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終末少女の黒幕ロールプレイ  作者: Red_stone
第1部:箱舟編
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第12話 死より辛いもの side:新城


 ガバ、と起きる。


「おはよう、新城君」


 ルナの声が聞こえた。そうか、帰ってきたのか。他の者を見ると、幸せそうな顔をして眠っている。……殴り飛ばしてやりたい。


「眠っていた時間は2、3時間といったところかな。上で何かやっていた人も帰ってしまったよ」


 特に不機嫌な様子もない。他の少女たちの殺気も収まっている。


「いったい、何を……?」

「くすくす。何をされたかわからない、という顔だね。では、講義をしてあげよう。新城君、絶望とはどういうものだと思うかな」


 全くわけがわからない。だが、付き合うしかないか。

 すでにルナを不快にしてしまった。僕ではないが、しかし連帯責任は軍隊の基本だ。……下への押し付けともいうが。

 まあ――とりあえず、相当失礼なことを言わなければこれ以上の怒りに触れることはなかろう。


「最悪な状況に陥ること、かな。打破できないほどに悪い状況があるならば、そう呼ぶに足るのではないか? 例えば、孤立無援で魔物の真っただ中であるとかはどうだろう」

「それはどうかな。悪い状況であろうと、それが日常なら絶望することもない。例えば、人間を憎んでいるつよーい魔物がいても、人間は普通に生きていける。君が言う時にしたって、自殺すれば楽になれる。英雄のごとく戦って死ぬのも、別に絶望ではないと思うね」


「……ッ!」


 確かに強大な魔物はいる。だが、それを例に出すとはどういうつもりか。まさか、あの『災厄』をコントロールしているとでも……


「絶望とは何か、それは落差だよ。幸せであればあるほど、絶望の闇は深く。希望を知らないものにとっては絶望など塵も同然。ただし、人間は他人と自分を比べてしまう生き物だ。これは不幸としか言いようがない。他人の幸福が輝けば輝くほどに、自身の絶望は深くなる」

「それが、あれと何の関係が?」


「いや、関係ないよ。他人のことなんて、本質的に分かるものではない。やはり、至上の絶望の前には絶対的幸福が必要だろう。それも、自身が経験するものが――ね」

「だから……」


 偽りの幸せを与え、取り上げることで絶望に落とすというわけか。……なにかまだるっこしく思える。絶望を与えるなら、そう――拷問でも何でもすればよいのではなかろうか。


「そう、”それ”は起こすよ。でも、まあ……他は起こさずともいいかな。気持ちよく眠っているようだ。どうやらレジストもしてないようだから」


 それ、と貴族の男を呼んだ時だけルナの目は冷たく光った。


「レジスト?」

「君だって抵抗できただろう? 別に大した術は使ってないんだ。ええと……どうだったかな。そうそう、魔術による負荷ならば魔力で無理やり押し出すことができる。うん、言葉にして表すと全く別のことをやってる気がしてくるね。それに本来であれば、何時間もかかりっぱなしになるようなものではないんだよ。僕たちの基準の話ではあるけど。それにしたってさ、君たち弱すぎない?」


 たかがかコモンなのに。と呟いていた。コモン?


「あなたは――どうしたいんだ?」

「うん、実験かな。安心してよ、劣る人間はみんな人体実験材料だなんて言い出さないからさ。大丈夫、だいじょーぶ。使うのは”それ”にだけだよ」


 見れば、横に魔導人形がたたずんでいた。その手にはお盆が、そしてその上には。手に持てるサイズの、ルナの小さな手には少し余る大きさの繊細な意匠が施されたガラス瓶が乗っている。芸術品としてもかなりの値打ちものだろう。


「毒薬……?」


 漆黒の液体を並々とたたえるそれは、その類のものにしか思えなかった。


「まさか。いや、やろうとしていることを考えればそれでいいのかな。薬というのは基本的には飲みすぎれば毒だしね」

「薬……ッ!」


 とてもそうは思えない。あれはただの一滴で大の男を殺すといわれても信じられるほどには禍々しい代物だ。


「うんうん、いい反応だね。他の子たちは興味なさそうだし」


 その言葉にハッとしたように他の7人が身を乗り出す。

 まあ、無礼な”あれ”がどうなろうと知ったことではないのだろう。さっさと消し炭にしてしまいたいとでも思っていそうな顔もちらほらと。それでも、ご機嫌取りには執心のようで。


「それ、こうきゅうポーション。そんなもの。そいつにつかう、ひつようはないとおもうけど……?」


 中でも幼く見える少女が口を開いた。……この子はどんな立ち位置だ?

 とりあえず、ルナの横に当然のように座っている。先ほども率先して口を開いていた。副リーダー的扱いなのだろうか。……この小さな子が?


「いや、違うのさアリス。確かに1万のHPが満タンになっているときに千ぽっち回復する薬を飲んだところで何も変わらないだろう。もしかしたら体調がよくなったりするかもね。でも、そいつのHPが1ならどうなるのか興味はない?」

「……? こうか、でないとおもうけど」


 つまり、あれは薬だが――過剰投与する実験か!

 痛み止めとて大量に服用すれば死ぬ。手に持つそれが本当にポーションだとしたら、人間の欠損ですら治してしまう奇跡の過剰投与!

 なんてことを考える。……ブルジョアめ。


「それもありうる。でも、こいつは明らかに効力が”健康になる”というところを振り切っている。過回復、それが攻撃になったりもするんだよ? 確か原理は、細胞そのものの自壊だったか。細胞分裂を繰り返してアポトーシスでも誘発してるのかね。寿命を使って直すから、使い続ければ当然尽きる。そして尽きた寿命を回復するのはとっても手段が限られてしまうよね」

「そんなこと、なったことないけど」


「そりゃね。ポーションを水代わりにがぶがぶ飲んでたら止めるよ。君たち相手にそんな実験をしようなんて絶対に思わない。でも、これならちょうどいい。どんな有様になっても――僕は笑ってられる。僕としては幸せな夢から覚めて、悪い現実で永遠に生き続けるとかとっても面白いのだけど」


 かつかつと軍靴の音を立てながら、眠っているあれに近づいていく。


「うん、それはおもしろいこと……だと、おもうよ?」


 こくりと首を傾げた。単にルナの言っていることに迎合しているだけだ。しょせんは他人。どうなろうが、ルナに何かなければどうでもいい。

 ルナがそうするならば従うだけの話で、一かけらの興味すらない。


「さて、起きろ」


 腰に差していた軍刀、背が小さいので引きづる形になっているそれに手をかけたと思ったら、あれの腕が飛んだ。

 斬った。速すぎて見えもしない。


「……ガ! ぎゃああああああああ!」


 汚い悲鳴が上がる。そして見苦しくのたうち回る。


「あぎ! ぐ! ギャヒ――。だ、だれか治療しろ! この私が治療させてやると言っているんだ、早くしないか無能どもがァ! 屑のくせに、それすら役に立てんとはどういうことだ!? そんなことすらできんとは、生きている価値すらないゴミクズめ……っが!」


 ルナがのたうち回るその男の首をつかんでつるし上げた。とはいっても、小さなルナでは男の膝が地面についているが。


「ふむ、やはり催眠状態は攻撃を受けると状態異常が解除されるのか。おーけい、そこはゲーム通りだな。で、治療だったね。りょーかいだよ。ぼくが治してあげようじゃないか。そら、君が望んだものだ――」


 頬を片手で固定し、魔道人形から受け取ったポーションを無理やり口に持っていく。


「ひぎ!? や、やめろ。なんだそれは。私は、そんなものを持つことを許したことなど。ましてや、誰がそんなものを私に使うことを許可し――」


 暴れまわる。だが、人間の力で抵抗できるはずがない。吊るし上げる手は叩かれても、渾身の力を込めてどかそうとされても微動だにしない。


「うるさいよ、少し黙れ」


 一気に流し込まれた。そして、口と鼻をふさいでしまう。捨てられた瓶は地面に落ちて粉々に砕けたが見てもいない。


「ふぎー。ふんぎー」


 もがいているが、あれはどうしようもないだろう。どんな味か想像したくもないが、しかし飲むしかない。あの男にそのまま窒息できるほどの勇気があるとも思えない。目が飛び出ている。顔が赤くなったり青くなったりしている。これはこれで、とても笑える絵だ。笑い声を漏らすなどとんでもないが。


「――ぷが」


 飲み込んだようだ。思ったよりも持たなかった。ルナはそれきり力が抜けて弛緩した男を放り投げて、席に戻る。


「うで、なおってる」


 舌足らずな声。おそらくはこの幼女が副官的な立場なのだろう。周りの少女を代表するようなそぶりを何度も見せている。


「そうだね。まあ、ポーションが効かないということもないみたいだ」


 目の前でこの男ががくがくと震えている。まるで病人のような青い顔をして。


「うおお……ああ?」


 信じられないというように己の手を見つめている。

 その眼にはもはやぎらついた欲望の色はなくなっている。それは枯れ果てた老人のように疲れ果てて光を失った目だ。見る見るうちに皮膚と髪からツヤが失われていく。


「あが……おえええええええ!」


 吐いた。

 それも鮮血色をした、生きるのに必要なものすべてを。目が落ちくぼみ、体全体が痩せこけていく。ごぼごぼとおぼれているような息。

 そして、痩せこけた身体の腹だけが異常に膨れ上がっていく。


「ぜー……ひゅー……」


 息も絶え絶えで、見るからに瀕死の有様を晒している。これはもう、手も付けられない末期患者にしか見えない。


「なるほど。こうなったか」


 冷たく見下ろすルナの目に同情の色はない。あんなことを言われれば誰だってそうなる。僕にしたってこの男に同情などしていない。

 ただ、椅子に座って頬杖をついている彼女に恐怖するだけだ。


「解説しようか。とは言っても、推論だけどね。ところで、君は不死というものを信じるかい?」

「強力な能力者であれば。ただ――」


「一本の薬でそうなるとは思えない、と。確かに”それ”も殺し尽くせば殺せるはずだよ。さすがにそうじゃなきゃ説明がつかない。あれは本当にただのポーションなんだ」


 ルナは探偵気取りで、かつかつと靴音を響かせながら歩き回る。


「ところで人間の細胞というのは生命力が弱いのだよ。何かしらの外的な力で守ってやらなきゃ永遠に生きることなどできやしないのさ。君が言ったように強力な魔術で保護するとかね。けれど低級の動物だったら話は別なんだ、知ってるかな。例えばラットみたいな低級動物の細胞単体ならば環境さえ整えてやれば無限に増殖する。人間だとこうはならない。そう、”例外”を除いてね」


 ニタリと笑った。苦しむあれを見て嘲笑っている。


「例外? それは――」

「そう、この状態だ。ガン……それは不死を体現した可能性の一つ。そいつはラットの細胞と同じく無限に増殖できる。寿命なんぞ、はなからないのさ。まあ、健全な状態ではありえない以上、不老不死には程遠いがね」


「それが……ポーションで?」

「そう。おそらく、再生効果が効きすぎてしまったんだろうね。異常増殖なんて、ガンにとってはそれほど住みやすい環境もないだろうよ。で、今は莫大な苦痛に身をさいなまされているわけだ。末期症状を呈したガン、どれほど苦しいんだろうね? しかも、見る限り全身くまなく発症している」


「……」


 自身の体を抱くようにしているのは痛みに耐えるためか。おそらく、悲鳴さえ挙げられないに違いない。でなければ、汚い悲鳴を上げ続けていたはずだから。そして臭い。


「さすがに哀れか。これでは絶望する暇もないようだし。慈悲をあげる」


 どこからともなく出してきた短刀を放り投げる。透き通った青い刀身に銀色の筋が通っている。明らかにアーティファクト級の武器だった。

 長年魔物の脅威に脅かされてきたわが国では、強力な武装というのは何よりも価値のあるものだ。これだけでいくらかの地位は買えそうな代物である。もちろん、貴族の血を持っていることが前提ではあるが。

 これを持ち帰れたとしたら軍功になったのに。この男が望んでやまなかった軍功に。こんな形で手に入れることになろうとは皮肉なものだ。


「本来、末期患者なんてそう生きられるものじゃない。特に君なんて、致死量を超える血を内臓ごと吐いているようだし。胃から消化液があふれて内臓まで消化されてしまったってところだね。それでも残ったポーションの効果が君を生かし続けているんだ。この地獄から逃れたければ――死にたければ、それで自分を殺し続けるといい。効果が切れたころには死ねるよ」


 よろよろと、しかし本人は必死に与えられた救い()に手を伸ばす。自分の命が何よりも大事だったはずなのに、ためらいもなく手に取った短刀を己の心臓に突き立てる。何度も、何度も。


「で、また来たみたいだけど。何しに来たんだろうね?」


 空中に画面が現れる。先ほど爆撃を行い、効果がないと分かって帰って行ったのとは別の航空部隊。今度は5人編成。……本気でここを焼き尽くすつもりだ。

 もっとも、新城にとっては蟷螂の斧にしか見えないが。あれっぽっちの火力で何をするつもりだろうと思う。まあ、当然それでここがどうにかなることなどありえない。


「爆撃して沈めるつもりでしょうね。上はどうやらここを破壊してから安全に調査するつもりなようで」


 もう忠誠心などかけらも残っていなかった。いや、始めからそんなのは薄かった。

 国という巨大機構に逆らおうなんて発想そのものを持てなかっただけで。貴族など、どうなろうが知ったことではない。滅ぼされるなら、いっそ……


「そんなに沈めたいなら、沈んであげようかな」


 どういうつもりか、と一瞬驚いたが何のことはない。偽装に決まっている。

 仲間を侮辱されて静かに激高し凶行に至った彼女だが、この爆撃に対しては本当に何とも思ってないらしい。まあ、恐れる必要もないか。


「へー。知らなかったけど、これって結構自由に動かせるんだ」


 などと言って、右手を動かすと地面がぐらりと揺れた。当然というべきなのか、先ほどよりも数を増した爆撃の嵐にあってもここはこゆるぎもしていない。

 ただルナの操作に合わせて揺れる。


 ――やめてくれ!


 声には出せないが、強くそう思った。揺れたせいであの男の血やら体液やらが飛び散るのだ。さけられるはずもない。

 ゆれる地面をつかんで倒れないようにするので精一杯。ルナとその仲間たちは普通に椅子に座っている。変なところで人外の性能を見せつけてくれる。


「はい、墜落」


 画面の中の紅焔が勢いを増す。さらに弾薬を投入して完全に破壊する気だ。もっとも、傷一つつかないだろうが。


「色をだんだん薄くして……はい、終わり。僕たち消えました!」


 画面が切り替わり、森の中にぽっかり浮かぶ空洞が映し出される。爆撃によって森が一部分だけ焼き尽くされた。そして、宙に浮かんでいた立方体の姿はどこにもない。


「光学迷彩……だと?」


 としか思えない。開発中の技術にそんなものがあると聞くが、こんなでかいものを丸ごと隠せてしまうとは――戦慄を禁じ得ない。


「いや、魔力反応、生命反応、その他諸々も隠してるよ。アクティブレーダーも逆位相の魔力波を出して打ち消せる。むこうはそういうの、使ってはこないようだけど」


 そんなもの使えるか。通信、アクティブレーダーの類は存在こそするものの、魔物を呼び寄せてしまうために使われることはほとんどない。

 なにせ、ここは人間の生存領域の外縁近くなのだ。


「さて、ここは秘密を知ったからには生かしておけない、といった場面かな」


 ……背筋に氷柱が差し込まれた気分になった。勝てるわけない。他の面々は幸せな夢の中。逃げた連中だって、どうしようも――


「あれ?」


 ルナが首をかしげている。何があった。彼女を驚かせるようなものなど……


「逃げてった人たち、死んでるね」

「……?」


 殺した、という風ではない。どういうことだ。


「いや、君たち”ディスク”に乗ってここまで来たでしょ。彼ら、それを使って逃げようとしたみたいだけどね」


 ルナは操作ミスって死んじゃったみたい。無免に飛行機械を扱わせちゃだめだよねえ、と舌を出す。


「それは」

「変にボタン押すから加速装置が作動しちゃうんだよ。地面に降りるだけならオートで行けたのに」


 腕を振った。と思ったら……アカイ地面が映し出された。誰が誰だかわからない。折り重なっているというような生易しい状況ではない。潰れてぐちゃぐちゃに混ざり合っている。


「あーあ。別に殺す気なんかなかったのにね」


 それとも、空に浮く変な箱の中身は宮殿でしたなんて与太話、君は信じる? と水を向けられて。


「そ……そんなはずありません。頭を疑われるにきまって……そうでないとしても、酒場の噂話にとどまる……! です。貴族どもが平民の話なんかを信じるわけが……!」


 必死に否定する。何をされるかわからない。そう、横で未だザクザクと自分の身体を削り続けている重病人を作ったのは彼女なのだ。


「だよねえ。まあ、帰っていいよ。君たちをこの箱舟に置く気はないけれど、一日くらいなら休んでいくといい。それとも、早く帰って忘れたい? ま、どっちだって僕はかまわないけど」

「いえ……! 休まさせていただきます」


 好意を無碍にして機嫌を損ねるなんてこと、できるはずがない。


「そう? なら、そっちの魔導人形に言ってくれれば何かしら用意はするからね。じゃあ、失礼するよ」


 そう言って、くるりを後ろを向いて窓を開けて――飛び降りる。すぐにあの小さな副官が追いかけて行って。残された部下たちはぽつぽつと、同じように窓から出ていった。


「踏みたくなかったのか?」


 ここはヒト一人分をはるかに凌駕する量の血液であふれかえっている。足の長い絨毯でさえ受け止めきれずに池を作っている。……酷い臭いだ。


「人間らしいところと――言えるのか、これが」


 彼はびくびくと震えている。手にはまだ短刀が握られていて。いや、落ちた。

 体力の限界といったところか。まさに死の寸前だ。しかし、その身は未だ莫大な苦痛にさいなまされている。

 奴は懇願するような視線を宙に向ける。


「貴族。しかし、こうなっては――」


 同情するわけがない。新城は元々優しさに欠ける男だ。思わぬ情を見せることもあるが基本的には冷たい男である。こんな奴を救ってやろうなどとは思わない、けして。

 だが、それでも。


 どんなことをしてでも権力を手に入れようとしたこの男。死を願う姿など想像もできなかった。だが、今は病魔に侵されて苦痛から逃げようと己の身体に短刀を突き立てて、突き立てて、最後にはその力もなくなり息も絶え絶えに殺してくれ、と小さく呻き続ける。

 その卑小な姿を見て新城は。


 その異様に膨れ上がった頭蓋に銃弾を叩き込んだ。


「……はは。これで僕もお尋ね者か」


 しかし、後悔はない。人生の目的を定めた男特有の妖しく光る、しかし確かに理性を宿した瞳で未来を見据えた。


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