14.
(※アマンダ視点)
「いやだぁあああ!! やめてくれ!! 処刑なんて、理不尽だああ!!」
ダミアンは、兵によって拘束された。
まさか、彼が人殺しなんて思わなかった。
私はただ、お姉さまを陥れることができればよかっただけ。
そのせいでお姉さまが処刑されることになっても、べつにどうでもよかった。
でも、直接誰かを殺すことに協力した覚えはない。
彼が人殺しだと知って、私はぞっとしていた。
しかも、その彼と結婚しようとしていたなんて……。
しかし、今はそんなことに思っている場合ではなく、私にはやるべきことがある。
「これで一件落着ね。お姉さまの見つけた証拠と、私が彼に協力を頼まれたという証言があれば、ダミアンの処刑は確実。少し仲違いしてしまったけど、今回は私たち姉妹の協力で、あの悪者を裁くことができるわね!」
「いえいえ、何を言っているのですか? いい話風にして、話を畳もうとしないでください。私の話はまだ終わっていませんよ?」
誤魔化そうと思ったが、この姉には通用しなかった。
このあとの展開の予想もついて、私は絶望していた。
「アマンダ……、私がヴィンセント王子を殺しているところを目撃したというあなたの証言は、完全に偽証だったわけです。裁かれるのは、ダミアンだけではありませんよ」
「そ、そんな……、私はただ、愛する人からの頼みを聞いただけなのに……」
「もちろん、お母様とお父様も偽証で同罪です」
「馬鹿な! 私たちもだと!?」
「え、私たちも同罪だなんて……。アマンダ、あなたのせいだわ! 私たちは、あなたを庇ったせいでこんなことになったのよ!」
「そうだ! 娘を守る親の心に付け込むなんて、なんて奴だ!」
「そ、そんな……、お父様、お母様。どうしてそんなひどいことを言うの……」
「さて、聞くに堪えないので、そろそろ失礼させていただきます。今日は関係者の皆様の本性が見られて、非常に楽しかったですよ。私はもう行きますので、あとは勝手にしてくださいね。皆さんせいぜい、自分の行いを見つめ直して、地獄に落ちて後悔してください」
お姉さまは、ローマン王子と共に仲良く去っていった。
そんな……、まさか、こんなことになるなんて……。
私はただ、お姉さまから婚約者と次期当主の座を奪いたかっただけなのに……。
そのために、嘘をついただけなのよ。
それがこんなことになるなんて……。
数々の後悔の念が、押し寄せてきた。
しかし、今更どうすることもできない。
こんなことになるくらいなら、お姉さまから何か奪おうなんて、考えなければよかったわ……。
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