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◆第15話◆ 『宝石級美少女の素足......』


 宝石級美少女は庵の部屋で色白な素足を無防備に晒していた。


「んっ。ひゃっ。いやっ」


「......」


「痛いっ。痛いです天馬くん。ひゃっ」 


「......気持ちは分かるけどもっと声を抑えてくれ。俺気絶しそう」


 濡らしたガーゼで傷口を洗っているのだが、ガーゼを傷口に当てる度に沁みてしまうのか星宮が声を出す。悪意はないのだろうが、その声があまりにも庵の心臓に悪かった。宝石級美少女の手当てをするだけでも恥ずかしさで爆発しそうなのに、おまけに変な声まで出されれば本当に庵が精神的に死にかねない。


 無心になることを自分に言い聞かせて、賢者のまま庵は手当てを進めていく。


「......終わったぞ」


 死闘の末、ようやく患部に絆創膏を貼って手当ては終了した。天国のようで実は地獄の応急手当タイム。庵は自室の壁にもたれかかって大きく息を吐いた。


「ありがとうございます天馬くん。絆創膏まで貰ってしまって......申し訳ないです」


「それくらい気にしなくていいよ。長いこと救急箱なんて開けてなかったから絆創膏は腐るほど余ってるんだ。俺は帰宅部だし、そんなに怪我する機会がないからなぁ」


 運動部に所属していれば怪我をする機会が多々あるだろうが、庵は帰宅部所属である。学校行って授業受けて真っ直ぐ家に帰るだけの平凡な一日なので、怪我をするような機会はそれほどなかった。


「あ。そういえば天馬くん。私、家に入っちゃいましたけど大丈夫ですか?」


「え、あぁ」


 話題を切り替えた星宮が心配そうな目で庵を見る。庵が『今日は家は無理』と言っていたのを思い出したのだろう。


「まぁ......もう部屋に星宮来ちゃったし、別に気にしなくていいよ」


「迷惑なら私帰りますよ? 天馬くん、お母さんが家に居るって言ってたし......私のせいで天馬くんや天馬くんのお母さんに迷惑かけたくないです」


 それを聞いて庵はひきつった笑みを浮かべる。そんな庵に星宮は不思議そうな顔をした。


「いや、星宮は迷惑じゃないよ。俺が心配なのは星宮のことが母さんにバレることなんだ」


「バレること......えっ。天馬くん、私のことお母さんに言ってないんですか?」


「言ってないな。だって俺の母さん、すごい面倒臭い人なんだよ。無駄にテンション高いし、あの人が星宮の存在を知ったら星宮に何しでかしてくるか分かんないんだよなぁ」


「な、なるほど......」


 青美は庵が彼女を持っているか否かの疑惑に強い関心を示している。青美の好奇心の強さからして、星宮の存在を知ったらきっと大騒ぎをするだろう。そうなれば星宮にも迷惑をかけることになる。


 そんなことを庵は望むわけがないので、面倒事を避けるためには青美と星宮の接触は絶対に阻止しなければならない。庵と星宮の関係は二人だけの秘密であるのだから。


「ともかく星宮のことを母さんにはバラしたくないんだ。星宮だって俺の母さんにキャーキャー弄られるのは嫌だろ? だから今日はなるべく静かに話してくれれば大丈夫」


「天馬くんがそう言うのなら......はい。分かりました」


「ありがとう」


 あまり深くは理解していないようだが星宮はこくりと頷いた。客観的に見れば、親に隠れてこっそりと男女が密会をするいけない様子に見えなくもない。


 星宮との関係は家以外でも学校でも秘密にされる。この事は星宮と話し合って決めたことではなく、二人の中での暗黙の了解のようなものだ。


「そういえば天馬くん。部屋にも入っちゃったので、もともとやろうと思っていたお話をしますか?」


 あっ、と星宮が顔を上げた。


「あぁ、そういえば今日の目的はそれだったな。時間もあるし全然いいぞ」


 二人が今日集まった当初の目的は交際する上でのルールを作ることだ。庵と星宮はお互いに恋愛感情の無い関係なので、交際のルールは入念に作る必要がある。どこまでの行為を二人は許容するのか、これから二人はどういう生活を送るのか、など話しておかなければいけないことは沢山だ。


「それなら始めましょうか、ルール作り。まず何から決めますか?」


「うーん。そうだな」


 交際する上でのルール決め。いざ話し合いとなると、まず何から決めればいいかが難しい。庵はう~んと唸りながら頭を悩ませる。


「あ。ルール作りって言うと堅苦しい感じしますけど、天馬くんは全然私に気を使わなくてもいいですよ。ルールは基本的に天馬くんに任せますから」


 それを聞いて庵は目を丸くした。『ルールは基本的に天馬くんに任せますから』。星宮はそう言うが、ルール作りを庵が全て一任してしまえば、それは庵の意見のみが含まれた独裁的なものになってしまう。


「俺に任せるって......それで星宮はいいのか?」


「はい。私は基本的にどんなルールでも大丈夫なので。例えばですけど、で、デートをいつするか、とか。て、手を繋ぐのはどういうとき、とか......そういうことを......天馬くんに......」


「お、落ち着け星宮。俺まで恥ずかしい」


 話ながら星宮の顔がどんどん赤くなっていくので、こちらも見ていて恥ずかしくなってしまった。恥ずかしそうに視線を下に向ける星宮を横目に、庵は小さく溜め息をついた。


(本当に俺が決めていいのかよ)


 よく考えてみれば星宮は自分の意見を言わず、とても遠慮をする人だ。『これはどう?』と聞いたところで、きっと星宮はオッケーを出してしまう。もしかしたら本当にオッケーなのかもしれないが、そんな決め方は星宮を束縛しているようにも見えてしまい嫌だった。


 どうしたら星宮の意見も含められたルールを作れるのか庵は頭を悩ませる。ついジーっと星宮を見つめてしまい、恥ずかしそうに視線を逸らされてしまったが。



 



 

今日忙しくて文章を精査するのを若干雑にしてしまったので、何か問題が見つかったら後で編集しておきます

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