表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

12.

 (※ダミアン視点)


 皆がルーシーの登場に驚き、言葉を失っていた。


「さて、何から話しましょうか……」


「……ど、どうしてお姉さまが生きているのよ! あの時確かに、処刑されたはずでしょう!?」


 アマンダが、僕たちの気持ちを代弁してくれた。


「ああ、そのことですか。簡単ですよ。あれは手品です。脱出できる仕掛けがあったのですよ。はりつけにされてまる焦げになったのは、ただの人形です」


「そ、そんな……、そんなことが……」


 僕たちは、次の言葉が継げないでいた。

 そんな僕たちに、ルーシーは語り始めた。


「さて、それでは、真犯人が誰なのか、この場で明らかにしようと思います」


「真犯人? 真犯人って、なんのことよ!?」


「それはもちろん、ヴィンセント王子殺害の真犯人です」


「ヴィンセント王子を殺したのは、お姉さまではないの!?」


「ええ、私ではありません。あなたが私を見たと言ったが嘘だということはわかっています。そして、あなたはきっと、そう証言しろと頼まれたのでしょうね。しかし、あなたにそう頼んだ人物こそ、ヴィンセント王子殺害の真犯人なのです」


「……え、そんな。嘘でしょう!? そんなの嘘よ!」


 アマンダがちらちらとこちらを見てくる。

 僕は唾をのんだ。

 まさか、本当にすべて、バレているのか!?


「ヴィンセント王子を殺した真犯人は、ダミアン、あなたです」


「て……、適当なことを言うな! こんなの言いがかりだ! 証拠もないのに犯人扱いされるなんて、不愉快だ!」


 僕は咄嗟に言い返した。

 吹き出た汗が、額から流れていた。


「証拠ならありますよ。今から順を追って説明しましょう。まずは凶器のハサミですけれど、あれは私のものです。盗まれていたのですが、どう考えても屋敷にいる人以外に盗むことはできません。殺人犯であるダミアンが盗んだと考えるのが妥当でしょう。そして、不思議なことにハサミに指紋はついていませんでした。これでまず、私が犯人ではないかもしれない、とローマン王子が疑うことになったのです」


「指紋がなかった? そんなのは、当然だ! 犯人だとバレたくない君が、指紋を拭きとったのだろう!」


 僕はルーシーに反論した。

 

「いえ、指紋がないのは、おかしいです。あなたが言うように、私が犯人だとバレたくないから、指紋を拭きとったというのなら、そもそも、どうして私が犯人だと疑われるような凶器を使ったのですか? そこが、矛盾しているのですよ」


「あ……」


 僕は言葉を失っていた。

 確かに彼女の言う通りだ。

 彼女を犯人に仕立て上げるつもりが、まさかこんな墓穴を掘っていたなんて……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ