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13. ディアーナは困惑する

「つまりここはゲームの世界で、貴女は前世、異世界で生きていた記憶があると?」


シリルの問いにディアーナは素直に頷いた。

正直に全部話したが信じてくれるかはシリル次第だ。

瑠衣果だって目の前の人が「実は私は異世界人」なんて言ったら頭おかしいんじゃないかと思う。

だから出会ったばかりのディアーナを信用してくれるかは…


「信用しますよ。ディアーナ」

「はぇ⁈」


まさかこんなに早く信用してくれるとは思わず、ディアーナから間抜けな声が漏れる。

シリルは紫色の瞳を和らげるとディアーナに目線を合わせるために膝をついた。

ふわりとディアーナの髪を撫でるシリルの細い指。


「貴女から虚偽は感じない。それに先程感じた違和感の原因が前世の記憶だとすれば理解できますから」


中身は18なのに、撫でられる頭が気持ち良くて。

信じて貰えたことが嬉しくて。

ジワリとディアーナは自分の瞳が潤んだのを感じた。


「このままだと貴女は死ぬ。生きる為に抗いたいという事ですね」


シリルは撫でていた手を下ろすと、今度はディアーナの両手をそっと持ち上げて自身の両手で包み込んだ。


「王色と呼ばれる色を持たない王女にとって、前世を思い出す事は自らを守るために必要だったのでしょう」


ディアーナを見つめる瞳は限りなく優しい。


「そして()()()。貴女にも戸惑いがあったでしょう。貴女にとっては青天の霹靂といっていい状況ですから」


今日は沢山泣く日だなと、ディアーナは思った。

先程から間近にあるシリルの顔が歪んで見えない。

鼻はツーンとするし、涙がポロポロ流れ落ちてるのを感じる。


()()()()()よく頑張りましたね」

「シリル様…。()泣いてもいいですかぁ?」


もう泣いているのだが、しゃくり上げながらディアーナは確認した。

シリルは小さく微笑むと、おいでという風に両手を広げてくれた。

ディアーナは膝をついているシリルに飛び込こみ、シリルの肩に顔を寄せた後、首に腕を回した。

シリルは幸せそうに微笑むと、ディアーナの身体を抱き寄せ後頭部を撫でてやる。


「ディアーナ。私の元を巣立つまで、私が貴女を守りましょう」


それってつまり…ディアーナは少しだけ顔をあげる。


「貴女の弟子入りを認めます」


シリルは微笑むと泣きすぎて真っ赤になっているディアーナの鼻先へ唇を寄せた。

「!!!!」ディアーナは状況が理解できずまた固まる。

衝撃で涙がピタリと止まり、驚愕した顔で息が触れ合う程近くにあるシリルを見た。


まさか幼女趣味なんじゃ!!

ディアーナは困惑するがシリルは幸せそうに微笑む。


「10歳の女の子が弟子入りするのが嬉しくて。息子は居たんだけど娘が居なくてね。娘を持つのが夢だったんですよ」


だからディアーナが娘みたいで嬉しいと、ウキウキしているシリルを見て、ディアーナはゲームのシリルと違う…と益々困惑するのだった。


シリルの見た目はどう見ても20代前半。

子供が居るなんて設定にあったっけ?

なんだか重要な事を忘れているような気がする。

う〜ん、思い出せない!!

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