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トラゴイディア  作者: 南水
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 家畜小屋の横には食料加工小屋がその1から3まである。

 その1は牛乳(正確には牛ではないのだが敢えて牛乳とする)を加工してチーズだのバターだのを作る加工場。

 その2は肉の解体加工場。

 その3は燻製用の小屋だ。ここで色々な燻製を作れる。一度軽い気持ちでゆで卵の燻製を作ったのだが、これが実に美味だった。

 さて、最初は血を見るのも怖かった私だが、人生何事も慣れだと思う。今では巨大な肉包丁を駆使できるほどに耐性がついた。

 勿論妖精さんに手伝ってもらってのことだが、最近は手に入れた香辛料やハーブを使った腸詰め等も作っている。

 けれど、この広い農場で、これらを食べるのが私一人だけという悲しみ。

 妖精さんは主食が蜂蜜で、それ以外の食料は殆ど受け付けない。一部の果物なら食べられるようだが、こういった肉は論外のようだ。

 そうなると当然、余る。結果として私は、思ったより頻繁に街へ行商にいく羽目になっていた。

 正直お金に関しては、あの便利鞄作成のお陰で無駄に懐は潤っている。

 個人的にはとっとと値段が下落して、一般の人達も使えるくらいにはなってほしいところなのだが、どうも国内の他支部にも鞄の存在が伝わっているらしく、全国の上位の冒険者に行き渡らせるためにはまだまだ数が足りないとか。どんだけいるんだ冒険者。

 とりあえずギルドにはこまめに鞄と薬を納入し、その代わり色々な素材を優先的に取り寄せて貰うという融通を効かせてもらっている。

 私の精製した薬は効果が抜群なので、欲しがる冒険者は多いらしい。しかし個別販売はする気がないので、それはギルドから購入していただきたい。

 さて、カイル少年の話をしよう。

 彼は約束通り、その後も露店を手伝ってくれた。その度に歩合で報酬を渡すのだが、こちらも回を重ねる毎に商品の数を増やしたり、流通してない新商品(腸詰め等)を販売したりしているため、報酬額が徐々に高くなっていった。

 このためカイル少年は生活に余裕が出てきたとかで、稼いだ賃金をギルドの登録資金に充て、無事にギルド員になった。

 とはいえ、装備を買う資金まではないため、採取の依頼をこなしたり、日雇い労働で稼いだりしているらしい。

 露店しつつそんな話を聞いていたら、ふと思いついたことがある。

 私の魔術士レベルは1のままだ。鍛えてないからそりゃ仕方がない。

 レア武具防具をフル装備して、マナポーション飲みまくって鬼狩りでもするかと思っていたのだが、ちょうどいい相方がここにいるではないか、と気づいてしまった。

「カイル君や、ちょっと相談があるのだがよいだろうか」

「嫌な予感しかしないが、何だ」

「君、ギルドに登録してる職業は何だね」

「あ? とりあえず初心者だし、剣士で登録したよ」

 剣士か、LV1で装備可能な最強武器防具はどれだっけか、と脳内で倉庫の備蓄を検索する。まあ無ければ作れば良いだけだが。

「実は、私は魔術士LV1なんだけど、今度一緒に狩りに行かないかね。勿論武器防具は支給するし、ドロップアイテムは全て君が持って行っても構わない」

 私の唐突すぎる申し出はいつものことの筈なのに、カイル君は数秒動きが止まった、目を限界まで見開いて私を見つめる、穴が空きそうだ。

「まあ、こうして露店してればお金は稼げるけど、それより私としては魔術士の経験値が欲しいのだよ」

 勿論その分、ものすごく働いて貰うけどね、どうかな。そう問えば、カイル少年はかなりの逡巡の後に承諾した。

「で、俺は何すればいいんだよ」

「盾だね」

 私の身の安全のためにな!

「大丈夫、ちゃんと完全復活薬もってくから、どんだけ斃れても大丈夫」

「なんかサラッと酷いこといってねぇか?!」

「まあ、初心者しか行かないところでやろうよ。こちらもある意味実戦は初めてだし、無茶はしないよ」

 パソコンのディスプレイ眺めつつマウスクリックで戦闘ならば経験あるが、こういう実戦は当然初めてだ。緊張して畏れ慄いて逃げ出す可能性がある。主に私が。

 家畜の屠殺や解体加工もできるようになったが、実戦となると訳が違うだろうしな。

 ちなみに全部妖精さんに任せてもよかったのだが、ずっと薬作りだと気が滅入るのだ。

 なので、できることをやってみようか、と珍しくも前向きな気分になり、何か挑戦できないかな、とうっかり呟いた結果、連行されたのが食肉の解体加工場だった、と。

 これを経験しておけば、外で魔物狩りをするときに絶対良い経験になるからと言われ、そんな真似するくらいなら魔物狩りなんか行かないと本気でその時は思ったが、見目麗しい妖精さんに諭されてやる羽目になった。

 とりあえず、露店の撤収作業後、二人で冒険者ギルドに向かうことになった。低LVによさ気な依頼を受けておきたかったからである。できれば狩場のアドバイスなどもいただくつもりだ。






 街周辺に現れるレッサーテイルの尻尾を20尾、キラービーの針を20本、回数無制限。という依頼がある。

 これは、弱いがやたらと繁殖力の強い魔物で、適度に狩らないと増殖して大変なことになるため、常時依頼を出しているらしい。

 お陰で低レベルな冒険者達の経験用に役立っているとか。

 これ以外にも、採取系の依頼が幾つかあったのでとっておく。

 正直、ドロップアイテムは全てカイル少年の物にする予定なので、依頼を受けても意味がないのだが、それは彼がガンとして譲らなかった。

「取り分は半分でいい! 依頼もちゃんと受けろ!」

 最初会った時はスリなんてやってた半グレであったのに、真面目になったな少年。

 というか、元々彼はこういう気質なのだろう。貧乏が彼を歪ませていたのか。

 とりあえず、少年の挟持を無碍にするのも何なので、それは承諾した。それならば、ギルドのおじさんが目を剥くくらい大量に、狩り尽くせばいいだけのことだ。

 私は帰宅後、腰帯につけるポーチを二つ製作し、それを便利鞄にした。

 鬼狩りをするならば、回復薬の大量所持は避けられない。文句を言われても彼にはこれを使ってもらう。

 中には各種ポーション、そして宣言したとおり復活薬や中復活薬、更には希少と言われる完全復活薬も入れておく。多分、これだけで一財産。

 何せクレオンでも、完全復活薬は高レベルの錬金術士(サブ高レベル神官もち)のみが作れる薬だった。作れる人間が相当限定されていたため、かなりの高額で取引された。

 そう、私が神官を鬼上げしたのはこの薬のためといっても過言ではない。

 作成可能になれば、必要素材は大概自宅の農園で栽培可能のため、実は量産可能だったのは秘密だ。

 カイル少年に復活薬を渡すのは、この薬、自分で自分に使えないという欠点がある。

 そりゃ死んでるから動けないのは当然だ。よって他の誰かに持っていてもらわねば意味のない薬だったりする。

 それ故に、彼には惜しみなくアイテムを持たせる。そして、彼に死なれると私の生存率も低くなりそうなので、自分でもしっかりと持つ。

 後は、非常用の食料に水筒。魔導式ランタン。簡易結界セット。寝袋。御座。そして剣士用の武器防具である。

 レベル制限付の武器が多いので、複数用意しておく。狩りの最中にレベルが上がった時用だ。勿論上げるつもりだからね。

 正直テントが欲しいのだが、クレオンの世界には存在せず、こちらの世界にも存在しないらしい。

 元の世界の百科事典とかあれば挑戦してみるのだが、と思ったが、ないのは仕方ない。

 単純に長い木の棒を突き立てて頂点を結び、それに布を巻き付けるという超絶簡易式テントならすぐに作れるだろう。

 もっとも、明日の狩りは遠出もしないし野宿する予定もない。

 ただ、何事にも万が一ということがある。予想外に強い魔物に追いかけられて森に迷い込んで野宿、というよくあるパターンも無きにしも非ずではないか。

 よって、あらゆるパターンを想定して準備するのが真のオタなのだよ。ふっふっ。

 さて準備も済ませ、自分の魔術士用の武器も手入れし、万全を期して待ち合わせの場所に向かった翌日早朝。

 待ち合わせ場所には、何故かぐったりしているカイルと、彼と同年代もしくは少し上の少年がいた。

 彼の名はシスといった。カイルの兄貴分であるらしく、彼もまた冒険者であった。

 初めて外で狩りをするカイルを心配してついてきたようだ。

 レベルは7ということなので、カイルがレベル上がった時用の上位装備が可能のようだ。これはいい。

 同道の許可を願う二人に頷くと、私はギルドで依頼を受けてくるように伝えた。

 その隙に、カイルに昨夜作成したポーチを渡す。だってシス君の存在知らなかったから二つしかないんだよ。

 ポーチに所有者固定の術を掛け、カイル以外に使えないようにしてしまう。それから、軽い探知の術も掛けておく。万が一盗まれたり奪われたりした場合でも、ポーチの所在がなんとなくわかるようにしておいた。

 簡単に機能や中に入ってる物を教えると、カイルの顔が真っ青になった。

 そんなの俺が持ってていいのかと問われたので、鬼狩りするのに必要な物しか入れていないと告げると、何故か更に蒼白になった。何故だ。

 とりあえず中から初級剣士の武器防具と装飾品を取り出して装備してもらう。

 クレオンではゲームバランスの関係か、低レベルの者は高レベルの武器を装備できないペナルティーが存在した。私の持つ装備一式も漏れ無くこの制限がかかっている。

 こちらの世界でもその制限が有効なので(チッ)、カイルが装備できないレベル5以降の装備をシス君に装備してもらうことにした。

「なんか、オレあまりよく武器の良し悪しとかわからないんだけど、ものすごくいい武器なのは何となくわかった」

 何故か声が震えているシス君だが、気にするな。私のレベル上げに付き合って貰う以上必要経費だと思っている。

 シス君だけ普通の荷物袋になるので申し訳なく思いつつ、手持ちのポーションを少し分ける。あんまり持たせると動きが悪くなるから、減ったら随時足すことにする。

「この装備にポーション、気合入ってるね、どんだけ狩る予定なんだろう」

 そりゃ勿論、この辺りの魔物を全て狩り尽くすまでですが何か、と答えたら逃げられそうなので、笑顔で返しておいたら尚更怯えられた。

 意外とシス君は話上手で物知りだった。

 狩りの穴場等も教えてもらったので、まず依頼優先で狩りを始めた。

 正直、日本でぬるま湯に浸かったような生活をしていた私が機敏に動けるのか心配だった。案の定、最初の内は呪文を発動させる前に斃されてしまっていたが、それもそのうち慣れてくる。

 魔物から素材を取り出すには、文字通り『解体』する作業が必要になる。ゲームのように光ってアイテムに変化することはない。

 魔物は元々動物が体内に魔素を取り入れて変化して増殖したものであるらしく、その心臓部分は魔素が凝固して魔石になっている。この魔石が、日常の家庭で使用する魔道具の動力源になっているそうだ。

 私達は魔石と素材を集めつつ、魔物達を乱狩りした。MPは即マナポーションで回復し、怪我は即ポーションで回復した。

「な、成程……鬼狩り……」

 多分彼らにとって、恐ろしくハイペースな狩りを強いているかもしれないが、この程度では鬼狩りとは言わない。あくまでゲームの世界でだが、私がやった鬼狩りはこの程度ではない。

 それでも、緊張感の持続と体力には限界がある。適当なところで休憩を挟むことにした。

 非常食のサンドイッチを取り出して三人で分ける。

 男の子だから沢山食べるだろうし、万が一のことも考えて大量に作ってきたので、三人分でも余裕だった。水も余分に用意してあるので事足りる。つくづく、事前準備はしておくものだ。

「なんだこれうめぇ!」

「パンがこんな柔かいなんて知らなかった。むう、中の具はハムか、このソースなんだこれ!」

 常温箱で育てている酵母を使用して作ったパンなのでふかふかだ。そして感動されているソースは多分マヨネーズだ。

 ケチャップ・マヨネーズ・ウスターソース・醤油・味噌・味醂に関しては、私が作り方がわからないが食べたいとダダをこねた結果、作り方の乗っている料理の基本なる本が本棚に追加されていた。

 更に倉庫には大量の種麹が保管されていた。わがままは言ってみるものである。

 閑話休題。

 こんな感じで、適度に休憩を取りつつ恐ろしい勢いで魔物を駆逐していった私達は、当然早い段階で依頼自体は終了していた。

 だが、私がやりたいのはレベル上げであって依頼クリアが目的ではない。

 結局夕方ぎりぎりまで狩りを強行してから、疲弊しきって街に帰ってきたのである。

 疲れた身体に鞭打ってギルドに行き、依頼完了報告と報酬を貰う。

 ギルドランクというものがあり、依頼を達成していくごとにランクが上がっていく仕組みで、職業レベルとはまた違ったものであるらしい。

 登録したてでGランクであった私達は、反復可能な依頼を一日で複数回分こなしてしまったため、あっさりFランクにあがった。

 帰り際、カイル君のポーチに私の余ったアイテムを全部突っ込んだら慌てられたが、それはもうカイル君のポーチなので私が持ち帰っても使えないこと、今度狩りに行くときのためのアイテムを補充しているだけだと伝えると、何やらブツブツいっていた。

 シス君もカイル君もレベルが上がり、それぞれ上位装備に付け替えてもらったので、初期装備だけを返却してもらう。

「その装備はしばらく使っていいから、その代わりまたレベル上げ手伝って」

 この申し出に二人は頷いたので、とりあえず当面こき使える盾を二人確保したことになる。

 何故か二人に感謝されまくったが、私も彼らを利用しているので、別に気にしなくていいのだが。







 さて、それから三日に一度狩りに行くようになった。

 残り二日は何してるのかというと、露店である。

 倉庫在庫の食料は何故かなかなか減らないので、最近はポーチ・ポシェット・鞄を駆使して商品を街に運んでいる。

 売り子もシス君が協力を申し出てくれたので、三人掛かりで露店を回している。昔引きこもりだった私が、凄い進歩だと思う。

 噂では、最近ギルドで安く良質なポーションが手に入るという。それ私が大量に卸しているやつだね。

 最近空き瓶の入手方法に困っているとギルドに伝えたら、良いガラス工房を紹介してもらったので契約した。

 自前の薬草園で作っている薬草も、需要と供給のバランスが取れなくなって来たので、不足分をギルドに依頼することにした。

 鞄を大量に仕入れては便利鞄の供給を頑張っていたら、やっと徐々にだが相場が下がってきたようだ。

 その分、鞄の材料の仕入れ値が少し上がったとかなんとか。素材収集の依頼が冒険者ギルドに増えたらしく、おじさんが喜んでいた。

 シスとカイルは、日々の鬼狩りと露店の稼ぎとで、最近妙につやつやと生きが良くなっている。余った商品も報酬として渡しているせいだろうか。

 話を聞くと、二人は近くの孤児院の子供であるらしい。

 しかし、食事が貧相すぎて幼い子供たちまで行き渡らないこともあるので、年長組として稼いでいるらしい。

 もっとも最近は、定期的に食べ物を供給できるおかげで、年少組の子供たちにも笑顔が戻ってきたようだ。

 そもそもなんでそこまで経営難に陥っているのかと問えば、どうも先だっての戦争の影響がまだ尾を引いているらしく、寄付が心許ない状況なのだそうだ。

 寄付ねぇ、と私は思案する。

 お金なら余裕があるし寄付してもいいのだが、着服する人間がいないとも限らない。

 できるなら物品を寄付した方がいい。さて、だとしたら何が足りないか。

 いつもの様に二人に賃金を渡して露店を撤収した後、私は生地を大量に買い込むことにした。

 衣食住、の内、住は孤児院があるし、食は改善されている模様。となると、必要なのは服だろう。そう言われてみれば、二人の服は結構ボロボロだ。

 子供たちの年齢性別を聞き忘れた私は、適当な年代毎に色々な服を作成した。

 翌日、いつものように露店手伝いにきた二人のポーチ(シス君にも別途作成した)へ、強制的に大量の子供服をつっこんだところ、二人は大層動揺していた。

「私にはもう着れない服が大半なんだから、黙って有効に役立てるがよろしい」

 問答無用で受け取らせ終わると、露店準備に入る。二人はしばらく突っ立っていたが、手伝えと急かすとやっと動き始めた。

 私はこの日の稼ぎで大量のシーツと布団を購入した。

 翌日は狩りの日だったので、いつもの如く二人をこき使って大暴れした後、帰り際にいつもの様に使用した薬を補充するついでに、布団とシーツを突っ込もうとしてまた二人を動揺させた。

「なんでそんなもの持ってるんだよ!?」

「一人暮らしには不要なんだよもってけゴルァ!」

 ついでに、例の特殊な高魔力石も渡しておく。

「孤児院内の井戸にこれを投げ入れておけば、いつでも澄んだ浄化水が飲めるようになる。魔力を帯びた水だから、病気とかに耐性を持つ強い体を作れるぞ」

 この時の二人の表情は、何とも形容し難いものであった。なんだろう、なんでそんなに私を凝視するのだ。

「なんで、ここまで……」

 感情が詰まって言葉にならないような、何かを堪えた表情でいうので、私は肩を竦めた。

「そりゃ勿論、自分の為だね。私は自分のためにしか動かない」

 この発言が意外だったのか、二人は更に目を見開いて私を凝視する。

「労働には相応の対価が必要だと思うし、君たちがより働いてくれる為にはそれなりの環境も整えた方がいいという判断でしかないよ。孤児院の環境が改善されれば、君たちも後顧の憂いなく働ける様になるし、それは私にとってメリットになる」

 更には経済の循環という目的もある。

 ある程度儲けたお金を使わないと経済は回せないのだが、何分、金の使い途に困っているというのもある。

 後は防犯目的だ。カイルは私に会うまでスリをして孤児院の生計を助けていたという。貧困は犯罪に繋がりやすいし、そんなことを繰り返していては孤児院の評判も下がるし、大人になっても勤め先がなくて更なる犯罪に走る可能性がある。

 衣食住が事足りていれば、少なくとも子供たちが犯罪に走る確率は非常に下がる。後は働ける場所が必要になるが、それは適正年齢に到達したら冒険者ギルドに登録すればいい。初期登録費用が必要なのだが、それくらいなら露店の手伝い等で稼げるようにすればいい。

 こういうのは、金を与えればいい、という問題ではないのだ。先の事まで考えなければならない。面倒なことこの上ないが。

「まあ、そのうちに別な仕事も頼みたいからね。その為の下準備だと思えばいいよ」

 そのうち、孤児院の子供たちに鞄の作り方を教えて、作ってもらおう。便利鞄用に鞄は沢山いるし、ギルドで定期的に買い上げるようにしてもらえば孤児院に安定した収入が入るはずだ。

 そんな腹黒い思考は表に出してないはずだが、何故か二人が震えていた。あれ?


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