清原勢三郎の追想

一族が実験台にされた研究で唯一生き残り、その身に人ならざる力を宿した勢三郎は、捕らえ、逆らえないよう呪印を施され、従順な道具となるよう育てられた。そうして人生を諦め生きていた勢三郎は、ある時魔物退治の仕事で山に入りそこでとても美しい女の姿をした魔物に出会った。彼女の優しさに触れ彼女に惹かれた勢三郎は、彼女との交流を重ね、彼女もまた自分と同じように死ねないから生きているだけで本当は死にたがっていると感じ、彼女と心中する夢を見た。結局、魔物を殺すことができなかった勢三郎は、生け捕りにして連れて帰るという言い訳をして、彼女を連れて旅に出た。そんな勢三郎に魔物と番って子供を作れとの命令が下る。仕事と自分の想いの狭間で苦しみ、それでも想う人との生活に幸せを感じながら、勢三郎は苦悩し、自分の生き様をどうするか決めていくのであった。
正蔵沙衣の最初の夫、清原勢三郎の生涯を綴った物語。