言語×少女=リスタ!
綺麗な街並み、行きかう様々な亜人達。
「うわぁ……めっちゃ栄えてやがる」
とても栄えた国、この国に最初に思ったことはそんなことで……。
「っていうか……国の門の前でこの賑わいって、この国の中だと一体どれほど」
そう、俺はまだこの国に足を踏み入れてすらいないのだ。
エルフが木で出来た弓などを売ろうと必死に客引きをしていて、ドワーフが自慢の品を敷物の上にズラッと並べる、剣、盾、鎧と品ぞろえは十分といえるだろう。
他には、ビーストが果実を絞って作った飲み物を売っていたり、人間が道行く人に芸を披露していたりする。
しかし……さっきから周りの声を聴いていて、一つの問題に気付いた。
「こいつら……何言ってるんだ?」
そう、周りの人たちが何を言っているかわからないのだ。
言葉が通じないって……結構な問題だよな。
ていうかたぶん、看板であろうプレートに書いてある文字もわからない……。
一応売っているものから何屋さんかは理解できるけど……。
「ど、どうしよう」
そうだよな、恐ろしいほどの時間が経ってんだ。
言語形式が変わっててもおかしくないよな。
ん~……どうするか。
「や、やばい、全然わからない」
言葉がわからなければ、人に聞くことすらできない。
それに、さっきから国に入っている人物が通行証や身分証明書みたいなものを門番に見せている。ことからも、俺がこの国に入るのは、いろんな意味で不可能な気がする。
「この壁……よじ登れるかな~」
い、いや……さすがにそれはよくないよな。
俺が、どうするかと思案していると、俺の姿に気づいた門番の一人が近づいてきた。
「セレティカ、ガウシナカル?」
「セレ……なに?」
表情を見るからに、心配して声をかけて来たって感じだな……あんた優しいな、ただな優しくされたところで言葉がわからないのよ。
「フユツルツシキ、ガウナルシカ?」
門番に話かけられた俺が導き出した答えは……。
「ガ、ガウナルシカ、ガウナルシカ」
適当に話を合わせることだった。
「クルエシミ、オクトシミンガ」
「オ、オクトシミンガ、オクトシミンガ」
俺の言葉を聞いた門番が、両腕を組んで怪訝な顔で俺を見てくる。
な、なんかまずいこと言ったかな?
「ユミルツキシ」
門番はそれだけ言うと、去って行ってしまう。
待ってろ、的な言葉かな?
まぁ……今路頭に迷ってんだ、下手に動くよりも待っていたほうがいいよな。
俺がそう思って待ってると、さっきの門番がフルプレートの騎士を連れてくる。
「シニカタギダ! フツルエミキ!」
うおぉ、なんか怒鳴ってる……一体何なんだ?
騎士は、俺をしたから上までしっかりと見た後、懐から何やら輪っかのような器具を取り出す。
「グリシギハダ、ギギシ」
何やら焦っている様子の騎士が、その輪っかの器具を俺の首元に近づけると、その器具が、俺の首の大きさになって、首輪になってくっついてくる。
「うわっ! 何んだこれ!? なにすんだよ!」
「ギリフィジタス!?」
なんだ? なんか驚いているな……ギリなんだよ、わからないよ。
騎士は俺の腕をつかむとそのままどこかに連れて行こうとする。
「な、なんだよ! 離せよ!」
「グリギハシタ!!」
結局騎士を振り払うことができず、俺が連れてこられたのは、何やらガラス瓶に青い液体や、愛玩動物としても人気なネズミガマがガラスでできた入れ物に入っていて、束になった紙には何やら計算式のようなものがびっしりと書かれていた。
なんだ……ここ……。
俺をここに連れて来た騎士が、このきみの悪い部屋の奥にある扉の中へと消えると……。
「ダキー!!!!」
その扉の奥から叫び声が聞こえて来た。
すると、扉を蹴り開けて、一人の少女が姿を現した。
少女はニッと笑っていて八重歯が見える。お世辞にも胸が大きいとは言えないが、身にまとった白衣は袖から腕が出ておらず、なんなら白衣は思い切り地面を引きずられていた。
そして、金色に輝く少女の長髪の合間からぴょこんと少し丸みの帯びたエルフの耳がのぞき見えていた。
少女は、懐から一冊のボロボロの本を取り出すと……。
「こ、ん、にちわ」
「あっ、こんにちは」
挨拶してきた。
俺が挨拶を返すと、少女は年相応な笑みと共に、俺に抱き着いてくる。
「ギシリキタシナ!!」
「いや、何言ってるかわからないよ」
俺がそういうと、少女はまたボロボロの本に視線を戻す。
「なに、いてるか、わからーないよ、グリデス、グリデス」
少女は俺が何を言ったのかを理解したのか、うんうんと頭を上下に動かしていた。
なるほどなるほど、とでも言ってる仕草だな。
その少女がまた年相応な笑みで俺のことを見つめてくると、またボロボロの本に視線をもどして、言うことが決まったのか本をぱたんと閉じて、深呼吸をする。
「わたーしは、リスタとー、もします」
私は、リスタと申します。と自己紹介をし始めたロリっ子だった。
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んじゃね~