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おっさんなんだから異世界転生なんて知るわけがない

スゴく適当な部分があるので後で修正するかも


少年愛…古代ギリシャにおけるパイデラスティアしかり、日本の戦国時代の稚児との男色、江戸時代からは衆道や歌舞伎の陰間、ローマやアラブといった所から見てもそれは文化や時代に関係なく存在したものだ。


同性愛を禁忌とするキリスト教圏においてすら修道士間やその見習いや聖歌隊等の侍童らとの関係は長い間黙認され、許容されていた。

罪に問われる者もいる中で罪を告白し懺悔すれば免罪され、庶民の生活は雑魚寝が普通で寝台を共用する事も多くあった時代故にか庶民の間でも同棲愛は少なくはなかった。


しかし近世に入り道徳観念も厳しくなっていくと少年愛は厳しく取り締まられ弾圧されてゆく。日本にも明治維新後西欧からキリスト教的モラルが輸入され世界的に少年愛は日陰に潜む事となる。



そして…時を経て現代。

とあるアニメ雑誌の編集長が、少女を好きならロリコンなら少年を好きなら何と呼ぶべきかと問われた際、有名アニメキャラクターの少年の名前を取って…

『ショタコン』と答え、我等を名付けた。



そう、ショタコン。庇護欲を煽る幼さから来る愛らしさに、大人の階段を登るにつれて男らしく逞しく格好よくなっていくという、キュートとクールの混在する存在…ショタを愛しみ愛で愛する変態紳士。


「ぶっちゃけホモじゃね?」


等と言う支離滅裂な暴言と戦う戦士でもある。





俺は、その戦士たちのヴァルハラ。紳士にとっての社交会。この世の桃源郷。

ありとあらゆる言葉で言い表しても物足りない、天国のような場所…ショタ同人即売会に訪れていた。


都心で行われたそのイベントには職業的に忙しく予定を合わせるのも大変だったが、なんとか休みを取って参加できたこのイベントに俺は感極まっていた。この業界の有名サークルが数年ぶりの新作『最後の紅葉』を出すとSNSで告知し、競争率の非常に高いその新刊をやっとの思いで手にする事ができたのだ。


写実的で美しい作風でショタ同士或いはショタと大人のセンチメンタルで甘い恋愛劇を描いてきたそのサークルは俺自身以前からファンであり、その作品は電子書籍では全て持っている。

ただそのサークルは意図的に冊子の部数を絞る傾向があり実物を手にするのは至難であった。


新刊…それも電子書籍もまだ出されていない実物を手にした俺の気持ちは昂り、紅々としたその美しい表紙をめくって早く読んでしまいたいという気持ちを抑え、その後も他にチェックしていたサークルを周ったのだった。


__________


「ふん〜ふっふっふんふーん♪」


上がりきったテンションにより年甲斐もなく鼻歌を奏で、即売会も卒なく終了し、10冊程を紙袋に詰めた俺は自宅のある埼玉へ帰宅すべく足速に駅へ向かう。その道中は丁度夕焼け模様で、その真っ赤な空はもう殆ど散ってしまい地面に微かに残る紅葉を感じさせた。


「っ……うおっ!!」


思わず声が出てしまう、駅改札から進入した先にあるホームは、夕方というラッシュ時間帯故だろうか、制服を着た学生らで溢れていた。


「見渡す限り学ランだ……近くに男子校でもあったっけここ」




どこか気恥しさを覚え、男子学生の集団から離れた線路沿いまで進むと、隅のホーム状に立つ男の子を見つける。

歳は中学生か少し背の高い小学生といったとこだろうか、スポーツウェアらしい光沢感のある深緑のジャージを着ており、エナメルバッグを背負っているから恐らく部活動か何かの帰りだろう。


YES正太郎 NOタッチ。俺はその子とは少し距離を開けて斜め後ろ側に立ち横目で観察する。

邪な事を自覚しつつも眺めていると、スポーツっ子らしい彼の顔色がおかしいのに気付いた。


痩せ型ではあるものの、どう見ても健康児のはずの彼の顔は青白く、生気がないように思える。

こんな歳の大人が声を掛けるのもアレだが…少し勇気を振り絞って近づいてみる。

横から見た彼の瞳は視点が定まってないようで、気の所為かフラついているようにも見える。明らかに体調不良だ。



「ねぇ君、大丈____…






俺が声を掛ける間もなく、少年は線路に落ちた。それも頭から。


まずいまずい救急車…の前に駅員さんを呼べばいいのか?


『まもなく 2番線に 特別快速 ■□行き下り電車が通り過ぎます 危ないですので 黄色い線の内側まで…』


焦る俺を責め立てるように無常にも、よりにもよって快速急行のアナウンスが流れる。考える間もなく、覚悟を決め俺は咄嗟に線路に飛び出た。


「誰か!!非常ボタン押して!!」


誰かが非常停止ボタンを押し、間に合ってくれる事を祈りつつ、俺は気を失い落ちた少年を持ち上げようとして__


「っ!?重っ…」


エナメルバッグのショルダーベルトが少年の脇に引っかかり、少年を抱えられない。左手で少年を支え、エナメルバッグを必死に退ける。

エナメルバッグを退いて少年を持ち上げた時には、駅のすぐそこまで電車が見えていた。


キイィンと、急ブレーキを踏んだであろう不快音が鳴るが俺はそれは既に手遅れであることを知っている。仕事上重機や大型トラック等を運転していれば当たり前に理解していることだが、ブレーキというものは車両が重く、スピードが出ているほど止まるのに時間がかかる。それは電車も同じ事でどれ程一般車両と比べ物にならない高性能なブレーキを搭載していようが、何十トンもある車体はその勢いを殆ど殺さずそのまま線路上の人間なんて挽き肉にしてしまうだろう。


ああ…


「俺の分まで、生きてくれよ…」


中学生の少年ともなれば、その体重は50キロ近くにもなるだろうが、職業柄重い荷物を運ぶ事にも慣れている俺は、赤子のように軽々持ち上げ、少年をホーム側に押し戻した。


ああ、新刊最後に読みたかったなぁ…








________________________


次のニュースです、午後5時半頃東日本■■駅にて、埼玉県在住の土木作業員(38)男性、冨田宗侍郎さんが■□行き下り電車に轢かれ死亡しました。冨田さんは線路に落ちた少年(13)を救助しようとして線路に降り、そのまま電車に轢かれたとのことです。

少年は冨田さんによってホームに持ち上げ救助されて病院に搬送されており、重度の脱水症状と線路に落ちた際に負ったとみられる軽い打撲や擦り傷等が見られ…________________________________



秋の収穫祭(ホロウウィーン)に聖人を偲び讃える万聖節も滞りなく終わりを迎え、来月末の聖夜の日に備えて聖教圏の国々では聖教信徒達が忙しなく活発に動き回っている。それは聖教発祥の地、聖国でも同じ事だ。

だが唯一、王都の聖教神殿のとある一室において、厳粛で重々しい空気がそこでは保たれていた…。


その一室ではこれから行う儀の為4人の人物が集っていた…成人前に即位し、齢50を越えながらも現役の聖国国王バーソロミュー・レインホワイト二世。


腰まで届きそうな長い白髪の老人は前代勇者を見届けた生ける聖人、来年度で齢100になる怪老、聖アハト・バレンタイン教皇。


前述の面々とはうって変わってまだ年若気な容姿の少女、女神官として幼い頃より神殿で修行してきた齢14のローリー。


そして…燃え盛る聖火の炎のような赤髪、純朴なその瞳は清廉さを表すような澄んだ蒼い碧眼。

中肉中背のように見えるその肉体は着痩せしているだけで、その厚い革鎧(レザーアーマー)の下には年齢不相応な高密度の筋が納まっているだろう。上半身の翠竜石(ドラゴンアイ)のネックレス、分厚く仕立てられたばかりであろう傷一つない革鎧はともかく…下半身の、丈夫さと機能性を重視した麻のズボンやゴム靴は他の面々と比べるとみすぼらしく安っぽいが、それを補って余りある高貴さを醸し出してる。

冒険者や戦士といった感じの少年は齢は13。名をアダン・フレクシ。この場における主役である。



「では余、バーソロミュー・レインホワイト二世の名において、汝アダン・フレクシ・クレメンスの勇者任命を行う」


聖国国王バーソロミューの言葉と共に、少年アダンは国王の前で跪く。 そして、アダンの前にいつの間にやら…両手で純白の鎧を持った近衛兵士がアダンから少し離れ横側まで迫っていた。


「汝アダン・フレクシ・クレメンスを聖なる神々が遣わした使徒、勇者である事を余が認める…そして習わしにより王家が財物を汝へ賜る」


フレクシとはフレク村の出身者を表す姓の事で、 元々姓のない者が村を離れたり行政的な名乗りが必要となった際に与えられる。

そして、クレメンスは聖国の名称、正式には聖クレメンス王国で、国を代表する者や有力者、国名を背負うに値する者に与えられる氏で日本で言うところの(カバネ)に近いか。


「有難く」


そうして近衛の手により、アダンに白鎧____ミスリルのプレートアーマーが授与された。これをもってアダンは聖国の勇者の地位を得た事になる。


国王はそれを見届けると後ろに下がる。国王が元いた場所に、続けて聖教教皇が移った。


「アハト・バレンタインの 名により では これより 聖なる神の 名において 新たな勇者 アダンの 神器作成に とりかかる 勇者よ 神器の器を」


台詞が記されているのであろう紙をその老眼で睨みながら、抑揚のない独特のトーンで読み上げている。


「はい」


アダンは、先ほど手渡されたばかりのその鎧を、今度は女神官ローリーへ手渡す。今度は教皇が、女神官へ向けて話す。


「ではこれより 精霊 神降ろしの義を 執り行う 従順なる 神の信徒よ よいな」


「承知しました、聖アハト陛下」


そして、ローリーは教皇へあるものを手渡す。


「神の御子 勇者アダン 其方が共に 在りたい者を願え 守護精霊の憑依を 行う」


そして、女神官から教皇へ、教皇から勇者へと回り回ってアダンに手渡された、成人男性の親指がすっぽり納まる大粒のエメラルド…付与魔術師によって魔石化されたそれには、アダンには計り知れないほどの膨大な魔力が込められている。


「それが其方の 神器の核となる 神か 等しい精霊 其れを背負い続ける覚悟が 其方にはあるか」


義務的な、形式ばったものから、アダンを問い質すものへと変わった。しかしアダンは動じない。


「元よりこの生涯天命に捧げるつもりです、覚悟の上です」


その口調は今までの形式的な返答と変わらない。しかし、大老アハトには伝わったのだろうか。


「では 願え 共にあるべき 其方を見守る存在を」


「勇者様、儀式が整いました……器へ、核をお入れ下さい」


女神官ローリーの言葉で後ろを振り返ると、女神官によって魔力が注がれたのであろう、白鎧が薄く光り輝いていた。

王から授与されたその鎧…ミスリルを用いた薄いプレートアーマーには、胸部の丁度中心に位置する部分に小さな丸い空洞がある。

それはアダンの身体に合うよう仕立てる際わざと空けられたものだ。


アダンは願う。然してそれは決して他力本願的な、神や精霊の力に甘えるものではなかった____。


田舎の、そこまで裕福でもない家庭で生まれたアダンは、両親や周りから並々と愛情を受けて、真っ当に育った…。

転機はアダンが7つになったばかりの頃、王都からの使者に勇者の選別に選ばれたと、王命によって連れられ両親から引き離され孤独な生活を送ることとなってからだ。


毎日毎日訓練に座学漬け、周りの大人達から選ばれたものだと勇者だと煽てられても…王都の神殿では同年の友人も作れず、孤独な日々を過ごしていた。

アダンだって敬虔な聖教信者であるし、勇者としての…生きた地上の神の使徒であるという自覚はあるしそれを全うしようと覚悟しているが、それでも寂しい想いを毎晩母から受け取ったネックレスを見て涙を堪えるのは、両手で数え切れぬ程あった。



だからこそ、願ったのは『親のように見守ってくれる』存在。

そして鎧の空洞部分に、緑かかった光を放つ魔石をそっと…はめ込んだ。


ミスリルの白々しい輝きはエメラルドの緑光に染まり、部屋一面に染るほどに強くなる。その光は霊的な存在を呼び出すためのもの…。

それはアダンの願った『親のように見守ってくれる』、アダンと波長の合う、そして何より精霊と人々に崇められるだけの‘徳’のある、最適な存在を召喚させる。次元を越えて異世界や時間軸を無視しあらゆる可能性の中から選ばれた存在は形をなさない。神に仕える職である教皇や女神官や、勇者の目にのみ、白い煙の塊として映るそれはゆっくりと鎧に引き込まれ、吸収されていった。


女神官ローリーが呟く。


「憑依確認、邪性……極めて微弱、守護精霊…司るは愛情、これをもって神器は完成致しました」



_____________




電車に轢かれて死んだら目の前に美少年がいました。





いやどういう事だ?ここは天国か何か?そういやなんか教会っぽい…シスターさんもいるし、金縛りにあったみたいで身動きが取れないのだがどうにかしてくれないだろうか 。


『どうぞアダン様、お受け取り下さい…守護精霊様の憑依された、神器となっております。貴方が悪行を成さず勇者として、善行を積む限りアダン様を見守り時にはお力添えして下さるでしょう』


シスターさん近い…耳元でハキハキと喋られてるようだ、ってかいつまで人の事持ち上げてるのかなぁ…って!俺80kg以上はある筈だぞ?!なんだこのシスター霊長類最強女子か!こんな顔してガタイのある男をダンベル代わりにでもしているのか!?



中々に失礼な事を思われながらも、当の本人は知らぬままにその鎧を抱えてアダンに手渡す。


『…ローリー神官さまは今回の儀式の為に三日三晩飲まず食わずだったとお聞きしております。お身体の方は大丈夫でしょうか』


『大丈夫ですよ、清めの為の断食は馴れてますし、飲まず食わずとは言っても、起きている間だけで、細かい睡眠時間を設けてその間に口に水を含ませていただいておりますので……何よりも新たな勇者の門出に立ち会えたこと、それだけでも報われました…勇者アダン様のご武運をお祈り致します』


『…ありがとうございます、まだ未熟者ではありますが、ローリー神官さまや、皆に応えられるようよりいっそう励んで参ります』


よく分からないのだが、これは演劇かドラマの撮影か何かだろうか?何にせよ他人…いや死んだから他霊か?を巻き込まないで欲しい。

…って、そうか俺死んでるんだよなあそりゃあそうだ霊なら無視されるし、なんなら金縛り状態なのも納得がいく。

だが、そうだとしたらシスターさんや美少年くんに持ち上げられてる〝 感覚〟は、一体なんなんだ?


『アダン様、もしよろしければ今こちらで神器を纏ってはいかがでしょうか、ぜひ鎧姿を拝見したく思います』


唐突に、美少年くんが俺の脇(?)や股(?)を弄ってくる……とても嬉しいのだが身動き取れない状況が分からない中でそういうプレイは…いやしかし

《神器:名無しの守護精霊が装備されました》

………は?



『金属鎧なのに、仄かに温かみを感じます』


『きっと、守護精霊様の温もりにございましょう』


待ってくれ、突然響いたアナウンスみたいなのは何なんだ?それに今__美少年くん‘俺の内側’に入ってる!?


『なんだか不思議な気分です』


いや美少年くん、こっちの台詞だよ。誰か状況を説明してくれ。


《ご説明致します》


また出やがった。


《ここは生前のアナタがいた世界『天寿星』とは異なる世界、『天英星』です。アナタは生前の行いによる徳により、精霊に昇級致しました。これにより守護精霊としての役職を設けられこの世界の勇者アダンの願いによって選別…………………………》





ごめん、もっと噛み砕いて説明してください。

月2話以上投稿、エタらない事を目標に…頑張る

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