あらすじ〈第1部:翡翠の夜明け団〉
第一章をまとめたあらすじとなります。
◆各巻の表紙&裏
第1巻:1章+2章+3章
第2巻:4章+5章
第3巻:6章+7章
第4巻:8章+9章+10(EX)章
◆各章のあらすじ
第1部:ワールド「グラジオラス」
※グラジオラスの花言葉は『用意周到』。
第1章:箱舟編
ソシャゲをやっていた名もなき一人の男は唐突に心臓マヒを起こし、死の直前までやっていたゲームのキャラクター「ルナ」の身体に転生。何の理由もなく唐突に、生命の存在しなくなった世界を滅ぼす〈神〉に成り果てた。そこにはルナを慕う仲間たちが居た。彼女に付き従う11柱の神、人ではなく神として永遠を体現する無限の存在だ。しかして好感度を最大にまで上げていたアリスとアルカナは不具合を起こした。人間が転生したルナを含め、執着を得た二人はもはや神の精神性を体現しない。
彼女たちを運ぶ箱舟は人間の住む世界へと墜落した。そこで調査に来た軍人たちの体たらくに呆れてしまい、仲間と子供の遊びを始めるのだった。
第2章:災厄編
近くにあった村へ厄災が降りかかった。それは強大なる魔物の王【災厄】の襲撃である。人類を滅亡へと導く最悪のモンスターを前に、勇気を奮い立たせて立ち向かう新城と冒険者チーム【光明】。彼らの姿に心を打たれ、ルナは彼らを主役にした英雄譚を作ることを決めた。……黒幕をロールすることを目論んだ。
彼らは見事にルナの期待に応え、生き残って見せた。これにて滅びかけた世界で救済の舞台の幕が上がる。――すべては彼女の手のひらの上で。
第3章:交流編
生き残った村人を見捨て、新たな街へ着いたルナと【光明】は現代に勝るとも劣らぬ文明の恵みを享受する。柔らかいベッドに様々なデザート、女の子がする贅沢とはこういうものだろうというテンプレをお供の二人と共に絵奈利に楽しませてもらった。
しかし直後に襲来したのは、【災厄】撃退の噂を聞きつけた【翡翠の夜明け団】の魔人。そしてルナに挑み、窮地に陥ると仲間が助けに来た。けれどナイフ形の藁で人は切れないように、彼らがルナを打倒することなど不可能である。にもかかわらず、彼は一太刀入れると言う不条理を成し遂げた。ルナは「諦めなければ夢は叶う」ということの恐ろしさを学習するがしかし、大人げなく【災厄】すら超える魔物の力を我が身に降ろして撃退する。
第4章:暴走編
結局、ルナは魔人二人を殺すことなく見逃した。人間相手に芽生えた恐怖から目を逸らす一方で、〈勇気〉をこそ尊ぶ子供らしさはそのままだった。
そのころ街には数千の魔物が迫っていた。その後に及んでも内部分裂を続けて政治闘争に明け暮れる街の人間達。ルナとの協力関係を築いた【夜明け団】は、権力によって冒険者ギルドの長を更迭、指揮権を【光明】に委ねることを決めた。
曲がりなりにも街の人々が生き残れるだけの土壌を作った3者――強力な魔物さえ始末してしまえば残りは数が多いとはいえ銃で対処可能な雑魚のみだ。しかし当事者である街の人間は与えられた機会を活かせず死滅した。生き残りが食い殺される地獄の中、ルナは団から与えられた薬品で人体実験を行うのだった。
第5章:白露編
【光明】と別れたルナは、【夜明け団】と協力関係を結んでいる実験都市【白露街】に足を踏み入れた。その街はかつての王族が復讐のために作り上げた実験場。壁に覆われ昼でも薄暗いその町は、何代もの人体実験を続けた結果、アルビノばかりが産まれる滅びに向かうだけの都市になり果ててしまった。それは――自らの一族にて近親相姦を繰り返し、とある【災厄】を殺すためだけに。
結果として産まれた最高傑作。彼ら独自の技術が生んだ最強の魔人は、【災厄】に届くだけの異能を得た。あとは王国を破壊した憎き【災厄】と決戦の時を迎えるのみ。ルナはその【災厄】を目覚めさせ、決戦の舞台を演出して高みの見物を決める。
白露の全てが終末を迎える。白露街は敵の侵攻に耐えられない。後は、白露の主が自らの存在意義を示せるか。……見事討ち果たして見せた彼女は、【災厄】の落とした極大魔石をルナに譲渡して息絶える。
第6章:天国編
【災厄】の落とした魔石は凄まじい力を秘めているが、同時に触れるだけで人を殺す劇物だ。その劇物で【夜明け団】はかつて諦めざるを得なかった”空を取り戻す”プロジェクトを再スタートさせ、ルナに全権を委任することを決定した。
ルナは好き勝手をしつつ、さらに三人の魔人が彼女をサポートした。魔人の作り手である【夜明け団】の中でさえルナの力は桁が外れているがゆえ、従うのに理由は要らない。暴力と優秀な三人の力を背景に、ルナはプロジェクトを強引に押し進めていく。そう、すべては……天空を支配する龍の島を堕とすため。
第7章:天界門編
ついに実行されたプロジェクト『ヘヴンズゲート』。第1段階、【災厄】の魔石を手に入れることは白露街が達成した。第2段階、その魔石を使用した魔砲によって龍の住む島を撃墜する。魔石ならルナが扱える、砲台は夜明け団が作り上げた。ならば、無数の団員の屍を積み重ねて撃ち落とすのみ。来たる第3段階、解放された空に人工衛星を打ち上げる手筈となっていた。
第2段階を決行中、島を撃墜できるだけの力を感知した2体の【龍王】が基地を撃滅せんがために襲い来る。立ち向かうは、ルナをサポートしていた魔人3名。その舞台と力を引き換えに協力していたのだ。ルナによる再改造を経て、更にルナ・アリス・アルカナの武器を貸し与えられた究極を超えた神域の魔人が龍の王へ挑む。
3名は命と引換に龍王を撃破。そして、貸し与えた武器もルナたちの手に戻る。無数の下位竜が襲ってくるが、団は総力を投入して命と弾薬を薪と積み上げることによってプロジェクトは達成されるのだった。
第8章:人類反乱編
プロジェクトを達成した一方、得られた魔石は半分以上を【王都】に盗まれた。そして、【夜明け団】へ牙を剥く人類の勢力たち。人類の未来を切り開いたが、しかし結果として狩りやすい獲物になり下がったのだ。ここで退けば団が世界を席巻するゆえ、手加減はしない。――世界を支配するのはお前ではないと、世界が夜明け団に反乱を翻した。
さらに【王都】は魔石を用いて人体実験を繰り返し、魔人と最悪の兵器を作り出した。そして、その力を魔物ではなく団へと向けるのだ。ルナや団の魔人たちは彼らを撃退するために奔走することになる。世界を救ったならば、その次には人間との闘いが待っている。なぜなら、人の言うことに従うなどまっぴらごめんだから。世界を救った程度のことが、どうして世界を支配する理由になろうか。……ゆえに、戦争は終わらない。
第9章:黒幕編
ついに、ルナはその牙を人類へと向けた。魔王として人類の前に立ちふさがり、我を撃退して人類絶滅の野望をくじいてみせろと嘲笑った。人類を滅ぼすその兵器こそ『黒の心臓』、人類の生存領域全てを砕く爆弾である。タイムリミットとステージを設置して挑戦者達を招き入れたはいいものの、挑戦者達は不甲斐なくも全滅してしまった。
あとはタイムリミットを待つだけとなったルナ。だが、彼女が見出した【光明】と【夜明け団】は雌伏の時を待っていた。持ち時間を最大に生かすため、彼らはリミット間際に行動を始めた。敵同士だった彼らが手を組み、命をかけて挑み……ついにはルナを倒してしまった。
EX:ex:storirs
彼らが決死の想いで倒したルナは偽物だった。本物は無事、己の箱庭から世界の行く末を見つめている。ルナの生存を誰も知らないまま、世界は動いていく。
【夜明け団】は【王都】と決着を付け、ルナの遺した遺産を解析する。全ての魔物の母……大地を蝕む汚染の源は、遥か昔に流れ着いた島ほどもある巨大な魔物であることが判明する。それは、かつて『暗黒島』と名付けられた孤島。団は元凶を断つため、【光明】とともにその地へと乗り込み、『黒の心臓』を材料と絶対錬成し『黄金六芒星』を完成、元凶を世界の外側への放逐を完遂した。それこそがラストプロジェクト『ヘヴンズフィール』の全貌。
そしてルナは最終決戦の生き残りを箱舟へと招き、幾多の世界への旅へと誘う。しかし彼らは汚染の消えない、わずかな延命を成し遂げただけの先の見えない世界へ帰って行ったのだった。……すでに拡散した汚染は消えない。倒した災厄は復活する。それでも、確かに強くなるスピードを削れたのだから。