キャラ紹介&イラスト―【翡翠の夜明け団】編―
◆翡翠の夜明け団
滅びかけた世界で、手段の是非を問わずに人類が生き延びる道を模索する秘密組織。王都とは密接な関係にあり、実は中核となったO5は王都で『機関』を開発していた経緯があり、団でも製造技術を持っている。また、王都の影に隠れて冒険者ギルドを設立し各街々を支援していたという歴史もある。
人間の改造技術を持つのは団の一部でしかなかったが、過激派が相性の良いルナと手を組んだ結果として急速に勢力を拡大、人類の天敵たるドラゴンを滅ぼす作戦の決行に至った。
◆魔人
翡翠の夜明け団の技術によって生成された『強化薬』により改造された人間を差す。人間だろうが魔物だろうが、基本的には魔力の保有量で強さが決まるため、一度”溶かして”そこから再構成することで魔力容量を上げると言う発想で作られた。
再構成できるかは本人の資質次第であり、失敗すれば人間の姿を失い”シチュー”と成れ果ててしまう命のリスクを伴う危険な人体改造。ただし成功すれば人間としてのレベルキャップを突破することができ、強力な異能と身体能力を得ることができる。
他にも自然発生した魔力だまりに突っ込んで汚染された改造人間や、王都製のアレンジがされた強化薬で作られた強化人間も居る。
プロジェクト『ヘヴンズゲート』以前の有力者
・【殺戮者】ヴァイス・クロイツ
彼を動かすものは殺意。人類に仇なすものを殺し尽くして殺し尽くした先に理想郷があると信じている殺戮者。倫理を捨てても魔物を殺したい人間が”過激派”と呼ばれている一方で、人間を殺す派閥がなかったために彼がそうなった。絶望的な現実を覆すため戦い続けた凶戦士である。
基本的にこの世界は魔物が支配しており、人類が生存できる領域は残り少ない。権力者は現代における雇用主とサラリーマンの関係であり味方である。なお、搾取しないとは言っていないが。その中で、彼とその相棒だけは人間を殺すことを主な任務としている。その関係で彼はO5直属の人間であり、部下を持たない一方でトップ以外から指図を受けることもない特別な地位に着いている。
本編では、あり得ない強さを持つルナ・アーカイブスを組織の幹部へ推薦した。ルナが組織に迎えられたのは「いざとなれば俺が殺す」との言による理由も少なくない。彼の任務は人類に不利益をもたらす人間の排除だったため、ルナの加入後は監視役に回っていた。
・【爆炎の錬金術師】⇒【黎明卿】グリューエン・レーベ
彼女を動かすものは信念。テクノロジーとは歴史そのものであり、その発展により人類は救われると信じている。錬金術畑の人間であり、非道な実験にも手を染めている。一番実験しやすいのは自分であり、ゆえに自らの身体こそが最高傑作と謡っている。人間は幸福になるために努力を続けていると疑わないマッドサイエンティスト。
人間を殺す任務を受け持つ、メインの指揮系統から外れたヴァイスの相棒。強化薬の作成にも関わっている技術畑にして戦闘もできる狂気のマッドサイエンティストである。その芯には科学技術への圧倒的な狂信があり、一方で倫理に理解を示さない冷徹な面もある。
ヴァイスは異能を持たず身体強化も中途半端で、成れ果てにならなかった理由も分からない、そもそも”何故強いのか分からない”異質な改造人間であった。そこに興味を持ち相棒となった経緯がある。なお、ルナの加入後は精力的に仕事を続けるヴァイスの代わりにルナの監視役を押し付けられていた。
・【暴竜】レン・ザ・ブラッドクルス
彼女を動かすものは未練。初期の魔人であり、魔物をいとも容易く殺すその姿は皆の羨望の的――だったのは今は昔。身体のアチコチにガタが来て、前線から離れ椅子を温める日々。かつての栄光を忘れられず、力と相応しい舞台をやろうというルナの囁きに乗せられた犠牲者。
初期型魔人は彼女以外は全て死亡済。強化薬は一度身体を溶かすため寿命が犠牲となるが、初期型だと数年も持たないため。彼女に関しても寿命は削り切ったも同然であり、身体の各部に爆弾を抱え、さらに躁鬱も発症している有様。改造人間であるため、上位レベルの戦闘能力を堅持するが最上位クラスには及ばない上に十秒で血を吐いて戦闘不能になってしまう。
本編ではルナの秘書兼パスポート代わりとして派遣された。知名度が高く、さらに過激派の人間とも多くの関わりを持つため横に置いておくだけでかなり役に立つ人物だった。
・『右手』ルビィ・アダマント
彼女を動かすものは承認欲求。自ら手を上げ魔人となり、魔物を生み出し使役する力を得て最強格の一人になった。……だが継戦能力に問題があり、十回も使えば死亡する使いにくい存在として表舞台には立てなかった。そこでドラゴン迎撃任務の栄誉に浴し、無理の代償として死ぬはずだったがルナの手を取り生き延びてしまった犠牲者。
ルナ加入以前の最新型の魔人。強化薬は元々寿命を削るが、魔物の使役型は魔術式を一度身体に流し込んでから操作する魔物を生み出すため使うたびに更に寿命が削れていく。それも、強力であるほどに。しかし、魔力を身体に流し込むやり方であるためリスクに見合うだけの強化率を誇る。単純に言えば強化薬+作成魔物になるため、こと破壊力に限るなら単純な身体強化型とは比較にならない威力を生み出せる。
本編ではドラゴン迎撃任務の後はルナの秘書として縦横無尽の活躍を見せたが、この物語は人類と魔物の生存競争の話なので日の目を見なかった。実は滅茶苦茶働いていた人。ルナがO5の一員、企業で言えば理事を、うまいことやれていたのは彼女たちの手腕である。後は単純に腕っぷしで黙らせたという側面も。ルナはそもそも上に立つ人間に向いていない。
・『左手』サファイア・アダマント
彼女を動かすものは承認欲求。姉のルビィとともに魔人となり最強格の一人になったが、ルビィと同じ欠点を得てしまった。命に引き換えてドラゴン迎撃任務を果たすという勝利の酒の味に溺れ、ルナの手を取った犠牲者。
ルナ加入以前の最新型の魔人。ドラゴン迎撃任務を請け負ったが、基本的にはドラゴンは人類の一段上に居る支配者層であるため最高峰の魔人でも歯が立たなかった。ドラゴンを殺すことが可能なのは団内には彼女たち以外に居なかったため大抜擢された。そして、それは閑職に追いやられていた彼女たちにとっては一世一代の大一番となった。
ドラゴン迎撃任務の後は姉のルビィとともに、ルナをお神輿としてヘヴンズゲートの準備を完遂した。研究中に閉鎖された衛星軌道砲の接収から、砦の設営、人の配置まで全てを整えたのはこの姉妹。ヘヴンズゲートの功績はルナのものだが、ルナにはその働きを認められてこの世界には存在しない技術による超越型改造人間となれた。
・『白露街の支配人』 白露 照
彼女を動かすものは先祖代々が引き継いできた復讐心。一族が治めていた王国をもののついでとばかりに【災厄】に滅ぼされたことで復讐を誓った。近親相姦の代償として寿命が短く、その短い寿命で己の使命を果たすことに迷いはない。本編では唯一ルナに関係なく自らの信念を貫いた。
団員ではないが、先祖代々団とは取引してきた。夜明け団製の強化薬は使っていないどころか、強化薬自体が彼女をモデルにした部分もある。魔人のルーツと言ってもいい存在。この一族は復讐のために近親相姦と世代を超えた改造を繰り返してきた白露一族としての改造人間。当然寿命は犠牲になっており、彼女の命も残り少なかった。
本編では夜明け団の使者としてやってきたルナの相手をした。魔力を振りまけば【災厄】は寄って来るが、復讐対象がやってくるかはランダムなのでそこだけルナの手を借りた。人間の力で【災厄】を倒した唯一の人間。
・白露 白 改め13代目白露 照
【災厄】を人間の力で倒した照の娘。持って生まれた自らの異能を制御できずに石牢に囚われている。母の言う通りに生きてきて、特に信念なども持っていなかった。夜明け団に保護されてからも特に注目されていなかったが、母の言いつけを思い出して最終決戦に参加する。
本編では重要視されていなかったために生き残った強力な魔人として、夜明け団の隠し札になった。また、ラストプロジェクトにも参加し一番槍を務めた。