第104話 ノルン side:ルナ
ルナは襲撃者たちの死体に語りかける。
「ヘヴンズゲート……あの作戦で僕たちは壊滅的な打撃を受けた。ゆえに不埒者の横行を許した――僕たちが掴んだはずの魔石を横取りされた。ねえ、どんな気分? 自分で掴んだわけでもない、ただの横取りと運がよかっただけで力を手に入れて……さ」
虚空から、否――あちこちから反響した”声”が届く。
「確かに君の言う通り、王都が手に入れた龍の魔石はただ盗んだだけの代物だ。だが、それはお前たちの要領が悪かっただけだ。強力無比なエレメントロード、触れることさえ困難なそれに気を取られて、足元をおろそかにしていたからだ。まあ、僕ら『ノルン』にとっては、彼らの行動もただやれるからやっただけの行き当たりばったりにしか思えないのだがね」
それは自信満々な声だった。通常の王都製の合成人間の声とは違う。あれは洗脳を受けた人形だから、自信も何もレコードでしかないのだ。
あれらは研究者や貴族どもの言葉を反響しているだけで、彼ら自身にはなにも”ない”。だが、この声には確かな”自分”がある。
「ノルン……運命を司る3女神か。エフェクトかけてるけど、お前男だろ? 恥ずかしくないの。何が運命だよ、たかがドラゴン50匹分の魔力コアに適合した人間だったモノの成れ果てのくせに」
「私は”未来”。私の核となった人間であった男の意識など、力の前に吹き飛ばされて残っていない。大体、男だの女だのと性別にこだわるのは下等な生命の印だ。子供など、永遠を生きる存在にとっては無用なもの。肉に縛られる愚かでかよわい彼らなど、もはや欠片も理解できんよ。この”超越者”にとってはな」
「未来……スクルドね。なるほど、力にとらわれたか。砕けた破片の飴細工が笑わせる。己を定義する意思すら持ち合わせず、それでも適正だけは持ち合わせた傀儡の成れの果て――人間を超越した? お前はただの”異能”、それ自体でしかないだろう」
「ならば、試してみるかね? この”未来”を前に何ができるかを。人間は未来の前には謙虚であらねばならない――頭が高いぞ、夜明け団の首領の位を持つ人間よ」
言葉にざらざらとした悪意が混ざる。人間では到底到達しえない神格レベルの負の感情。やはり王都はそういう類の扱いに長けている。
「いや、代表者であって社長は別なんだけどね……ま、どうせ未来など名乗るからには未来予知あたりだろ。そんなもの、圧倒的な力の前には何の意味も――なッ!?」
ばん、と死体が飛び上がる。暴走した転移の魔術に触れ、ぐちゃぐちゃになった彼らが変な方向に固定された足、または腕。地面に近いそれを叩きつけ、反動で飛び上がる。明らかに死体躁術だ、未来予知じゃない……!
「未来予知など、発想力が薄いな。頭が固いぞ。私は”未来”、未来を決めるのは意思であるのだ。予知なぞ、コソコソと隙間から覗くような盗人の所業だな」
「で、アタリが外れたからなんだと。別に僕は全知ではないのでね……間違えもある。だが、できないことなどほとんどないぞ?」
構える日本刀を裏返す。叩いて潰す、斬るのは逆効果だと見てわかる。パーツが増えれば独立するだけだ。
「だが、追い詰められているな。いくら死人を殴ったところで意味はない」
いや、動きは鈍くなっている。だが多勢に無勢、囲まれ始めたか。刀の背で殴りだけではそろそろ限界が来る。
「……っは! こいつらの尊厳を焼き尽くすのにためらいでもあると思ったか! このクズどもが相手でなければそうだったかもな! 馬鹿め――燃えて消えろ【フレイムフィールド】!」
かつて”光明”の空皿虚炉が使った魔術。その見様見真似――それでも、出力が桁違いならば範囲も桁違い。強引に魔力でごり押した。使った魔力は数十倍でも、威力は数倍程度なのが惜しいが。
「人は未来を恐れる。しかし、本来の未来とは恐れるものではない。受け入れるものなのだ」
声が何重にも響く。……が
「見つけたぞ! 発想力がないのはどちらだ。お前流に言うならば策とは張り巡らせるもの。こいつのもたらす効果は一つじゃないぞ」
空間の揺らめきが視覚化される。炎が避ける――透明化ならばそれで場所が分かる。狙った効果は二つ、操られる遺体を焼き、空間を炎で満たすことで隠形を見破る。
「……そこ!」
すでに黄金螺旋階段は崩れかけている。踏み抜き、破壊して一歩でそこに到達する。
「やはり、お前には見えていないな――”未来”も、そして目の前にあるものすら」
刀の一閃、そこに手ごたえは何もなく。
「ッチィ――!」
爆発した。
「……罠か。姑息な――」
(手ごたえ……膜を切った感じだ。均衡が敗れたときに発動するトラップ式魔術式は違う。あれは……膜に隠した何かに引火した?)
敵もまた、強引に魔力のごり押しで魔術を発動することはできるはず――だが、それは違う。強引だから魔力の流れが分かりやすいのだ。だから、ルナも全体攻撃なんてかわしようのないことをやった。超広範囲でないと、撃つ前に避けられてしまう。
「そう、お前は何もわかっていない。誰もお前の気持ちを分かってくれないと嘆いているのだろう? 女子供にはよくあるのだよ。自身が特別だと言う勘違いだ。だがな、そんなものは誰もが思っていることなのだ。お前が誰かの気持ちなど知らんから、誰かもお前の気持ちなど知ったことではない」
「……だから? 彼らは見ない。だから僕も見ない。自分が助けたら、今度は他人が助けてくれると思うほど馬鹿馬鹿しいこともないだろう。もっとも、王都で精神支配された君に誰かが顧みることなどないだろうがね」
「ああ、そういう勘違いか。お前は本当に人を見下しているのだな。己が見下されていることも気づかずに。それは人間を相手にするものだ。”異能”を相手に精神を支配したところで意味がないだろう――自分の言ったことを忘れたか」
ピクリとルナの手が震えた。
「お前、お前自身の考えで動いているとでもいうつもりか?」
驚いた、のだ。少なくとも王都製の合成人間はただの道具だと思っていたが。
「黄金螺旋階段とか言うのだったか。ここを襲えと言うのは彼らの言だがね、まあ私には最初からこの目的はどうでもよかった。どうせ、鍵を持ってなければどうにもならないのは分かりきっている。そんなもの、彼らも私も持っていない」
「まあ、こんなところに武器を死蔵とかするわけないしね。何かあったら『ヘヴンズゲート』の時に使ってる。――君は、自分の意思で飼い主のご機嫌取りに来たの?」
「まさか。彼らなど、目先の餌に右往左往する哀れな愚者の群れに過ぎない。私がここに来たのは貴様を見定めるためだよ」
(……なるほど。こいつは通常の合成人間とは”モノ”が違う。とはいえ、魔女ほどでもない。ただの人外――底は見えたな)
待っていても仕掛けてこない。カウンターが得意なタイプ、というわけでもないか。ここまでのレベルなら戦闘の手法などにこだわらない。別に僕だって近接戦オンリーでもないし。攻撃してこないのは能力の質でバレやすいからだと推測が立つ。
「あまりペチャクチャしゃべってるのもあれだしね。さっさと終わらせようか。月読流……【鳳閃花】」
円形、360度の斬撃を放つ。塔、そのものを――”斬る”のだ。
「……む」
空気が揺らぐ。乱れて、ちぎれて――
「さて、自分の仕掛けた罠で自分が吹っ飛べ」
敵は同じ罠をいくつも仕掛けていた。というより、話している最中にも設置していた。それをすべて同時に起爆してやったのだ。
「自ら死地に突っ込むか、愚者め」
「いいや、賢者さ。ゆえに貴様の攻撃など効きはしない。アーティファクトがあるからねぇ――」
塔が崩れる。ダイナマイト解体法……爆発で柱を壊して建造物を回りの被害を出さずに一瞬で壊してしまう解体法の通りに、ルナは生き埋めになる。計算されつくした衝撃がルナという一点に収束し、瓦礫が押しつぶす。
「でも、それは君が逃れられるということじゃない」
そう、逃れられないのは塔の中にいたスクルドも同じことだった。ルナ相手に能力を使うには近くにいる必要がある。遠距離で一手遅れた状態で戦うなど、あの魔女以外には決してできない。
「っぐ……ぬぐ――まさか、あのような破れかぶれを」
土砂から顔を上げる。見事に塔は崩れて、瓦礫だけがうず高く積もっている。
「月読流……【千刀鳳閃花】」
斬撃が瓦礫を砂と変えた。鳳閃花は二次元、しかし千刀は三次元。連続して放たれる斬撃が、半径20mのすべてを断裁して断裁して細切れにする。
「……生意気な――!」
スクルドは顔を歪める。自分が仕掛けた罠であることは確かだったし、逆利用とか言っても喰らった威力自体はあちらの方が何倍も大きい位置にいた。
それでも、体を土にまみれさせ、姿勢安定のためによつんばいにされたのは屈辱だ。攻撃を避けるために隠れ場所から飛び出ざるをえないが、しかし当たってやるほどノロマじゃない。
「は……土下座みたいな姿、やっと君を見れたけど――似合っているじゃないか!」
そんな皮肉にさらに憎悪の念をたぎらせる。実のところ、彼に人生経験などない。赤子同然だ、彼であった人間の精神は改造のときに吹っ飛んだ。
異能が核となって生まて落ちた異形こそが彼の正体。偶発的に生まれた超強力な能力者である彼に研究者たちは遠巻きにへりくだって接していたから、屈辱を受けた経験などない。
「ほざけ! ガキがァ」
蹴る。だが、それで済まされるような現象ではない。その身体能力は音速を超える。衝撃波すら発生させる馬鹿げた一撃、その衝撃力は龍の体当たりにすら勝るだろう。
「……っく。ぐぅ――」
ルナは小枝のように吹っ飛んだ。
「ふざけやがって! テメエなど、支配者気取りのガキに過ぎんだろうが! ちょっとばかり力を持ったからっていい気になりやがってよ――」
馬乗りになり、殴る。殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る――子供そのものの小さな体は暴風雨に飲み込まれたように揺れる。
「あは」
ルナはその殴る手を掴んだ。ダメージなど喰らっていない。そんな攻撃でアーティファクトの防護を突破することなどできはしない。
かの虐殺者は一度だけルナを傷つけたことがあるが、それは彼が特異なだけ。彼より勝る威力を叩き出そうと、それだけでは意味がない。
「なるほど、身体強化のやり方を見てやっとわかった――」
掴んだ腕を引き寄せ、頭突きする。スクルドはもんどりうち、鼻血を出して。それはすぐに止まる。心臓すら再生するほどの超回復能力を持っているのだ。
「ふふん、鼻が潰れたね。衝撃を操る能力による身体強化じゃない……薬物で強化してるんだ。そして、再生ですぐに血を止めた。ネクロマンス、爆発、強化と一貫性のない効果だと思ったけど。いやまあ、随分と応用が利くね。その”生体薬物生産工場”とも呼べる能力は」
そう、稀にいる薬物を合成するタイプの王都製合成人間。普通は爆発物を射出する、毒ガスをばらまくなど一種類しか合成できないが、この”未来”は何でも合成できる。化学反応を操れば物質を操作できる、それがこの未来の正体。
「ぐぐぐ――能力を知られるとは、な。だが、異能を解き明かしたところで無意味……ここで貴様を殺せば秘密は秘密のままだ。地域一帯の気流は制御している。屋外であれば効果が弱まると思うのは間違いだぞ」
スクルドは指をグネグネと動かす。わずかな霧がそこから放出されている。もはや隠す意味はないから、最大限に能力を使っている。
「弱まろうが、強まろうがさして意味などない。アーティファクトの防護は毒にも効くよ。そして、君の徒労を横目にゆっくり考察させてもらった。僕は大人だからそこまで体面にとらわれない、少しくらい頭を下げるくらいなら気にしないのさ」
刀をかかげ、無造作に近づいていく。
「は、どこが大人だ笑わせる。そして、甘いな。人はいつも”未来”を甘く見ている。明日になれば自分に都合がいいことが起こると。だが、それは大いなる間違いだ。未来はいつでも牙をむく」
抜き手。真っ向からぶつかって。
「――っな!?」
驚愕の声を出したのはルナ……
「人はいつでも未来を見ない」
捉えたはずの姿は消えていた。空気の屈折や幻ではありえない。確かに捉えたと思ったのに、その姿は霞と消えた。
「大いなる”未来”の前に、可能性よ。埋もれろ」
穴が開いた。ルナの立つところが液状化したのだ。
「……ッチィ――」
空気を蹴れば移動はできる。それを、やろうとして……
「すべてのあがきは無駄――頭を垂れ、未来を受け入れろ」
超高温の衝撃波がルナを襲う。衝撃に穴に頭から叩き落される。
「ぶふ――」
地面にあたり、そこから沈む。沈んだ分だけ土砂は上からかけられる。他の場所には全く影響を出さずにルナだけが地中にうずもれていく。深く、深く――掘り出した土砂をそのま埋め立てる掘削法。
「いかに強力な力を持っていようと大地を持ち上げることなどできはしない。強力な防御を持っていたところで発揮する機会がなければ無駄なのだ。地の底で、この”未来”を侮辱したことを後悔し続けるがいい」
踵を返し、歩き出す。そこにはもはやルナのことなど一顧だにしていない。未来の前に消えていった蛮勇を持つ者を見る視線と同じく。
王都に向かって歩いていく。ロケットのようにぶっ飛ぶことはできるが、異能の自由使用は禁じられている。何かあれば使う気だったが、さすがにこんなことに使いはしない。迎えがいる地点は遠くて、面倒だななんて思っていると。
「で、終わり?」
――目の前にルナがいた。いや、そもそも立っている場所が砂漠じゃない。”ここ”はさっきまで立っていた場所ではないと戦慄する。
「っな!? なんだとォ――」
「転移魔術。アーティファクトなしでも、あれだけゆっくりと準備できる時間があれば使えるさ。この僕ならね」
大地の重みなんて僕には効かないし。などと笑う。
「馬鹿な――そんな”可能性”が」
「そして、転移した”ここ”に君の合成した薬物はない。先のアレは幻覚、アーティファクトとて全てを遮断するわけじゃない。酸素や光を通している……毒と言っても一口にくくれるようなモノじゃない。酸素も、濃度が低ければ毒と言えるのだから。王という割にはこすっからい微調整だね。だが、土の中ならば関係はなかったな」
「ぐぐぐ――」
反射的に逃げ出そうとする。どこに彼の散布した薬物があるのか彼にはわかるのだから。そして、ルナの居場所には”それ”がない。今からでは間に合わない。
「あは。逃がさない」
足を両断されてスクルドは転がる。
「……使いたくはなかったが、仕方ないか――」
黒い球を取り出す。それ自体では何の意味もないものだ。
「貴様ら錬金術師は物質が永遠のものであると信じているようだが、それは違う。本当の物質というものは穴だらけで、絶対であるはずの”重さ”も減ったりもする。わかるか? 物質とは永遠ではなく、壊れゆくものなのだ」
「原子の授業かい? その学問はこの世界になかったもののはずだが。しかし、感性だけでそれを知ったとは大変なことだね」
「そして、わずかに重いものは壊れる。そのカタチあるものが壊れ行く理が生み出すものを知るがいい【ニュートロン・メーザー】」
「ふふん……そいつも無駄――電磁波であろうと、それだけ出力が強いならアーティファクトは防ぐよ。……まて、おまえ、それ……」
そう、あいつが取り出した黒い球。さすがにルナも見た物が何でできているかなど分からない。が、もしあれが――
「それはただ散って消えていくだけの代物だ。だが、臨海値を超えたならば”それ”は増え続ける。鼠算のごとく、無限に増えていく」
「ば……それは。それは、もしかしてウランか――」
そう、ルナは知っている。E=mc^2の式によって解放される莫大なエネルギー、そして広範囲、長期間にわたる汚染を。
「それこそが質量がエネルギーへと変わる天地開闢、原初の光に焼かれて砕け散るがいい……!」
言いながらも彼は逃げる。先ほどルナに使用した掘削法……それを利用して自身は地下に逃れ――
「未来から、以前に責任から逃げるなよ」
投げられた刀にくし刺しになる。液状化した大地が沈んでいこうと、昆虫標本のように繋ぎ止められた彼を安全な地下へといざないはしない。
「……や、やめろ――」
彼が叫ぶ。いや、肺を貫かれて呟くような声は小さく、闇に消えていく。
「どいつも、こいつも――」
ルナが苛立った言葉を発して。”それ”が来た。TNT爆薬に換算して22キロトンに相当する爆発があらゆる全てを薙ぎ払った。
瓦礫と化した塔は跡形すらなく焼却されて塵と果て、それを作った男は影すら残さずに世界から消えた。
「ああ、やれやれだ。どうして人間ってのはこうも汚染するのが好きなんだろうね――」
残ったのはルナだけだ。さすがのルナもその爆発を喰らう気にはなれない。その爆発も汚染も破壊した。ルナの持つ特殊能力――『ワールドブレイカー』能力で。
まあ、もっとも爆発全てを消せば世界を壊してしまうから最低限に済ませたが。
「あ……ああああ――」
ひゅーひゅーと漏れ出す小さな声。
「おや、生きていたか。すさまじいね、気化した化学物質で断熱層を作り、さらに発生した光からも己を守った。でも、さすがに無傷じゃ済まない。破壊そのものを破壊した僕と違ってね」
上に向ける瞳は虚ろ。そもそも灰となった棒人間が生きているなどと想像できるものは少ないだろう。だが、ルナには聞こえている。
「き、きさま……なんてことを――」
「それはボクが言うべきセリフじゃないかな。大変なことをしてくれたんだ、結果をその目で見る責任くらいはあると思うぜ」
ぼろりと崩れた灰から赤い肉がのぞき、それがどんどん増殖している。
「ぐ……うぶるるるるあああ――」
再生能力が暴走している。アレから生み出される放射線を完全に防ぐことなどできなかったのだ。
「あは。なかなかいい有様だ。やったことの結果、その身で受け止めるがいい」
「ど、毒が。毒が降ってくる……!」
ルナはそいつの喉をぎりぎりと締め上げ、口を開けさせる。そして、何が降ってくるかと言えば――上空に舞い上がった放射性物質を含んだ”黒い雨”が降ってくる。
「ひ……ひィィィィ――」
身動きもできず、それを飲み込む。ただし、僕の方はそんな毒物などアーティファクトが防ぐ。
「すでに遺伝子が破壊されて、元の体に戻そうにも設計図はずたずたで再生能力はただ腫瘍を膨れ上がらせるのみ。そして毒……ほら、君の”未来”なんて分かりきっているんじゃないかな」
「た……タスケテ……」
「やだよ。ほら――そこで助けを待つがいい。どうせ、来ないだろうけどね!」
「い……いやだ……こんなところで……こんな有様で……いっそ、ころしてくれーー」
「じゃあね、未来。いい未来を」
ルナはそいつを残したまま転移してどこかへ消えた。
核爆弾の原理は間違えていることがあるかもしれません。
というか中性子線を向けたところで本来なら、スカスカのところを小さい粒が通り抜けてそんなに当たってくれません。一応知識としてはありますが、そんなに説明しても蛇足にしかならないと思ったので超簡単に言いました。
しかもスクルドは物理学的知識なしで感性だけで理解していたので、人に教えるとか無理です。