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2.疑問と申し出。

書けたら出す、って感じで更新します。

一日1~2話の範囲で。


続きが気になったらブクマなど!









 ――【聖剣・エクス】とは。



 人間と魔族が争い、世界のバランスが崩れた時に目覚めるとされる剣。

 それを手にした者は自身の中に眠る潜在能力――すなわち、限界まで鍛え上げることによって到達できる最高純度にまで、能力を強化できるとされる。

 一説には、エクスを所有する権利を持つ者はその声を聞くことができるとのこと。


 もっとも噂話の域を出ず、信憑性に欠ける情報ではあるが……。







「…………って感じだけど、本当なの?」

『大まかには、その通りですね』

「そ、そうなんだ……」




 レライエとの戦いを終えて、数日が経過した。

 その間にボクは、手元にある聖剣について調べてみたのである。で、その真偽を問いかけたところ、あっさりと肯定的な言葉が返ってきた。

 ボクはあまりの緊張感のなさに、思わず脱力してしまう。



「だけど、それにしたって変な話だよね」

『いかが致しましたか、マスター?』

「いや、だってさ――」



 しかしすぐに、疑問を抱いた。

 そして、それをエクスに向かって投げかける。



「人間と魔族の争いが起きると、エクスは目覚めるんでしょ? 前回の人魔戦争は、現在からちょうど二百年前。それから、人間と魔族の間に衝突は起きていない」

『ふむ……?』



 要するに、世界のバランスが崩れるような事態は起きていない。

 それにもかかわらず、何故エクスは目を覚ましたのか。

 その謎が残っていた。



『それについては、私にも分かりませんね』



 こちらが首を傾げると、聖剣の方も不思議そうにそう言う。



『私が目覚めた時は、決まって動乱の最中でした。しかし先日、カイウスさんと出会った日は今までになく平穏な中でして、こちらとしても困惑してしまいましたから』

「うーん。そっか……」



 つまるところ、エクスにも分からない、ということだった。

 だとすればボクにも、手掛かりというものはない。



「あぁ、そうだ。それともう一つ」

『いかがなさいました?』



 なので、もう一つの疑問に話題を変えることにした。



「エクスの声が聞こえるのって、英雄だけ……なんだよね?」



 というのも、文献によるところの英雄と聖剣の関係について。

 この噂によると、エクスの声を聞くことができるのは英雄だけ、となる。だけどボクは、この剣の声を聞くことができてしまっていた。

 それは、いったいどのような不具合なのだろうか。


 そう思っていると、エクスはさらりと答えた。



『それは、カイウスさんが選ばれたから、でしょう?』

「………………」



 ボクが、英雄たるものだ、と。

 それを聞いて、ボクは――。



「いやいやいやいやいや……?」



 思わず、顔の前で手を振りながら否定した。

 あり得ない。


 何故ならボクは、そこら辺にいる弱小冒険者だからだ。

 そんな人間が英雄だって?



「何かの間違いでしょ。きっとそうだ」

『いいえ。私はカイウスさんが、マスターだと確信しております』

「え、なんで……?」



 というわけで、全力で流そうとした。

 だが、そこでエクスは自信たっぷりにそう言う。



『理由は単純です。マスターには――』



 そして、そう考えた理由を述べようとした。

 瞬間だった。



「あ、あの! カイウスさん!!」

「え……?」



 ボクの名を呼ぶ少女が一人、現れる。

 声のした方を見ると、そこにいたのは赤い髪に金の瞳をした女の子。年齢はボクと大差なく、十代半ば、といったところか。

 背丈はそこまで高くなく、身の丈に合わない大きさのローブを羽織っていた。



「えっと、キミはたしか……リリーナ?」

「は、はい!!」



 ボクが名前を口にすると、少女――リリーナは大きく頷く。


 どうしたのだろうか。

 そう思っていると、彼女は幼い顔を緊張させながらこう言うのだった。



「あの、アタシと――」




 深々と、頭を下げながら。




「パーティーを組んでください……!」――と。




 思ってもなかった申し出。

 これは、そんなリリーナの一言から始まる小さな事件である。



 



次回、主人公に尊敬の眼差し?

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― 新着の感想 ―
[良い点] エクスが礼儀正しくて好感が持てる。 もしかしてエクスがヒロイン…? [気になる点] 1話1話が短くて読み応えが無く、それに加え描写があっさりし過ぎて感情移入がしにくい。
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