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10.

 (※ダミアン視点)


 馬車に乗って王宮へ近づいてきた頃には、僕は確信していた。


 僕がヴィンセント王子を殺したことがバレたに違いない。

 このままでは、まずい。

 僕は皆の前で真犯人だと暴露され、間違いなく処刑される。

 となれば、僕の取るべき行動は……。


「すまない。やはり僕は辞退するよ。王子には失礼になってしまうが、これから少し所用があってね」


 まったく、冗談ではない。

 よく、探偵が関係者を集めて推理を披露する場面がフィクションの本であるが、僕はあれを見ていつも思うことがある。


 所謂、『名探偵、皆を集めてさてと言い』という場面だ。

 あれが僕には馬鹿馬鹿しく感じられる。

 探偵が関係者を集めると聞いた時点で、推理を披露するからだとわかりそうなものだ。

 どうして犯人は、わざわざそんな場へ赴くんだ?

 その前に、逃げれば済む話じゃないか。

 賢い犯人なら、きっとそうするはずだ。

 というわけで、僕は所用があると嘘をついたわけだが……。


「今回の王子からの招集は、絶対命令です。逆らえば、厳しい処分が科されます」


 そんな、馬鹿な。

 まさか、招集を拒否できないとは……。

 今回招集をかけたのは、探偵ではなく王子。

 僕に拒否権はないということか……。

 裁きの時が近づいてきている。

 もう、僕にできることは何もない。

 できるのは、僕がヴィンセント王子を殺したことがバレていませんようにと、その奇跡を祈ることだけだ。


 しかし、自分でも薄々気づいていたが、そんな奇跡が起きることなど、ありはしなかったのだった……。

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