プロローグ
・・・・俺は負けた。
負けたんだ。
家の布団の上で彼は右腕で目を抑えながら寝転がっていた。
山しか周りにない街、岡海市には毎年九月に市で剣道の大会をやっていた。
目頭を押さえている彼は三年最後の全中予選では個人県ベスト8の成績がある。
そんな彼は市の大会なんかで負けるとは思ってなかったのだろう。
力の差はそこまで感じなかった。と彼は思っている。俺は強い。そうおもっている。
やられた技は返し胴、二本目は合い面。
まけた彼はすぐに帰ってしまった。
それから二週間の10月、中学三年生は進路を決めなきゃいけない時期だ。友人の勧めで近くの体育館では高校の新人戦の県大会をみにいった。
体育館のギャラリーにきて、高校生の試合をちらっと見る。やっぱり動きが何か違う。とても激しい。
貼ってあるトーナメント表を見てみるといろんな学校が並んでる。
「森本~、岡海何試合場かわかる??」
友人の海原が隣で肩をたたきながら聞いてくる。
トーナメント表をみて彼の探してる岡海工業高校を探す
見つけた。
「第二試合場の三試合目だよ」
「あ~りがと~ね~」
頭の悪そうな返事を受け岡海工業の周りを見る。
一試合目は永野高。全身真っ白の胴着でとても目立つ学校らしい。ちなみに国立らしくとても偏差値が高い。
そこに勝ったら丸山秀岳館か野澤西の勝者。
トーナメント表にむちゅうになっていたら海原が肩をたたき岡海工業の試合が始まると教えてくれた
「相互に礼!!」
「ファイトォォォォ!!!」
審判の礼の声のちょっと後に元気のいい声が聞こえた
その声のおかげで試合の場所がわかった
先鋒が前にでて蹲踞して試合が始まる
岡海の先鋒は安倍
永野の先鋒に簡単に二本もとられる。
そこまで強くないんじゃね??
次鋒に代わる
岡海の次鋒は木下
木下ははじめの声とともに前に出るそして竹刀の剣先を上げる
永野の次鋒は竹刀あげられたときに面を来ると思ったのか竹刀を面の前で斜めにして立たせる
そのときだ、永野の次鋒が竹刀を上げた瞬間、木下が右胴打ったのだ
ぱっこーん!ときれいな音が会場に響く
審判三人が木下に旗を揚げる
二本目、永野次鋒はあせりはじめと言われた瞬間面を突っ込んでくる
そこをすかさず出小手をきめる
旗はもちろんあがり、中堅にかわる
中堅と副将大将と岡海が勝ち、岡海対永野は岡海の勝利だった
岡海はそのあと丸山秀岳館にも勝ち、三回戦のベスト4決定戦に進んだ
3回戦の相手は日帝大付属高校。有名私立
先鋒副将が勝ち、ほかが負け3-2で岡海の敗退
岡海はべすと8だった
この学校がインターハイ行ったらほかの学校はビビるだろうな、この学校ならなんとなく全国目指せる気がする。彼はそう思い家に帰り、進路希望調査に岡海工業高校 環境化学科と書いたのだ