リアル・ゲーム～変貌した世界のたったひとりの冒険者～

第一章

プロローグ

「…見つけた」

　黒い服に黒い靴、黒髪黒目。全身黒ずくめの少女は、そう呟いた。そして、何やら操作し始める。

「うん…ここなら、《ＲＧ(リアルゲーム)制作実験》か《ＩＳＫ(異世界)変貌実験》がいけそう…」

　うぃぃぃいん、と少女の周りの機械が音を奏でる。そこから生み出されていく光。少女が細い指を振ると、その光は資源豊かなある星に向かっていった。その星には人類も動物もおり、海が七割。これは最適の条件だと少女は満足げに頷く。

　その星とは――地球。

「楽しい“ゲーム”を見せてくださいね…。太陽系惑星No.3《チキュウ》の皆さん」

　にっこりと微笑んでそう告げた彼女の瞳は、純真な悪意で光っていた。

　2028年。地球に、大きな光が直撃した。

　その光を浴びた大地、人類、動物は変質し、そのありようを永遠に変えた。