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終末少女の黒幕ロールプレイ  作者: Red_stone
第1部:箱舟編
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第13話 鬼ごっこ side:ルナ


「やれやれ」


 少し疲れたよ。他人と話してると気力ががりがりと削れていくね。しかも、相手は強面の軍人さんと言うのだから。いや、弱さを肌で感じるから怖くなかったけど。いや、しかし。


「いやぁ。僕の身体って、すごいなあ」


 本当にそう思う。僕は僕の身体を動かすにあたって、いくつかアプリを実行するような感覚で操作している。

 いざとなれば思考速度を加速させればいいし、どんな時でもすらすらと言葉が出てくる。人間のころは結構どもっていたものが、この体ではそんなことはない。


「ま、あちらの人たちについては一旦終わったし、どうなるかも僕の感知するところじゃないから放っておけばいい。問題は……うん、ティターニアとディラックだね」


 あの子たち、死にそうな顔をしていた。そんなに叱られたのが辛かったかな? なんてわけがない。いくらなんでもそんなことであんな顔はしないだろう。なら――


「拒絶された、と考えたか」


 考えてみれば、オンゲ時代の僕のやってたことってネグレクトだよね。

 どうしようもなかったとはいえ。命令だけやって、あとは放置。なぜかあの子たちは僕を慕ってくれているようだけど、憎まれても仕方ない。

 あの子たちが僕を好く理由なんてシステム上、好感度を最大に上げたからに決まっている。僕自身は憎まれても不思議のないことをやっている。


「いや、それは逆だ」


 そう、逆。だから嫌われる、のではなく――ゆえに依存する。僕は元々人間の心理というものに興味があった。だからいくつか知っている。

 こういう虐待された子供というのは、たいていの場合は親が悪いとは考えない。むしろ、自分が悪いと思ってしまう。

 思い詰めて自傷に走るケースも多い。


「それは、見たくないな」


 あんなにかわいい子たちだ。

 笑っていてもらいたい。あの場で全部投げ出して、あの子たちを抱きしめてあげられなかったのは僕も人間ということか。身体は違っても、心は。今やってることを投げ出して、なんて中々できない。人間というのはやっていることをやめるのにストレスを感じる生き物だ。

 でも、そんなことは捨て去ってしまいたいほどに僕は、あの子たちのことが――


「……大好きだよ、みんな」


 そう確信したのは図書館でみんなを集めて顔合わせしたときだった。自然にこう感じた――僕らには、僕らしかいない。つまるところ、本能で同族と認められるのはあの子たちだけだ。話の通じる犬猫と友情を交わすことはできても、愛情を交わせることはない。

 ……あの犬猫、皆にひどいことを言ったやつ以外は幸せになってくれればいいけど。ま、そんなうまい話はない。僕のしたあれはただ阿片を嗅がせてやったに過ぎない。やはり世界はくそだね。


「そんな世界でも、幸せになることはできるさ。心次第で……だから、ねえアリス。……遊ぼうか?」


 こそこそとついてきたアリスに言った。いつものように抱き着いてこなかったのは、僕があの場でついてくるなオーラを発していたからだろう。

 あの子に遠慮させている。もう少しわがままを言ってもらいたいものだけど。


「……あそぶ?」

「そう、きっと遊べばいいんだよ。楽しいと思えれば、それで幸せだ。ここを難しく考えてしまうと、袋小路にはまってしまう」


「ルナ様が言うなら、そうするけど」

「あの二人のこと? 大丈夫だよ、ちゃんと考えてる。あの子たちに必要なのも、一緒に遊んであげることだよ」


「おこらなくて、いいの?」

「注意しておかなかった僕が悪い。いや、そもそもが悪いなんてものでもなかったんだ。あれは叱ったから、もうおしまい」


「あまい、とおもうよ」

「そう? あんな顔をさせたあたり、考えなしに大きな罰を与えすぎたかなって反省したけど」


「ルナ様は、なにもわるくなんか……!」

「いいから、アリスも僕と遊んでくれるんでしょう? さあ、遊び相手を誘いに行こうか」


 やっぱりか、とわからないように歯をかみしめた。僕がどうか、それを全く考慮することなく、何かがあれば自分が――この場合は自分たちが、かな。悪いと思う。思ってしまう。僕が悪いなんてこと、それこそ無数にあるだろうに。


「二人はティターニアの部屋にいるよ。気配は消していこうか。ああ、これは遊びだから真剣にやらなくていいよ」

「……?」


 わかっていない様子。というか、もしかして遊びという概念そのものがわかっていない? それは不幸だと思う。

 楽しいことが遊びなのだから。それを知らないというのは……きっと、僕のせいだろう。いや、本当に悪いのはシステムだけど。


「ま、いいや。足音だけ殺してついてきてね」




 さて、到着しました。ディラックの部屋。悪魔っ子の部屋には何が置かれているかな、と見渡してみる。

 自分の部屋は改装できるけど、この子たちの部屋は見たことがない。この子たちがいるというだって魔力反応で検知しただけで、カメラでは見ていない。だって、その方が面白そうだし。


 なんだっけ? 確か、ディラックに好感度上げに大量に上げたのは悪魔の像、乙女の涙、サバトの杖あたりだったかな。

 好感度をMAXにするためにクエストを何千周もしなくちゃいけなかった。しかも、得られる好感度ボーナスは雀の涙だったからコンプ目的以外にマラソンする理由がない。

 いや、でもこうして現実化した以上、最高の判断だったかもしれない。


「さて」


 ノックはしない。いい年した男が幼女の部屋に侵入とか、犯罪行為な気がする。だが、今の姿は可憐な女の子だからいいだろう。そういうことにしておく。

 侵入し、聞き耳を立てる。二人はベッドでシーツをかぶってぼそぼそとしゃべっている。


「ねえ、ディラック。ティタ、ルナ様に嫌われちゃったかなぁ……?」

「ごめんなさい、ルナ様。謝るから、ボクを見捨てないで。ずっと、お部屋の中じゃいやだよ……」


 ぶつぶつと、ずっと繰り返している。

 これはやばい。病む寸前じゃないか、これ。下手に刺激するとそのまま修正が効かなくなる気がする。人間の精神に関しては気力や熱意でどうなるものでもない。らしい。


 人の精神というものに興味があったから、その類の本を読んでいたが――この状況で、何らかの変化をもたらすのはたいていの場合悪い方向に行ってしまう。人の精神を癒すのは時間だ。

 ……あとは薬もあるが、これはやめておこう。ポーションを飲ませてもよくなるとは限らない。それに、あの隊長さんを見た後だと安易に飲ませる気にはならない。


「おはよ、2人とも」


 だから、何も気づかなかったふりで。

 うん、僕が好感度上げるためにあげた同じアイテムが何十個も整然と棚に並んでいるのなんて見ていない。皆、僕以外は自分の部屋の掃除を魔導人形に任せていなくて、なのに棚にあるそれらには埃一つついていないのなんて見ていない。

 うん、ちょっとごちゃごちゃしていて、棚が並んでいるだけの部屋。そういうことにしておく。


 シーツを引っぺがした。


「……ルナ様、ばつをあたえなくていいの?」


 シーツの中で二人がびくりと震えるのが見える。え……と、これかなりやばい状態じゃ。僕、トラウマ植え付けて無理やり従わせる最低野郎だね。うん、悪いのはシステムだ。僕じゃない。


「それは終わったよ。僕がここに来たのは遊びたかったからだよ。言ったでしょ?」

「なに……すればいいの?」


 この子も不憫すぎる。

 全体的にそういう傾向があるけど、この子たちはみんな戦闘のこと以外を知らない。いや、僕に従うこと以外を、か。

 確かにそれで困ることなど何もない。それだけを求められて、そして――そうあるのが自然。終わった世界を掃除して回る終末少女に感情など不要。……そんなのは嫌だ。


「楽しいこと、だよ。僕が教えてあげる」


 二人の手を取って立ち上がらせる。

 せっかく、僕という魂が箱舟の中のルナに宿ったのだ。原因はわからないし、探す気もない。この子たちと一緒に生きていこうと決めた。だから、笑ってほしい。笑顔が見たい。


「鬼ごっこ、だよ。タッチされた人が”鬼”。鬼は一人、追いかけて鬼をうつす遊び。スキルは使っちゃだめだからね。さあ、はじめよっか。……たっち」


 ぽん、とアリスの肩に手を当てて。


「さあ、逃げろ!」


 と、2人の手を引いて走り出した。



*これからは鬼になった人の視点で描写します



 遊び、というのはよくわからない。けれど、やれと言われたのだからやろう。とりあえずは、誰かに鬼を移さなきゃいけないらしい。


「だれに、うつせばいいの……?」


 それはルナ様は何も言わなかった。あの二人のどちらかに移せばいいのかな、と考えたところで。


「うむ、アリスや。そこで何をしておるんじゃ? ルナ様と一緒にいないとは珍しい」


 その部屋にいた二人はどうした、と面白がるような笑みを浮かべて聞いてくる。たぶん、こいつはわかってる。

 アルカナは私とけっこう一緒にいることが多かった二人のうちの一人。けれど、いまだに何を考えているかわからない。


「……そんなに、きょうみもないけど」

「うん? 何かあったかの。迷子のような顔じゃな」


 ……そういえば、うつすのはこいつでもいいか。


「たっち」


 とりあえず、ルナ様がやったように肩に手をポンと置いた。




「ええと、どういうことじゃ……?」


 アリスはご主人以外にはあまりこういったボディタッチはしなかったはずじゃが。特にわしには。と、アルカナは頭の上にはハテナを浮かべる。


「おにごっこ、だって。タッチされた人がおに。で、おには誰かにうつすの」

「……うむ? ああ、なるほど。そういう遊びか。数は数えなくてよいのかの?」


「ルナ様は、そんなこと、いってなかったよ」

「では、このままアリスにうつすというのも……アリということになるのう」


「……!」


 アリスが飛びのいた。そのまま走っていく。

 この層は各人の部屋がある。部屋と部屋の間は広いが――しかし通路しかないこの階層に隠れる場所はない。部屋の中に入るということはしないはず。

 というか、それだと居場所を調べられればアウトだ。ご主人はその類のセンサーを無効化していない。この入り組んだ通路で鬼ごっこ。なれば。


「鍵となるのは脚力、かの。飛び跳ねれば逃げるのも簡単……とはいかんか。さすがにそれができるほど広くはない」


 ま、遊びじゃしの。と、つぶやいて。


「さて、楽しませてやろうかの」


 ご主人の位置は……ディラックとティターニアといっしょにいる。ここの住人ならば箱舟の機能は自由に使える。ルナ様がアクセスを拒否しない限り、ではあるが。

 この位置は……ふむ、好都合か。足音を隠さず、いつものように近づく。


「……ご主人、何をやっておるのじゃ?」


 飛びついて、小さな体を抱きしめた。いつものように。とてもいい香りがする。飽きるなんてありえない。すべすべでふわふわで――いつまでも抱いていたい。


「鬼ごっこ。アルカナもやる? 今、アリスが鬼なんだけど」


 少し困ったような顔。けれど、嫌がってはいない。むしろ、体を預けてくれている。素直じゃない、と思いながらそんなところもかわいい、と抱きしめる腕に力をこめる。

 胸の下でどぎまぎと照れたような顔をしている可愛いかんばせをなめ上げた。


「ああ、アリスか。アリスなら――」

「ちょっと。アルカナ、舐めるのはやめ……」


 じたばたするご主人をさらに抱きしめて。


「……たっち」


 と言った。


「……え」



 僕は呆然とした顔でアルカナを見た。まったく気づかなかった。そうか、あの後アリスに会って……! やられた。そう思った瞬間にパッと手が離されて。


 背中に感じていたとても柔らかな感触が消えて……うん、残念なんかじゃないけど。残念じゃないけど。少しびっくりした。


 そのすきに。


「さあ、逃げろ逃げろわらべども! 今度はご主人が鬼じゃぞ」


 ばっと身をひるがえして逃げていく。ようやく飲み込めてきたのか呆然と手を引かれるばかりだった二人も顔を見合わせて、少し笑って。手をつないで逃げ出した。


「やられちゃった、なあ」


 ……おもしろい。あの子たちを構ってあげようと思って始めたけど――少し本気を出そう。うん、かまわないよね、そうじゃなきゃ面白くなんてない。接待プレイなんてだれも望んでない。


 元々ぼっちなだけあって、とても大人げないルナだった。


「さあ――行こうか!」


 一人でぶつぶつ言ってた間に10秒くらいは過ぎた。だん、と地を踏みしめて跳ぶ。


「せ……は……と!」


 三角飛びの要領でスーパーボールのように通路を縦横無尽に走る。……


「居た!」


 すぐに見つけた。ディラックがティターニアの手を引っ張ってトテトテと走っている。とん、と着地してそのまま走る。


「ほらほら逃げないと鬼が来るよ!?」


 がおー、て感じで手を挙げた。二人はきゃらきゃらと笑っている。


「来たよ、逃げようティタちゃん」


 だんだんと近づいて行って。


「……わ」


 タックルをかけてティターニアのほうに抱き着く。声を出したのはディラック。テンション上がってるだけで他意はないよ? 笑顔のまま少し固まって。


「……にゃ?」


 ずぶり、と体が沈み込んだ。え? と思う暇もなく地面が近づく。


「きゃ!」


 びたーん、と地面にへばりつくみたいに倒れた。

 赤くなってもいない鼻を抑える。痛くはないけど、気分は涙目だよ! 少しにじんだ視界であたりを見渡した。

 案の定、ニタニタ笑っているアルカナがこっちを見ている。


「……特殊能力――!」


 設定だけだから忘れていた。ゲームには何も関係がなかったけど、ここは現実。……現実? 確か、アルカナには血を操り擬態させる能力があった。

 設定文なんてあんまよく覚えてないけど、あったはず。ティターニアがしゃべらなかったのは、人形では口を利けなかったからか。


「でも油断しすぎだよ……!」


 別に抱きしめる必要なんてない。腕でも捕まえて、タッチと言ってしまえば――ディラックに伸ばした手は空を切った。足が何かにつかまれている。


「……えへ」


 床から上半身だけを突き出しているエルフ耳幼女。ティターニアの能力は……物質透過能力? もう少し複雑な力だった気もする。その手が霧散して消え――


「僕も使ったよ、特殊能力」


 手をつかむ。引っ張りあげて抱きしめる。僕の能力は【ワールドブレイカー】。霧だろうが水だろうが干渉して破壊するこの力は、あらゆるものに干渉できる。……いや、破壊なんてするわけがないけど。


「たっち」


 ぼうっと頬を染めて見上げてくるこの子をよそに、手を放して逆方向に走り去る。




「あれがルナ様の能力か。箱舟の力で制御した極大規模での発動でしか見ておらなんだが……すさまじいものよな」

「ティタちゃん、いいな」

「えへへ。今度はルナ様を捕まえに行く番かな」


「……ボクに移してくれてもいいんだよ?」

「やーだよ。さ、ルナ様を追いにいこー、と」


 なかよくきゃらきゃらと笑い声を響かせている。


「まあ、待てディラック。ただ追いかけるよりももう少し面白いことをせんかな。その方がルナ様も楽しんでくれよう」

「そう? まあ、アルカナが言うんならそうなんだろうけど。どうする? ティタちゃん」

「そうだね、ディーちゃん。面白いほうがいいよね」


「なら、決まりじゃな。いいか、ディラックが先行。で、後ろからわしとティターニアが追いかける。わしがルナ様の注意を引く。そこでな、ディラック。鬼を交代したふりをするのじゃ」

「ふり? 意味ないんじゃないの」


「いや。ルナ様は一度はめられておるからの。わしを警戒するじゃろう。ならばわしを囮にして二人が近づけば簡単にタッチできるはずじゃ」

「うーん、やってみる? ティタちゃん」

「やってみよっか、ディーちゃん」


「うむ、では――れっつ、ごーなのじゃ」


 少し走るとすぐ見つかった。てってって、と走っている。


「見つけたね、ティタちゃん」

「見つけたよ、ディーちゃん」


「さて、作戦通りに動こうかの。――ティターニア! わしに鬼をよこせ!」


 大声をあげた。もちろん、ルナ様に聞こえるように。


「アルカナ、今度は僕が出し抜いてあげる!」


 ルナはだん、と勢いよく沈み込んで……逆方向に駆け出す。


「……ッ!? 作戦変更じゃ。ティターニア、手を取れ!」


 重要なのは驚かせること。だから、作戦変更の意味が分かった。


「アルカナ!」


 止まって、アルカナに手を伸ばした。アルカナは手に赤い珠を出現させる。投げた。目くらまし……もちろん、攻撃なんてするはずがない。殺傷能力もない、透けて見える程度の霧。


 後ろのアルカナの手を取る、ふりをする。わずかに浮いている。逆の手ではディーちゃんの手を取る。きっと、ルナ様には見えていない。


「……タッチ」


 これで鬼がディーちゃんに。


「どうせ、代わったふりでしょ! アルカナ、君は囮。……だから」


 ルナ様が跳ぶ。とん、とかかとをアルカナの頭にのっけて、それを軸に二段ジャンプ。天井に着地して――


「わ、わしを踏み台にしたじゃと!?」

「触っても問題ない。また逃げさせてもら――」


「ティタちゃんと!」

「ディーちゃんが!」


「「いるよ」」


 アルカナはわざとらしく驚いて、固まっている。でも、ボクたちがルナ様の近くには行けた。


「そうだった、ね!」


 ルナ様は即座に前に立ちふさがったボクを抱えて走り出す。


「たっち」

「……え?」


 止まった。まじまじとボクの顔を見る。やっぱり、気づいていなかったみたい。アルカナに交代するふりをして、ディラックに交代していた。


「……えへ」


 驚かせることができて満足して、ぎゅっとルナ様を抱きしめ返した。


「……むう」


 ちょっとだけすねた顔で、でも頭を撫でてくれた。


「さて、次は僕が鬼。このまま抱き着いているとたっちしちゃうよ?」


 手を放した。


「うん」


 ティタちゃんの手を取って走り出した。




 三人が走っていく。……なんか、三人の協力プレイみたいになってるな。どうしてこうなった。ああ、でも――


「アリス、こっちおいで」


 アリスが仲間外れだった。仲間外れはだめだ。


「……ルナ様」

「あっちは協力プレイすることにしたみたいだからね。アリスは僕に協力してくれる?」


「うん、アリスはルナ様のものだから」


 なんかすごい甘いセリフを吐いてる。やっばいなぁ。僕は僕の自制心なんかに大した期待はしていない。

 使わないまま蒸発してしまった息子が存命だったら、たぶん押し倒していた。なんかさっき一歩すれすれなことをしてたかもしれないが、あれは親愛の表現だ。やましいことはない。……きっと。


「アリスはかわいいね」


 頭を撫でてあげると満足そうに微笑む。とてもかわいらしい。しかし、慕ってる相手に無理やりされたら、それはトラウマだろう。酷い心の傷になるに違いない。


「さて、どうやってアルカナを出し抜こうかな……」


 まあ、僕が手を出さなければいいだけの話だ。なんとかして生やさない限りは物理的に無理だが。そして、生やす気もない。



 そんなこんなで、僕が元々何歳だったか忘れるほどに遊びましたとさ。いや、体は幼女だけど。

 やっぱり体に引っ張られているのかな? というか、けっこうカメラを利用した第三者視点をよく使っているからか違和感がない。

 元々の性別さえ忘れそうだが、それも気にならなかった。



不足していた糖分を投入しました。


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