第13話 古龍の力
「ギギぃぃぃぃイイ!!」
「邪魔だ。」
発砲音と共に目の前にいたモンスターの頭が爆ぜる。
「ちょろいな。ここのモンスターってのはこんなもんなのか?」
「まだ、深くまであるはずだけど、ここの階層はこの程度なのかもしれない。私も深部までは潜ったことがないから正直分からない。」
「ふむ。なるほどな。」
俺らは元いた階層からもう30階層くらい休憩などを入れながら降りてきた。
なぜ正確にそこまでわかっているのかと言うと、降りてくる最中にわかったことなのだが、一応ここの洞窟には階層主という者がいる。
10階層進む事に、その10階層目で階層主が出てくるのだ。
それを数えてきた。
シノによるとこの洞窟はダンジョンになっているらしく、階層主というのはそのダンジョンというものにしか存在しないものらしい。
そして、俺が倒してテイムしてしまったあの狼。
あれはあの階層の主だったようだ。
本来階層主をテイム出来るということはありえないのだそうだ。
だが、俺のテイムのスキルはいわゆる強制テイムと同等の力を持っている。
対象のどんなモンスターも100パーセントの確率で自分の配下に出来ると書いてあった。
クールタイムは3日程度で3日後には再使用可能。
なかなかにチートなこのスキルのおかげで神千切を仲間にできたようだ。
あとの3つの階層主に関しては、仲間に引き入れるよりも俺が肉を食ってスキルなどを全て頂く方が使い勝手がいいため片付けた。
そして、今。
俺らは洞窟の中で迷路のようなことをしていた。
「さて、次はどっちに行こうかね。」
目の前には2つの道がある。
ひとつはギャーギャーとモンスターが大量に居そうな道。
そしてもうひとつは、モンスターは1つ目より少なそうだが、恐らく罠が多く張り巡らされた道。
Lv上げを取るか、予想外からの攻撃の見極めを鍛える方をとるかを考えていた。
「…多分、こっちのモンスターがいる方はほぼ倒してるのが多い。ナナが手に入れてるようなスキルも多いと思う。どちらに進んでも階層主には出会うことになるはずだから、こっち行った方がいいかも。」
「罠の方か。」
まぁたしかに、罠なら罠探知スキルでもあれば、問題なく進めるのは確かだな。
ここら辺のモンスターはだいたい倒したと思うしな。
「採用だ。こっちに行くぞ。」
俺を先頭として、シノが続く。
罠探知のスキルを取得して、すぐに発動させる。
取得は上位にまではあげられるため、大抵の罠には対応出来る。
ただ、この洞窟の罠はなかなかに面倒くさい構造をしていそうだし、どこまで通用するか...。
採用した手前戻るっていう選択肢は俺には無い。
今は時間が惜しい。
無理矢理にでもこの罠地帯を抜けるか。
「前方右の床に大岩が転がってくる罠がある。他にも矢も降ってくる。気をつけろ。」
「うん。」
走りながら、正確な判断を下していく。
案外、上位の罠探知スキルだけで対応できるものだな。
「次、後方の天井から熱波がくるぞ。」
「わかった。〝ディフェンスサイトスタイル〟」
シノの姿が変わり、大盾を構えた。
瞬間に凄まじい熱が俺らを襲い始める。
「む...これはなかなかすごいな...。平気か、シノ。」
「私には熱は効かない。だから、問題は無い。」
「そのボディ、羨ましいこったなぁ...。」
Lvが高いためか、シノの盾による防ぎでこの熱をなんとか我慢できるのだが、熱いのは熱い。
早めにここをぬけたいところだ。
「ちくしょうめ...暑すぎんだろさすがに」
「...魔法を使って後ろの道塞ぐ。〝氷塊〟」
シノが右手を突き出せば、その方向におおきたな氷の塊が出現した。
そして道を塞ぐ。
「よし、このまま溶ける前に走ってここを抜けるぞ!」
「わかった......!」
勢いよく走り出す。
あの熱量じゃ、あんな氷くらいで長時間防ぐことは不可能だろう。
だいたいあと2分程度か?
「さすがにあの氷ひとつじゃ持たねーな。ここで魔力を無駄遣いする訳にも行かねーし……仕方ねぇ。〝テスタメント・アンダー・テイカー〟」
大鎌に持ち替えて、その場で足を止める。
そしてそのまま、思い切り横の壁を殴り付けた。
「横に掘る?」
「いや、横に掘り進んでくつもりは無い!少しの穴があれば十分、だ!」
もう1発大鎌を振り下ろせば、バガン!という音と共に壁に穴が空いた。
「は?」
「っ!ナナ!」
シノが俺の手を掴んで落下を止めようとするが、大鎌を振った勢いのせいで2人とも落下を始める。
「くそっ......まさか空洞があるとは思わなかった......!」
「戻る訳にも行かない。このまま落下する。」
「そうだ、な!〝ウインド〟!」
体に風を纏わせて、落下を遅くする。
どんなにレベルが上がっていたとしても、落下の力には抗えないものだ。
たしかに普通の人間より身体的能力は底上げされているためにそれなりに高いところから落ちても受身を摂ることは可能だ。
だが、それにも限度がある。
今回の穴はどこまで深いかも分からない。
そのために、ウインドを使いながら落下力を落としながら落ちていく。
この洞窟に来るまでに俺穴に落ちすぎじゃないだろうか。
入る経緯も穴にハマったからだからな。
「……ちっ、にしてもどこまで続いてんだァ?この穴。」
「〝ライト〟」
俺の言葉に反応して、シノが下に向けて光魔法を打ち出した。
光魔法はそのまま下に行くが、深すぎるあまり少しして見失ってしまう。
とんでもねぇ深さだな。
まだまだ奥があんのか。
「多分、空間魔法で拡張されてる。ゼルセオスの魔力は多いからどこまで伸びてるか分からない。」
なるほどな……空間魔法ってのはそんな使い方もできるわけか。
腐っても神の柱ってわけか。
「ま、いざとなれば、地面に向けてデストロイ・バニシングうちゃいいか。シノもいるし、なんとかなるだろ。」
はぁとため息をついて、空中でくつろぎ始める俺。
それを見てシノがジトッとした目を向けてくる。
「あまりに気を抜きすぎ。普通の人間なら焦ってもいいところ。」
「ははは、俺に焦ろって言う方が間違ってるぞシノ。」
「威張るところじゃない。」
そんなやり取りをしている時だった。
下の方からものすごい量の翼を羽ばたかせる音が聞こえてくる。
「なんだ?」
「……モンスターの群れがくる。」
「は?」
少ししてシノの言葉通りのものが来た。
一体一体はそこまで大きくは無く、レベルも高くはないものの、この空中で戦うには少し厄介だ。
どうしたものか……。
「私がやる。」
すると、俺とシノの周りに魔法陣が展開されていく。
高速で魔法陣が次々に作り出されていくのを見て、再びこいつの凄まじさがわかる。
恐らく今現在、こいつは複数の属性魔法を混ぜ合わせて新たな魔法を作り出している。
俺もこいつと同様無詠唱で魔法を発現させることは可能だが、それだけだ。
今の段階ではリアルタイムで直ぐに魔法を作り出すことは不可能と言えよう。
「……〝サン・ハマー(太陽の鉄槌)〟」
瞬間に大量にいた魔物は跡形もなく消え失せる。
少し熱を感じるということは、炎系の魔法と何かを複合して作り出した魔法だと言うのはわかる。
ためしに、聞いてみる。
「今のは?」
「炎魔法と水魔法の術式を複合させて作りだした熱魔法の術式を光魔法の術式と合わせてさらに温度を底上げ。そのついでに古代魔法の〝ディバイン・サン(神々しい太陽)〟を昇華魔法で増大させた術式を組み込んで完成させた。」
「ふむふむ…俺はお前みたいにまだ術式を戦闘中に組んでいくっていうのはできんからな。今練習しようか。」
そう言って、魔法陣を構築していく。
この機会に並列思考の練習もしておくと便利かもな。
魔法陣が俺らの周りに組み上げられていく。
適当に名前をつけた〝爆撃〟なんかは俺が作り出した複合魔法ではある。
あの容量で作っていけばいい訳だ。
まずはそうだな…この状況を何とかできるような魔法を考えなければな。
風魔法と重力魔法をかけあわせてなにかできないだろうか?
ためしに、実際に掛け合わせていく。
並列思考のスキルにより格段に魔法陣の構築力が上がり、すぐ目的のものを作り出すとこができた。
「〝浮遊魔法・フライ〟」
俺の体が少し淡く光に包まれ、体が浮あがる。
「今はとりあえず2つしか組み合わせていないがいいだろう。何とかできるものは作ったしな。」
「重力魔法と風魔法、組み合わせた?」
「ほう、よくわかったな。その通りだ。重力魔法を組みあわせて浮遊をできるようにして、風魔法で自由自在に移動できるわけだ。」
「私は魔力の波長を読むことが出来る。だから、なんの魔法かは大体わかる。」
魔法の波長ねぇ。
そんなものまで搭載されてるとはなかなかハイテクなことだ。
ほんとに5000年前に作られたってのか?こいつ。
「まぁいいか。とりあえず、真っ直ぐ降りる。」
「?。わかった?」
空気を揺らすほどの勢いをつけて、一気に下降していく。
落ちるのなんかより余程今の速度は早いだろう。
何も起きさえしなければ、すぐに底につく。
「!。もう底に近い。底が見えた。」
「お前には暗視もついてんのな。便利なもんだ!ナビ頼むぜ!」
「そのままゆっくりと勢いを落としていって。」
言われるままに下降する勢いをゆっくりと落としていく。
そうして数分。
俺の足が地面に着いたのがわかった。
「ここが底か。」
「うん。だいぶ落ちてきた。」
「何階層くらい落ちてきたと思う?」
「……多分、一気に70階層くらいまでは降りてきたかも。」
70か……。
ダンジョンならもうそろそろダンジョン主的な何かが出てきてもおかしくは無いような階層だ。
……いや、まてよ?
ゼルセオスがこの山を作ったんだよな、たしか。
なら、ゼルセオスがこのダンジョン主になるのか?
もしその予想が正しいなら、俺らはここを潜っていく必要なんてあるのだろうか?
あまりにもこの世界についてのことがわからなさ過ぎる。
この世界のダンジョンの主とはどう決まるんだ?
俺の知るダンジョンの主についての情報は複数存在する。
その全ては想像に過ぎない訳だが。
1つはダンジョンを作り上げたものを主とし、そいつを倒さなければ攻略したことにはならない。
2つ目はダンジョンは最下層に存在するコアによって形や機能を保っている。それが主の代わりを果たしている。
3つ目は1つ目と異なり、ダンジョンを作りあげたものではなく、最下層にいる主を倒すだけで攻略したことになる。
この3つくらいだ。
……いくら考えていても拉致があかなさそうだ。
こういうのはこの世界に詳しいやつに聞くしかあるまい。
あまりにこの世界に詳しく無さすぎると、前世があることをばらすようなものだし、気をつけた方がいいのかもしれないが…どうせシノしかいないしな。
まぁ問題ないだろう。
「シノ。この世界のダンジョンについて教えて欲しいんだが、ダンジョン主はどう決まる?そもそもダンジョン主は存在するのか?」
「こあ…?は分からないけど、ダンジョン主は存在する。このダンジョン内に確実にいる。」
「このダンジョン内にか?ゼルセオスがこのダンジョンを作ったんだよな?なら、あいつがダンジョン主ってことにはならないのか?下に潜る意味があるか?」
そう聞くとシノは首を横に振る。
「そうはならない。ダンジョンの主はダンジョンを作り出した魔物がなる。でも、このダンジョンはゼルセオスが作ったものじゃない。他の魔物がつくりあげたもの。」
「なに?他の魔物が?」
「うん。だから、多分このまま下に潜っていけばそれらしきものがあるはず。」
「それならいいが……。」
いいながら、歩き始める。
シノが言うならまぁ信用しない訳にはいかない。
俺が聞いたからというのもあるが、こいつと今まで行動してきた中でこいつが何か大きな間違いを言ったことはないからだ。
なんなら全て合っている。
この時点でどちらの考えを信じるかなんて決まっている。
「にしてもここは上の階層よりも明るいな。魔鉱石も多い。」
「うん。上の階層よりも出ている量も質も桁違い。ここの魔鉱石は取りながら行くのもあり。」
シノの言葉にニヤリと口角を上げて、武器を大鎌へと変化させる。
「なら、取りながら進んでくか。出ているもの全て取るぞ。」
「おー。」
そうして、奥へと進むのだった。
◇
あれから1時間程度経ったろうか。
安定的に魔物退治かつ魔鉱石採取をしていた時の事だった。
ついに俺らはそれらしき門を発見してしまった。
いかにもこの奥にはボスがいますと宣言するように壁にあるそれを俺ら2人は遠目から見ていた。
「……絶対あれだよな。」
「多分。あの門の奥から魔力反応を感じる。ついでに門の付近にもそれと同じくらい強い魔力反応がある。」
「まぁだよな。そんな簡単に門の奥に行けるわけはないか。いいだろう。俺がまとめて始末してやる。」
ショットガンに変化させて、ガチャりとリロードする。
魔鉱石を採取しながら面白い物も作ってみたから試すのに丁度いいだろう。
「魔力量的に神千切よりも上だと思う。それでもやる?」
「当たり前だ。ここまで来たんだ。戻るなんて選択肢ないだろう?」
横にいるシノを見て、悪どく笑ってみせるとシノもそれにつられて少し微笑む。
「本当、あなたといると暇しない。」
「それは良かった。俺もお前を暇させる気はない。手伝って貰うぞ、最後まで。」
「最初からそのつもり。」
門へと躊躇なく歩を進める。
静かなダンジョン内を俺ら2人の足音だけが反響させた。
そして、少し空いた空間に出た、その時だった。
「!。ナナ、上!」
「んなこたわかってる!〝ディクシオン〟!」
ショットガンを上に掲げた状態で、大盾に変化させれば、同時に白銀のブレスが直撃した。
「っ!こんのクソッタレ…がぁ!」
魔力を流し込んで、大盾をより強固にする。
「お、おぁぁぁああ!」
「待ってて、今何とかする!〝大型リボルバー式チャージライフル・リベレーションズ・オブ・マキナ〟」
シノは右手を武器に変化させ、狙いを定める。
瞬間に轟音が鳴り響いた。
それと同時にブレスがやみ、俺の背後に何かが墜落する。
「はぁはぁ……マジでやばかった……さすがにあんなの食らったら俺の体消し飛ぶわ……。」
「大丈夫……?」
「なんとかな……。」
シノの肩を借りて、立ち上がる。
あまりの衝撃で少し足が痺れてしまった。
『この私に攻撃を入れた挙句、傷まで付けるとは大したものだ。さすがは神殺しを成功させようとしていたものの1人ということか?』
突然脳内にそんな声が流れ込んでくる。
こいつは念話ってやつか?
初めて体験するがあまりいいものではないな。
頭の中にもうひとつの何かがいるみたいで、気色悪い。
「テメーが誰だか知らねーが、俺に攻撃仕掛けてきたってことはどうなるか、わかってんだろーな?」
『くはは!若いとは実に愚かだ!貴様こそ、この私を何者だと思っている?』
すると、目の前にいた巨体が起き上がる。
そして、そいつは姿を顕にした。
白銀の鱗に、金色の目、鋭い牙に、大きいツノ。
「竜種か?」
『くくく。私はただの竜種ではないわ。そこのゼノシリーズはもうわかっているのではないか?』
「……もちろん、わかってる。久しぶり、古龍・レパウリドス。」
古龍だと?
なるほどな……なら、さっきの攻撃の威力も頷ける。
試しに解析者のスキルを発動してみる。
銀翼の白覇龍・レパウリドス Lv2010「古龍種」
h 2138725.0
s 2257211.0
v 2095746.0
a 1999689.0
m 3000002.0
mv 2056325.0
スキル・バッシブスキル
古龍威圧「最上位」、古龍風圧「最上位」、逆鱗「最上位」、氷装結界「最上位」、銀鱗「最上位」、氷装纏い「最上位」、炎耐性大「上位」、闇耐性大「上位」、低下スキル耐性大「上位」(鈍化、攻撃、素早さ)、斬耐性大「上位」、打撃耐性大「上位」、魔法無効「最上位」、呪い無効「最上位」、毒耐性大「上位」、火傷耐性大「上位」、魔力強化大「上位」、攻撃強化大「上位」、龍のいぶき「上位」、耐久大「上位」、持久特大「最上位」、MP吸収「上位」、天命「最上位」、緑神竜の加護「中位」、雷魔法の極み、氷魔法の極み、風魔法の中位、天界魔法の下位
魔法・技能
雷、氷魔法の最上位まで使用可能で、1から作りだすことも可能。
風魔法の中位まで使用可能。
天界魔法の下位まで使用可能。
アイシクルブレス、アイスサイクロン、白銀の息、落激氷雷、銀雷の息
固有魔法・技能
零
固有スキル
白銀のオーラ
今まで見た中ではこいつが二番目にやばいな。
「それで?お前は俺の敵ってことでいいのか?」
『ふむ……まぁそうなるな。』
「そうか……なら、殺して喰うだけだな。ちなみにシノ。あの様子だとお前こいつと知り合いではあるんだろう?殺す前に何か言うことないのか?」
そう聞くと少し考える素振りを見せるシノ。
そして、放たれた言葉はこうだった。
「昔から思ってた。弱いくせに、器も小さいって。」
冷徹な目でそう言うシノの言葉にレパウリドスが激怒した。
『調子になるなよ、このがらくたがぁ!』
冷気が当たりに広がり初めて、壁や地面を凍らせていく。
これが古龍の力か……。
名前だけのことはあるな。
だが……勝機がないってわけじゃない。
「お前は黙って、俺の糧になりやがれ。」
レパウリドスの顔面目掛けて、ショットガンを発砲する。
それと同時にシノも変形させた武器でレパウリドスを狙撃した。
『ぐ……ぬぅっ……小賢しい!』
「結構効いてるようだが、大丈夫か?〝オルニクス〟」
ショットガンが変形し、オルニクスが姿を現す。
「存分に味わってくれよ。俺の武器の威力。」
引き金を引いた瞬間に空気が揺れる。
魔力加速式のこの銃は魔力を注げば、より高威力の弾を撃ち出す。
たとえ古龍と言えど、シャレにならないはずだ。
「とっととしね。」
そして、弾がレパウリドスに直撃しようとしたその時だった。
『私にこんな小道具が効くと本当に思っているのか?だとしたら、不愉快極まりない。舐めるな、若造が!』
瞬間にレパウリドスから凄まじい冷気が発せられる。
それは俺のはなった攻撃を無力化した。
「……?!」
『ちゃちな攻撃をしおって。これだから人間という下等生物は嫌いなのだ。……だから、しね。人間。』
レパウリドスの頭上に、暗雲が集まり始める。
『〝落擊氷雷〟』
突如として暗雲から大量の落雷と氷が降ってくる。
どれも当たれば普通なら即死級の一撃だ。
例え雷に撃たれて死ななかったとしても、氷がトドメを刺しに来る。
氷を全て回避したとしても、俺のいるところに雷が落ちてくるというとんでもない魔法だった。
「このやろう……!〝ディクシオン〟!」
ディクシオンに変形させて、氷と落雷を防ぐ。
ここからフレア・ベレトで大ダメージ狙えれば楽なのに、ヤツめ魔法無効なんて持ってやがる。
これじゃフレア・ベレトでの攻撃は不可能だ。
かと言って、ショットガンやオルニクスでの攻撃は無力化されたりする。
大鎌での攻撃に至っては接近が前提としての戦いになるせいで今の俺にはちと厳しい。
やつのステータスが異常だ。
俺と100万近く違うのだから。
どうする……。
「ナナのことばかり狙ってるけど……私もいること、忘れてる?」
ドガアン!という音と共に、レパウリドスが横に吹き飛んだ。
同時に魔法攻撃も止む。
『邪魔をしおって、ゼノシリーズ……!』
「これはあなたがしかけたこと。そもそも私を無視したあなたが悪い。」
『昔、あの人間と私をコケにした貴様をゆっくりと後でひねり潰してやろうと思ったが……気が変わった。今すぐぶち殺してやる。〝銀雷の息〟!』
「〝アタックサイトスタイル〟」
レパウリドスとシノがぶつかり合う。
凄まじい衝撃が空気を揺らす。
それを見ていた俺は……
「はは……こんなのが昔は普通だったってか……。」
乾いた笑いしか出なかった。




