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異世界での俺の肩書き2

ゴリサンさんが去った後部屋に入ると、カルゴさんと小柄な怪しい人?が座っていた。

体躯的にはバニス卿より少し大きいくらい、頭から大きな黒い布を纏った上に顔を木造の仮面で覆っているあからさまに妖しい変な人だった。あまりの怪しさにポーズをとるのを忘れているとカルゴさんが、

『ゴロウマル、こちらが今日から君の部下になるアーネだ。では私はこれで』

そういい残しその場から退室した。

えっと、なんとなく言葉の意味は伝わったわけだが、状況が全然わからん。俺の部下って俺部下とかつく立場の人だったの?裸で毎日ポーズとるだけの俺に?

わからん、全然わからんがとりあえず挨拶しよう。

『ハジメマシテ、ゴロウマルです』

『…っ初めましてアーネ…ズキ…ネットといいます』

声が小さくて全然聞こえなかった。まぁさっきカルゴがアーネといっていたのでそれで名前は間違いないはずだ。

『ヨロシク、アーネ』

『は、はいこちらこそよろしくお願いします…』

それで、このあとどうすればいいんだ?

俺が一考しているとアーネは居心地悪そうにそわそわと首を動かしていた。仮面をしているので表情はわからないが多分落ち着かないようだ。なんか声をかけたいが俺は残念ながらかける言葉を持っていない。なぜならそんなに難しい言葉は覚えていないからな!

だがしかし、お互い気まずい感じになっているだけではいつまでたっても事態は進まない。仕方が無いので早速実戦練習に入るとしよう。

『シャカンのポーズ!』

俺がそういいながらポーズをとるとアーネから小さく感嘆の声が上がった。俺はそのポーズがアーネ的におおむね好評だったようで安堵する。後輩は素直なほうがやりやすい。

『ツギ、キミ、ヤッテ!』

俺がそういうとアーネは

『え!』

と、初めて大きな声を出した。

『ヌノ、トル』

『え?え!』

あからさまに挙動不審になるアーネ。本当にと確認でもするように自分を指差しておろおろとする。

『ヌノ、トル、ポーズ、ワカラナイ』

俺はそう自分で言って気が付いた。あれ、もしかしたらこの布の下、盆栽なんじゃね?と。そりゃそうだろ。俺の部下なんだから。

もしかしたら俺よりもっと盆栽に近い感じのタイプで、というか盆栽そのもので、しかも俺のすごく好みの盆栽なんじゃね!そうだ!そうに違いない!動く盆栽に違いない!

『ミセロ、ハヤク!』

俺はクリスマスにおもちゃの包装紙を破る子供の如くアーネの纏う布に手をかけ、引っ張る。

『え、いや、いや!』

いいじゃねぇか!どうせバニス卿には見せるんだろ!早く見せろその奥の盆栽という名の迷宮を!

俺が強く引っ張ると仮面が落ち、アーネの顔が露になった。色白の顔に、赤色の眉、切れ長の赤い瞳をした美しい少女であった。その少女の瞳に途端に涙が滲む。

「いやだ!助けて、おとうさぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!おかあさぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!」

劈くような叫び声で俺にようやく理性が戻る。声は小さな女の子のものであった。これでは完全に変態のそれであり、初日からセクハラ全開であり、裁判になるとどう言い訳してもこちらが負けることは間違いなかった。とにかく謝ろう。両親の名を叫ぶくらい怖がらせてしまったことを心から謝ろう。本当、お父さんお母さんなんて久しぶりに聞いた…ってそれ!

「日本語じゃねぇか!」

俺の叫びにアーネはその場で座り込みながらも、

「日本語です」

小さいながらもはっきりした声でそういった。日本語だった。なんかもう響きだけで泣けてきた。

「さすがはバニス皇女直属、最高幹部三魔将の一角、美のゴロウマル様。日本語まで知っておられるんですね」

感動の涙が引っ込んだ。

「え、なにそれもう一回言って」

「す、すいません拙い日本語で間違えてしまいましたかもです…、麗しのゴロウマル様のほうが正しかったですよね…。すいません、すいません」

消え入りそうな声で謝る少女には申し訳ないし、日本語は確かに難しいけど問題はそこじゃないんだ。

「そうじゃなくて、俺、最高幹部なの?」

「え?」

ホークシーの呆けた顔に俺も思わず呆ける。

「え?」

ホークシーはもう一度呆けた。


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