス。」


そう男が呼びかければ、2人の男女が歩み寄ってくる。


「何だこの子供。変な武器持ってやがるな。......ここにいるってこたァ一応は成人してるのか?」


「成人したばかりね、この子。誰よ、こんなの連れてきたの。」


ザワザワと周りも異変に気がついたようで、こちら側に注目が集まってくる。


ちっ......面倒な。


このまま全員眠らせてもいいかもな。


「ナナ、変なこと考えちゃ、めっ。」


「む......わかった。」


「こら、そこで何をしてるんですか!」


ギルド職員らしき人間が騒ぎに気づいてこちらに歩いてくる。


すると、黒タイツの男がバツが悪そうに舌打ちをして、その場を去っていく。


それに続いて先程よってきた2人の男女もついて行った。


「あんまり調子に乗らないことですね。今回の冒険者試験には模擬討伐があるのですから。」


「......ふん、お前らこそ調子に乗るな。俺はお前らのことを殺すのに1分もかからないぞ?」


「威勢のいい子で。ふふ。」


笑顔のない顔で吐き捨てて、ライアンもまた去っていく。


プライド高いやつに対して少々煽りすぎただろうか。


「ナナ、ギルドの職員はどうする?」


「来たら適当に対応すればいい。」


コソコソと話していれば、ギルド職員が俺らの前で止まった。


「今の騒ぎはあなた達が起こしていたものですか?」


「......いや、俺らが引き起こしたわけじゃねぇな。俺らはなんなら無関係だ。さっきのやつらが全部悪い。」


「......。」


シノがすごいジト目でこちらを見ているが、俺の言ってることはだいたいあっているはずだ。


嘘は言っていない。


事実として、最初に喧嘩を吹っ掛けてきたのはあの全身黒タイツ野郎だし、その後またさらに絡んできたのは、あの胡散臭い野郎だ。


ただ俺が少し煽ったなんてこと言っていないだけである。


「なるほど、そうでしたか。それは失礼しました。ただ、そういう方もいますからあなたたちも気をつけてください。冒険者を目指すなら、尚更です。」


「わかった。肝に銘じておこう。」


そういうと、ギルド職員は一礼して去っていく。


面倒事にならなくてよかったが、ギルド試験は多少面倒になったかもな。


まぁいい。


所詮レベルの低い雑魚が喧嘩を売ってくるだけだし、なんら問題はないだろう。


すると、前の方からギルド職員の呼び掛けが聞こえた。


「これより、ギルド試験を行います!職員の指示に従って、着いてきてください!」


始まるようだ。


俺らのスタートダッシュが。


ニヤリと笑いを零しながら、俺らは後をついて行くのだった。

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