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宝石級美少女の命を救ったら付き合うことになりました  作者: マムル
第二章・後編

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◆第73話◆ 『宝石級美少女と三学期の始まり。そして苦悩』


 星宮琥珀の決意の日から三日後――時は1月7日となり、冬休みは幕を閉じて三学期が始まった。


 今日、多くの学生たちが気を重くして学校に足を運んでくるのだろう。それは、宝石級美少女である星宮も同じ。友達が居ない彼女にとって、学校という空間はなかなかに苦痛なものだ。


 だが、星宮の友達が居ない生活は今日を持って幕を閉じるはず。何故なら――、


(今日は、勇気を出して友達を作るんです。私なら、きっとできますよ......きっと)


 そう。今日、この三学期の始まりの日に、星宮は友達を作る決心をしていた。何故、急にこのような決心をしたのか。その理由は庵のためであり、自分のためでもある。


(天馬くんを助けるために、まずは私の居場所を作らないと......一人ぼっちは嫌です)


 これから星宮は、心がぶっ壊れた庵を救うための準備を開始するのだ。庵を救うためには、まず星宮が友達を作るところから始まる。何故、友達を作ることから始まるのかは星宮のみぞ知ることだ。


(......)


 そうして、約3週間ぶりに訪れた自身のクラス。星宮は音を立てすぎないようにゆっくりと扉を開けて、教室内へと入る。運が良いのか悪いのか、そんな星宮を気にするクラスメイトは誰も居なかった。


(......さて、今日中にお友達を作らないと)


 

 ――友達を作るという行為は、星宮の過去のトラウマに繋がっていく。そのトラウマが何なのかは、後に語ろう。



***



 星宮琥珀は、別にコミュニケーション能力が人よりも欠けているというわけではない。中学生の頃は、男女分け隔つことなく会話ができており、愛想も良い。しかも宝石級レベルの容姿を兼ね備えているため、彼女の人気はとても高かった。


 しかし中学時代にトラウマを抱えることとなってしまった星宮は、とても消極的な性格へと変貌した。高校を入学して直ぐ、星宮に話しかけてきたクラスメイトが居る。だが、星宮はそのクラスメイトを無視し、突き放した。別にそのクラスメイトが気に入らなかったわけではない。


 また、過去のトラウマが高校でも再現されてしまうのではと怖かったからだ。



(......でも、もうくよくよしている場合じゃないんです。私は、普通の女子高生で、話し相手が欲しいんです)


 そう、一人教室の隅で弁当を食べながら意気込むのは宝石級美少女の星宮琥珀。今日中に友達を作ろうと決意はしているのだが、なかなか実行には移せず、気づけば時は午後を過ぎていた。このままではこれまでと全く同じだ。


(今まで全くクラスで発言してこなかった私が急に喋りだしたら、みんなに変に思われますかね......)


 客観的に考えてみると、思考はどうしてもマイナスに寄っていく。だが、今日中に友達を作ると決めた以上、現実から逃げている場合ではない。


 星宮は思考をリセットするため、頭を軽く振る。ちょっと痛い程度に自身の頬をつねって、カツを入れた。


(っ。大丈夫です。次の授業終わりの休憩時間に、誰かに話しかけてみましょう)


 とはいっても今は三学期。ほとんどのクラスメイトがそれぞれのグループに固まっている状況で、今さら友達を作るのは本当に度胸が必要だ。



***



(......何やってるんですか、私は)


 自分の情けなさに、視線を下げて溜め息をつく星宮。いつの間にかに時は流れ、気づけば6限目が終了していた。次の7限目が今日の日程の最後で、そのあとはもう放課後だ。


 その間、星宮は友達を作るどころか、クラスメイトに話しかけることすらできなかった。もともとこの時期に友達作りというのはハードルが高いことであるので、話しかけられないのは無理のないことなのかもしれない。


(逃げ続けたって、何の意味もないのに......)


 6限は移動教室であったため、星宮は一人孤独に教室へと戻っている最中である。その戻っている間も、星宮はウンウンと考え事を続けていた。


 考え事に気を取られすぎていた星宮は、手に持つファイルの上にある筆箱が落ちそうになっていることに気がつかない。そのまま、考え事を続けながら歩き続けていくと――、


「あっ」


 案の定、星宮は廊下のど真ん中で筆箱を落っことした。考え事に囚われすぎていたせいで、前が何も見えていなかったのだ。人にはぶつからなくてよかったと、星宮は少しだけ安堵する。


 ――そうして考え事をしていた頭を切り替えて、即座に筆箱を回収しようとしたときだ。


「えっ?」

 

 転がっていた筆箱を星宮が回収するより早く、誰かがその筆箱を拾い上げた。その人物と目が合い、星宮は少し驚いた声を漏らす。


「これ落としたよ......って、星宮さんか」


 そこに居たのは、同学年である別クラスの男子。あまり面識は無いが、スポーツ優秀の超イケメン君だ。一度だけ、星宮はこの男と会話したことがある。その男とは――、



「――確か、天馬くんのお友達の黒羽くん」


「ああ、そうそう。黒羽暁(くろばねあきら)。覚えてくれてたんだ」


 

 庵の友人である(あきら)と星宮は、思わぬ再会を果たした。

なんで星宮が急に友達を作ろうとしているのかは次話で語ります。


バイオレンス後輩はどうなったんだという質問については、多分店長がどうにかしてます。後に語るかな、多分

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― 新着の感想 ―
[一言] あきらをひっくるめて厄介なトラブルが起こらなければいいのですが、果たして…でも、ちゃんと前を見ようと星宮ちゃんが努力しているのは素晴らしいですね!ただ、この学級には相当性格の悪い連中も多いみ…
2023/02/04 21:26 退会済み
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