キャラ紹介&イラスト――第3部、現地の人々――
第3部の世界はのどかな「人類史の浅い」世界であり、特異であるがゆえに類を見ない速度で瘴気が蔓延した〈滅びに対抗できなかった〉世界であった。
西側の田舎国は呑気に亜人と人間で略奪と防衛を繰り広げ、中央では3大国が覇を競い、東側の田舎国は帝国が支配する実験場に成り果てていた。魔物は発生せず、種を撒けば食べ物が取れる人と人で相争う世界。人々は世界など知らず、狭い人間関係の中で生きていた。
◆テンペスト王国
村娘:サーラ
鋼鉄の夜明け団がこの世界に来て初めて会った人物。この時すでに世界は滅びの予兆が現れていて、世界中が末世と化していた。彼女の住む村は盗賊団に襲われ滅ぼされるところだったのだが助けられ、食料その他の援助まで受けさせてもらった。
第3部における第1の被害者枠。助けてもらったし、夜明け団の援助がなければ村は生きていくことすらできないのだが――それでもレーベに気に入られてしまったことは、差し引きで言えばマイナスだろう。純朴な村娘のはずが、知るべきではない知識を詰め込まれて一介の村娘では居られなくなった。
その妹:アン
サーラの妹。よく村でお留守番をしているが、それはサーラがこの子を夜明け団に関わらせたくなかったため。反対する者が誰も居ないあたりが団の異質さを物語っている。天真爛漫な性格、他のお姉さんの仕事をよく手伝っている。
戦士長:ハインリッヒ・ダークニス
この世界で初めて夜明け団に挑んだ男、ではあるのだが実際はまともに相手はしてもらえなかった悲哀。オペレーターのナインスと剣技を競ったが、下位団員は基本遠距離重視なのでお遊びの範疇だった。
その後は我が物顔で居座る夜明け団に対して強硬手段を取ろうとする王に反発し、またも夜明け団のところまで出向いてアームズフォートをよじ登った。が、聞く耳を持たない夜明け団に対して剣を抜いたところあっけなく銃殺されるに終わる。
王:ドミネイ・ウラージヘル
夜明け団のアームズフォートが不時着した国、テンペスト王国を支配する王様。3つの戦士団をもって隣国の黒翼共和国と紛争を続けていたが、末世に陥るにあたってこれまでの経験から抜け出せなかった古い王。その結果、3つの戦士団が壊滅し潰走してもなお夜明け団に敵対を続け、最終的には彼自身が機関刀でもって夜明け団に挑むことになる。
◆黒翼共和国
女王:ウィンディ・バルジャドレイク
テンペスト王国の隣国、黒翼共和国を支配する女王。黒翼はハーピィが支配する亜人の国であり、テンペスト王国から略奪を働くことで糧を得ていた国。魔の国、と言えば聞こえはいいが弱肉強食の原始的な国である。
彼女は黄金帝国から夜明け団と争うように誘導され、ドミネイ・ウラージヘルが持っていた夜明け団の捨てた機関刀まで与えられたが、戦いにはならなかった。とどめを刺されなかったことから回収され、研究材料とされた末に門番として使い捨てられた。
◆アルデンティア王国
王:ジョン・ローズデーン
田舎のテンペスト、黒翼と違って中央で覇を競っていた力のある国。8つの騎士団を擁し、その騎士団長の力は曲がりなりにも機関刀と戦えるレベルにまで至っている。田舎者とはレベルが違うが、しかし夜明け団は更にレベルが違った。
末世にあたり黄金帝国から世界を救うものと聞かされて封印柱を建てたが、それは病魔を他に押し付け自分だけが蜜を啜る悪魔の発明だった。騙された彼はクリムノート帝国と手を組み、黄金帝国との最終戦争を決意するのだった。
彼は心優しい性格だが果断な決断もできる優秀な王様だった。冷酷な判断が必要であれば、その役割の人間が居る。国を動かす機構としてはうまく行っていたのだが、勝ち残ってしまったことから滅びの生き証人となって変わり果てた姿になってしまう。その最期まで人を救うために奔走したラストキング。
〇自信に溢れた王様の姿
〇滅びの生き証人
◆黄金帝国
帝王:メランザ・ラースクライム
アルデンティア王国と合わせて、中央で覇を競っていた3国のうちの一つ。そして、ネメシス帝国を傀儡として辺境(テンペストと逆側)に苛烈な支配を敷いていた。その成果の一つとして原始的な『フェンリル』の製造に成功している。また、封印柱の開発にも成功しており2国を騙して中央以外の場所を地獄へと変えている。
本来であればその策略に気付くこともなく2国は蹂躙され、千年王国を築いていたはずだった。が、ルナがその企みを教えたことで策は崩壊し、地の命を吸い尽くす前に最終戦争が勃発してしまった。今の力では夜明け団に対抗することは不可能と断じ、フェンリルの応用理論を使って王城に死山血河を築いて魔力と変える。
本来であれば王城周辺のみを封印柱で守り千年持つ小さな王国を作る計画であったが、ルナに邪魔された。その恨みを晴らすため、2国を下した上で地のすべてを喰らい尽くしてでも彼女に対抗するための力を得る方策へシフトした。生来の彼は敵や貧乏人をマッドサイエンティストの生贄にしても、身内を殺し尽くすような破滅的な性格ではなかった。が、千年王国の野望を潰されたことで凶行に走ったのだった。
アイテム
◆機関刀
全13本ある、他の世界から流れ着いた異物。魔物に対抗する〈第三の策〉であり、敵の領域に耐えられる体を作るのが魔人・魔導人形であるが、これは自らも領域を使うことで対抗するという考え方。ルナは魔力の垂れ流しと馬鹿にした。
さらに、13本をもって世界の構成を理解する錬金術的手法で製作されており、これは10の構成要素を作った上で1の完全を作成するという終末少女の作り方と共通する。なお、数が多くてもガバガバなため、世界ではなく魔力しか壊せないがそれでも管制すれば”神の力”と呼べるほど強力な武器になる。
◆塔
夜明け団が来る前に世界に突き刺さり、天の中途から生えているような見た目の塔。世界はここから生き血を流し、死に瀕している。流れた血を辿って二つの夜明け団はこの世界にやってきた、滅びの原因。
元々は別の世界の建物だった。すでに生命は滅び、魔物が支配する世から世界の外側へと放り出され流れ流れて別の世界に突き刺さった。建物は世界に比べて小さく、更に世界と世界の間には広大な暗黒空間が広がっているため不運な意味での奇跡だった。
◆不浄封印柱
世界の滅びを食い止めるもの、という触れ込みだったが実際は他に押し付けるためのものでしかなかった。瘴気を過剰に押し流してその土地の汚染を浄化する緑の封印柱と、流された分の瘴気を引き受ける赤の封印柱がある。さらに黄金の封印柱がコアの役割を果たし、力を集める。