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6. ディアーナは小さく復讐する②

「ねえ、アナスタシア。貴女は一日何時間くらいお勉強しているのかしら?」


ディアーナはアナスタシアに優しく微笑んだ。

アナスタシアは少し考える様子を見せると「5時間くらい」と答えた。


「よく頑張っているわね。アナスタシア」


9歳の平均時間は3〜4時間程度とディアーナは調べていた。それと比較すればアナスタシアの勉強時間は長い方だろう。


「ああっ、益々不思議ですお父様。わたくしがアナスタシアの頃には10時間。今は12時間勉学に費やしておりますのにっ!まだ候補でしかないわたくしが!!」


受験生でもあるまいし、朝から夜まで教師がついて、教養だのダンスだの学問だの、…バカか。

しかも今では教える事も無くなったのか同じ内容を繰り返しているのだ。

既に理解している事を繰り返されるなんて、拷問に等しい。


顔には出していないが、周りの近衛騎士や侍女達も驚いたのか父親である国王を凝視していた。

父親も視線に気付いたのか額には汗が滲んでいる。

それを見てディアーナは笑みを深くした。


「ですがお陰様で皆様が成人するまでに学ぶ課題を終える事が出来ました。今は何周目でしたでしょうか…。初回から満点だった筈ですが、先生方は耄碌されているのか同じ事を何度も繰り返しますのよ」

「そっ、そうだろう。それは全てお前の為だ!」

「ええ、ですから儀式を受ける資格は充分にあると思いますの」


そう返されるとは思わなかったのか両親が固まった。

アナスタシアはディアーナに賛同するように「うんうん」と頷いている。


「いや、お前にはまだ早い…ああそうだ、まだ早いでは無いか。お前はまだ魔法詠唱について学んでいないからな!」

「そうですよ!魔法詠唱が出来ない貴女に儀式は早すぎます」


両親揃って儀式を否定する姿を見て、ディアーナは心の中で「勝った」と高笑いする。

そんな心の声とは逆にディアーナは哀しげに目を伏せた。


「そうですね、平民でも()()()()()()()()()()()()魔法詠唱について、わたくしは一度も学ぶ機会を得ておりません」


魔法学と魔法詠唱は生活する上でも切っても切り離せないので、平民でも幼い頃に学ぶのだ。

日本でいえば、小学1年生で平仮名を習うのと同じ。

それを意図的に学ばせないのは…。


「わたくしは信じておりました。お父様お母様はご存知無いだけだとっ!だってそうでしょう…」


動揺する両親に向けて、哀しげに声を張り上げた。


「お父様達が()()()()()()()()()()()それは虐待ですもの!!」


我ながら演技派だな、とディアーナは自画自賛した。


セウェルスの成人年齢は18歳です

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