表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/200

12. ディアーナは告げる

私ディアーナ、10歳。違う、中身は18歳。

そう、身体は子供。中身は普通の女子大生だ。

超絶美麗イケメンの腕の中でお姫様抱っこされてる状況に、平静でいられる人が居れば教えて欲しい。

家族を見てたからイケメン耐性はある方だけど、これは度を超えてる。


固まっているディアーナをニコニコ見ているシリル。

それを見ていた祖母であるティターニアは困ったように溜息をついた。


師匠(せんせい)、彼女はディアーナ。セウェルス第一王女です」


祖母がディアーナを紹介した。


「やあディアーナ。私は賢者シリル。賢者の弟子になりたいのはディアーナかな?」

「お、お会い出来て光栄です。ディアーナ・ヴェド・セウェルスと申します」


最初つかえたが、後はスラスラ名前が出てきた。

教育の賜物だと、ディアーナは恨み辛みが残る教師達を少し見直してやった。

シリルはディアーナの瞳をじっと見た後、不思議そうに首を傾げた。


「少し不思議な感じがする子だね。同じだけど違うような…」


瑠衣果の存在に気付いたのだろうかとディアーナは瞠目する。

シリルはディアーナの瞳を見つめたまま「ふたりにしてくれませんか?」と祖母に向けて依頼した。

依頼された祖母は仕方なさそうに肩を竦めると、護衛や侍女達と一緒に退室していった。


そして部屋に残ったのはシリルと、シリルにお姫様抱っこされたままのディアーナのみ。

シリルは少し名残惜しそうにディアーナを床へ下ろすと、手を引きながらディアーナを窓の近くへ誘導する。

丁度太陽が真上にあるため、窓の外からは眩しいくらいの陽が部屋に差し込んでいた。

「いい天気だ」とシリルは独り言のように呟いた。


「私はね、ディアーナ。弟子をとる時に必ず聞く事があります。『弟子入りの儀式』とも呼ばれているようですが、私にも責任がありますからね。通過儀礼のようなものだと思って下さい」


これは賢者シリルの弟子入りイベントで聞いた台詞だ。

ディアーナはゴクリと唾を飲み込むと、シリルの言葉を待つ。


シリルはディアーナから手を離すと、ディアーナを見下ろしながら今度は感情をのせない静かな声で尋ねた。


「賢者シリルを求める目的は?」

「死にたくないからです!」


間髪入れずに力強く答えるディアーナ。

力を入れすぎたのか両手は握り拳が作られている。

シリルは僅かに目を見開くと「死にたくない?」とディアーナの言葉を繰り返した。


瑠衣果の記憶がある事も、全部伝えた方が良いのかもしれない。

何しろゲームの選択肢は黒歴史も全部正直に伝えるだったから。


ディアーナは決意するとシリルに向かって一歩足を踏み出した。

先程までの超絶美麗イケメンパニックは治り、今は落ち着いている。イケメンより死にたくないという気持ちが勝ったらしい。


だからディアーナはシリルを真っ直ぐ見つめ、口を開いた。


「賢者シリル様。わたくしには前世の記憶があるのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ