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俺が死なない理由  作者: わかばひいらぎ
6/8

その5

あれから数日。特に何事もなく(リペラに)怯える日々が続いた。が、全く殺される気配がない。さすがに諦めたのか?というよりよく考えたら殺される動機もわからないのだが。さて、それより憂鬱なのが今日からまた学校なのだ。長い夏休みの反動は想像以上のものである。憂鬱な気分のままリュックを背負って学校へと向かった。


○○大学。俺の学校だ。これは名前を隠しているのではなくこういう名前の大学生なのだ。校内に入ると、会う約束をしていた友人、交田と合流する。彼は以前まで真面目な交田として有名だったのだが、あのパーティー以降ちくわに毒されてしまった。

「よっ、あのパーティー以来だな」

「ああ、あの日は俺にとっての革命記念日だ」

彼はもう後戻りはできなそうだ。

「なぁ交田」

「ん、なんだ?ちくわが欲しいのか?」

「え、要らない。それよりさ、俺がポインターかなんかで狙われてたら教えてくれね?」

「は?お前が狙われる?頭がおかしくなったのか?」

それはお前の方だと反論したい気持ちをぐっとこらえる。

「彩斗。そんなことよりもう始まるぞ。急ごう」

こうしてまた学校が始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


○○大学屋上。二人の人間がそこにいた。一人はハゲ。もう一人は…ズラをかぶっているがこちらもハゲだ。

「なぁ、本当にただの大学生なのだろう?」

「ああ、そう聞いとる。でもなぁ、仕掛けた罠全部抜けたらしいで」

「ふん、それでまだ生きているというわけか」

「そうや、組織も落ちたもんやなぁ。わざわざ大学生殺すためにワイらを呼ぶなんて」

彼らは生きとし生けるものに恐れられる暗殺者。今回は緊急任務として呼ばれたらしい。

「とりあえず、この銃で頭を撃ち抜いてやろう」

「でもなぁ…気いつけな」

「ん?」

「あいつは寝てるとこ撃とうとしても生き残ったっちゅう話や。何持っとるかわからへん」

「なに!?寝込みを襲ってもか」

「そうや。もしかしたら毛髪組の連中かもしれん。だから普段のターゲットより気張っていかなあかん」

二人の暗殺者は不死身のターゲット藤見彩斗を殺す準備を着々と進めて行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


やった終わった。やっと終わったよ。普段家でゆっくりしてる時間よりも短いのに何故か講義は長く感じる。というより、交田がシャーペンをちくわの穴に挿して筆箱代わりにしているせいで集中もできなかった。いつも教材で重くなっていたリュックも今はちくわでパンパンだった。ちくわパーティーの罪は重い。

「どうだ彩斗。今日久しぶりに家に来ないか?世界のちくわを振舞ってやる」

ああ、行く。そう言おうとした瞬間…


!?


あの音だ。ギター音だ。辺りが白黒になり、交田も「か?」の口の形で固まっている。

「よっ!学生生活お疲れ様です!」

リペラがどこからかひょっこりと現れる。

「ああ、リペラもお疲れ。で、なんで死にそうなの?俺」

今のところ死にそうな原因は見当たらない。

「うん、彩くんからは見えないよね。今ね、彩くんの後頭部辺りに弾丸があるの!」

何故か無邪気に喜ぶ。「弾丸があるの!」じゃねぇよ。だが確かに、ギター音の直前銃声がした気がする。

「で、それをどかす代わりになにかしろってことだろ?何がいいんだ」

彼女にオネダリされるのもすっかり慣れてしまった。さて、次はどんなことをしろと言われるのだろうか。

「うーんとね、うーんと…」

さすがに大学校内。特に面白いものはそこら辺に転がってない。今も、俺の周辺にいるのは交田だけ…ん?

「おいリペラ。こっち来い」

「ん?なに?」

「こいつのリュックの中のちくわいくらでも持って行っていいぞ」

「え!本当!?彩くん大好き!」

彼女は万遍の笑みを浮かべて交田の元へ向かう。ごめんな交田。リペラは交田のリュックを開け少し引いたあと、その中からごっそりとちくわを奪い取った。

「容赦ないんだな…」

「えへへー。じゃあお礼にこの弾丸この人に当てようかな〜」

「どんなお礼だよ」

ちょっとしたジョークを混じえつつ、近くの木の方に弾丸持って行く。そして「バイバーイ!」と手を振ったあと、弾丸を離し、時間が動き出した。

「ん?何かあったか?」

交田が不思議そうな顔で見つめてくる。

「あ!あれ?ちくわがない!?」

リュックの重さで気づかれたようだ。そして、彼はその場に崩れ落ちこちらを睨みつけこう聞いてきた。

「お前か!お前が犯人か!?」

「違ぇよ!そんなもん取るか!」

そして、ガックリと形を落とし、

「…すまん。一人で帰る。もうそろそろちくわ神への礼拝の時間なんだ…」

と、よく分からないことを言い帰っていった。さて、じゃあ俺も帰るか…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何!?死んでいないだと!?」

銃で撃ったはずの少年がピンピンしている。その現実に凄腕暗殺者は唖然とした。

「ワイらも引退する時期が来たっちゅうことか。子ども一人殺せへん奴が暗殺者名乗る訳にもいかん」

「そうだな…、行くぞ。ああ、そうだ。ボスに言われた通り、この手紙を届けておけ」

「おお、そうやった。殺せへん時はこれ送るんやったな。仕事は最後まできっちりせなあかんし。任しときや」

こうして世界を震撼させてきた暗殺者はここにピリオドを打った。

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