第112話 甘くとろける side:ルナ
人々の希望、S級冒険者は力およばず露と消えた。結局、人類には生き残れる力はなかったということだ。あの体たらくでは【エレメントロードドラゴン】には対抗できない。【災厄】の活動も活発化している。
この有様では滅ぶのは確定している。なにせ、この世界は瘴気に沈みつつある。病気と同じ、転げ落ちる時は一息に悪くなる。この分では、終末少女に馴染み深い死の世界は近い。
「う……ううん……」
一糸まとわぬ姿でルナが身体を湯に浮かべている。疲れた、と言いたげな顔をしている。アリスとアルカナはもちろんいるのだが、その他にも。
「うん? 心地いい?」
よくわかっていない表情で使っているプレイアデス。彼女の体系はアリス以上になだらかで、小さすぎて湯船に浸るところか立っている。座ると溺れるのだ……別に空気が必要というわけでもないが。
「よくわからんな。水が滑り落ちる感覚、か」
コロナも不思議そうな顔をしている。こちらはアルカナよりも身長が高い。のに胸は彼女より小さいのだが――それでも十分に凶悪なものを誇っている。ルナに求められれば見せるのにためらいはなかった。
「二人は、気持ちよくないかな?」
お風呂に入ろうと言い出したのはルナだ。そして、彼女たちに否やはなかった。求められれば喜んで従う人形、もとより自我さえ希薄だから何でもするのにためらいはない。まあ、原住生物に肌を見せるのは忌避感があるが。
「完全たる従者に悦楽は必要ない。感情は摩耗するがゆえに有限」
「さて、プレイアデスの言うことは分からんが。しかし、あなたが満足するのであればよいことなのでしょう」
基本的に人形でしかない彼女たちだが、ルナと触れ合うことで感情らしきものが見えるようになってきた。今も、コロナはニヤリといやらしい笑みを浮かべて。
「……こういうことだったり」
浮かんでいるルナを抱き寄せて、唇を奪った。
「――んぅ! ン……ッ!」
びっくりしたルナは体を硬直させて、されるがままに。
「アルカナがやっていました。貴方はこうされるのがお好きなのでしょう?」
ぐにぐにとルナの胸をいじる。
「くふっ! んに――ひゃ……あんっ! はぁ――」
無心にぐりぐりと弄られて、反応すればそこを徹底的になぶられる。いやらしさよりも単に感じさせることだけが目的だから、快楽だけがどんどん募っていく。
「……っんひぃ! やめ……ひゃめぇ……らめて――」
腕をパタパタ動かして講義するけど、まったく手加減してくれもしない。
「もっとしてほしそうに見えますが? ルナ様」
「っあ! ああ……にゃあ……あああ!」
体がびくびくと跳ね回る。胸だけなのに相当な感じようだ。まあ、普段からアルカナに近いようなことはされてるが――
「だめ! だめだめだめ……かんじすぎてるから! くるしいのぉ」
ここまで逃げようもなく執拗にされるのは初めてだ。コロナはそういうことを知らないから手加減も知らない。ただ反応を見て、良かったところを責め続けるだけ。
「……ルナ様――」
「え? プレイアデス……っく! ひゃ……だめ……ぇ。見ないでぇ」
ルナは赤くなった顔をいやいやと振る。だらしなく歪んでいて、言葉とは裏腹にもっともっとと言っていた。
「こういうことも、好き?」
プレイアデスは普段の言葉使いも忘れて、ルナの痴態に見入っている。腕を伸ばして――
「プレイアデス……おててぇ?」
ルナの言葉はもうたどたどしく濡れて聞き取るのが難しいレベル。ぞくぞくするような食虫植物の強烈な甘さがただよってくる。
「うん、おててつなご――」
コロナに抱かれて、正面にプレイアデスがいて手をつなぐ。
「ちゅ――」
プレイアデスがルナの唇を奪う。それどころか――
「んぐ……ちゅ……ん――こくっ」
舌を絡めて、大量の唾液を流し込んだ。
「は――んっ! プレイアデス……なんで……」
ぼうっとして焦点を捉えられなくなっているルナの目がプレイアデスのあたりをさまよう。人物を認識してはいても、もうまともに見てはいない。
「うん、アリスとしてて羨ましかったから。もっとしていい?」
その言葉でルナはプレイアデスの唇に焦点を合わせてしまう。……期待するように。
「ふふ……うれしい」
くちゅくちゅと舌がルナの口内を蹂躙して、唾液が湯船に落ちる。
「……もったいない」
顎から垂れる唾液を丁寧に舌でぬぐった。
「羨ましいことをしとるのぅ」
見守っていたアルカナがルナの耳にささやく。
「アリス、わすれないで」
もう片方の耳でアリスがささやいて。二人でルナの耳を丁寧に舐める。
「きゃふ――んっ! あっ……んぅ――」
四方八方から責められて抵抗することもできない。元から抵抗する気もないが、逃げ場もない。
「ふふ――気持ちいいですか、ルナ様。ルナ様が嬉しいと、私も嬉しい」
慈母のごとき笑みでルナの痴態を眺めながら、まったくもって手を緩めないコロナ。
「ん……ルナ様。ルナ様、ルナ様――」
夢中になってルナの唇に吸い付くプレイアデス。
「アリスがいちばん、なのに――」
少し嫉妬して、その腹いせに耳たぶをかんだりお腹をなでたりおへそをくすぐったりして気を引こうとしている。
「あっ! ああ……あっ! ふぅ――。も、もうだめ。ほんとに、だめだからぁ――」
手はがっちりとプレイアデスに握られて、背中から抱き締められて浮いているから地に足がつくこともない。さらに頭に至っては正面にプレイアデス、左右にアリスとアルカナがぐいぐい押してくるから本当に何もできないルナはひたすら快楽をその身で受けるしかなく。
「ふふ……果ててもよいぞ? 遠慮なんてするな。ほら、見ててあげるからの。皆の前で存分に気持ちよくなるといい……見ててやるから」
アイコンタクトをしてとどめの言葉を4人が同時に言った。
「「「「だいすき」」」」
ルナの体が大きく跳ねて。
「……ッ! ~~ッ! ~~~~っは!」
プレイアデスの舌で口の中はふさがっていて声が出せない。気絶しそうなほどの快楽でぐったりとなって体をコロナに預ける。
「のう、ルナちゃん……もっとしてほしいかの?」
ささやく声。
そんなことしたらこわれちゃう――そう思っても、びくびく震える身体は声を出せない。けれど、この4人の子たちはルナにとって一番かわいい子たち……愛して、愛されなければいけない――もとは設定でも、この世界で大切にするべき”何か”を見つけられなかったルナにとってはこの子たちが”全て”だ。
「っく! んん~~」
口から洩れるのは喘ぎ声だけだ。感覚のシャットアウトで止められるが、せっかくこの子達がしてくれた感触をなくすなんて真似はルナにはできない。
「ん……」
だから、うなづいた。”もっとして”と。アリスとアルカナは常に「近くにいて。かまって。かまって」と言っているようなものだが、その性質はむしろルナがお手本だ。ルナはむしろ体の感触よりも、他は目に入らないほど集中していじってくれるこの状況に快楽を感じていた。
「ふふ、なら交代と行こうかの」
ルナの体がコロナからアリスに渡される。身体の全部を隙間いじくられて、4回目でひときわ大きく痙攣して気絶した。
多分少年誌の範囲だからセーフだよね? R-15つけたし。