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飛ばされ魔王のデタラメな毎日  作者: 遊希
魔王、始めました
3/15

003◇私室と夜闇


えー。

ストックがまともに書けてないまま出すのは本来不本意なんですが………

明日から大会&来週からテストなんで、ちょっと間を持たせる為に三話を投下します。


というわけで、遊希です。

最近涼しいです。

度重なるアニメとラノベの奔流に、まともに次話も書けませんww


ともあれ。


まずは第三話をどうぞー



超巨大で、見るからに柔らかそうなベッドを始めとする、絢爛豪華な調度品の数々。

壁には、なにかの(おそらく城下街と思われる)風景画。

その壁もまた豪華の一言。


そんな部屋げんじつに、燎牙はややげんなりとした。


ここは、先程の大理石でできた部屋から移動してきた、「魔王の部屋」である。

魔王なんだから部屋が広いのは当たり前だとは思うのだが、こうもぴかぴかとしているとどうも落ち着かない。


質屋に出したらとんでもない額になりそうだなぁ、などと呑気に考えていると。


「―――ほかに困ったことがあれば、部屋の外の衛兵にでも………魔王様?」


「え、あ、ああ」


ここまで案内をしてくれた、侍女の声で我に返った。

先程の、クゥという少女とは色々な意味で違うこの侍女は、ナルフェルと名乗った。

金髪翠眼、眼帯をしていて、多少は異なるようだが、服装はやはりメイド服のようだ。


(あれ、地球の文化だよな………。なんでこんな異世界にまで広がってるんだ?)


ここへ来て、最大の疑問が持ち上がる。

―そもそもなんで異世界の奴らが、日本語で会話してるのか―という簡単な疑問だが、あまりに自然すぎて気づかなかったのもまた事実だ。

よく考えれば、服装だってそうだ。


なぜ巫女さんがいるのか、そもそも気にならなかったのはなぜなんだろうか。

突然のことだったし、流れがあまりにも早くて考える暇が無かったことが原因なのだろう。


「………どうかなさいましたか?」


ナルフェルが、心配そうに聞いた。

説明をぼーっとシカトし続ければ、確かに心配の一つや二つはされるだろう。


「い、いや大丈夫だ。少し考え事をしていた」


「………もう一度ご説明いたしましょうか?」


「あ、ああ。頼むっ」


畏まりました、とナルフェルは頷き、咳ばらいをする。


「…この部屋は、先帝ロズモイ二世様が使われていた私室でございます。リョーガ様の私室になりますね」


「前の魔王の部屋か。この部屋は最初からこうなのか?」


「いえ、部屋のデザインは全て魔王様のお好きなように変えさせていただいております。ロズモイ様は絢爛豪華を好みましたので」


なるほど。

なら、もっと普通に変えてしまうか。

だが、その前にやるべきことがあると思った。


「ありがとう、続けてくれ」


「はい。とりあえずは、こちらでお休みになられて下さい。ほかになにか困ったことがございましたら、部屋の外の衛兵にでも申し付けて下さい」


「ああ、わかった」


さっき廊下を歩いてきて、今が夜だとわかった。

ちょうど城下街の方角の窓だったのか、ぽつぽつと明かりが見えた。

もちろん日本のネオンとは比べるべくもないが。

つまりは夜中の時間帯だ。

そんな時間まで神と対談してたのか俺は。


「失礼しました、お休みなさいませ魔王様」


こんな挨拶とともに、ナルフェルは扉から出て行った。


γγγγγγ


とりあえずベッドに腰を下ろしてみる。

部屋が天井のシャンデリアらしきもののお陰で明るいので、眠る気にもなれないのだ。


しかし、アレどうやって光っているのだろうか。

電気なぞあるわけ無いだろうし、やはり魔法だろうか。


『アレか? アレは雷魔法の呪符で光らせているんだろうな、おそらく』


「うわっ!?」


急に聞き覚えのある声が聞こえ、燎牙は思わず驚いた。

しかし、部屋を見渡してもその声の主は見当たらなかった。


『たわけ! 我輩は指輪だと言っただろ! ………声に出さなくても伝わるぞ』


『ん、こういうことか?』


『ああ、そうだ。やればできるではないかまったく』


『………』


燎牙は右手中指を見た。

昼間、自分が「助言して欲しい」と頼み、神が嵌めた黒色の指輪。

けして豪華ではないが、確かな質感がある、『神の半身』。


『まあそれはさておき、どうだ? 初魔王の気分は?』


『どうって、まだ何もしていないし。………実感だってわかねぇよ』


実際に今日やったことはといえば、起きて神と会話して魔法使って裏技使って巫女さんと話をして部屋で説明を聞いただけだ。

こんなもの、魔王の実感がわくわけがない。

『そうか。………明日から忙しくなるだろう』


『ああ。………そういえば、なんでいきなり夜だったんだ?』


『んん?』


かなり疑問だったことがある。

燎牙には、起きた時間と今の時間の差がどうしても埋められないでいた。

古流武術を毎日習っていた(習っていた理由は、父が師範だったからだが)燎牙の体内時計はわりと正確で、起きたときには、ちょうど8時間寝たという感覚があった。

その前の晩の寝た時間は、深夜0時だったので、朝8時に起きたことになる。

すると、どうしても時間が合わないのだ。

今はどう見ても、夜の10時を回っているだろうと燎牙は、窓の外を見て思う。

では空白の数時間、燎牙は何をしていたのであろうか。


『そんなの、我輩が時間操作したからに決まっているだろう』


『時間操作?』


『この世界の時間そのものを圧縮したんだ。そのほうが都合がいいからな』


『………』


呆れて言葉が出なかった。

無茶苦茶だこの神様。


『褒めないでくれ、照れるだろ?』


『褒めてねぇよ………』


『はっはっは』


俺はコイツに一生勝てる気がしない。

屁理屈と傍若無人さだけは。


『………とにかく、今日は早く寝たほうがいいか。 魔王に就任するとなれば、色々手続きとかあるだろうしな』


『まぁその辺は明日にでも、さっきの巫女が話すだろう』


『クゥが?』


うむ、と自称神様。

もう自称でもなんでもないのだが、未だにエセっぽさがたっぷりなので、イメージとしては自称だった。


『ネタバレしておくと、あの巫女はお前の直属の部下になるぞ』


『召喚士、だったっけ?』


『そうだ。召喚士は本来、召喚課という部署で働いている』


『召喚課?』


『召喚士で構成されている部署だ。大規模召喚魔法なんかを行ったり、単に召喚獣の召喚を行ったりする』


『なら部下にはならんだろ。召喚士としての仕事があるだろうしな』


それがそうでもないのだよ、と自称神様。

相変わらずぐちゃぐちゃな話し方をする神様である。


『召喚課の召喚士の役目として、今回追加されたのは………といっても今回だけだろうが、な』


『なんなんだ?』


『魔王を無事召喚した者に、魔王直属の政務官になる権利が与えられたんだよ』


『なるほど。政務官ねぇ』


政務官とは、まぁ要するに魔王の治世のサポートだろうと推測した。

というか多分そんなもんだろ。


『まあそうだな。だが―――』


『?』


『魔王の側近になる、ということは、その者の位が跳ね上がることを意味するんだよ』


『………つまり、出世か?』


『まぁそうなるな』


………なんともまぁ。

俺は出世の道具だったわけだ。

根本的な理由は違うからまぁ我慢出来るけど、出世を餌にするとは情けないな。

クゥという召喚士が、出世欲が強い奴かは知らないが、結果的にあの子は俺の側近になるわけだ。


『なんだかなぁ、事情を知ると複雑な気分になるな』


『わからんでもないが、事実だそれが』


どうしたものだろうか。

どうするもこうするも別にないのだが。


『我輩から提案があるぞ、悩める若人よ』


『じじいかよ………』


『む、失礼な。まだ我輩は328653772歳だぞ!』


『………』


『ああそうだ我輩はじじいだっ。 何かいけないのか?』


『いや、なんもないですハイ』


『………まったくこれだから最近の若い奴はっ』


白々しくキレて白々しく落ち着いた、こういう風にしか表現できないくらい淡々と言われると、なかなか困る。


『………で、提案というのはな』


『あ、ああ』


『寝たらよかろう!』


『最初からそうするつもりだったよっ!!』


まったく、何が『これだから最近の若い奴は』だ。


『聞いて損したわ全く………』


『まぁまぁ』


『………寝るわ』


そういって、ベッドに倒れこんだ。

だが、またしても問題が。


「照明どうやって消すんだろうか………」


『テーブルの上に呪符があるだろ? それを軽く二回叩けば消える仕組みだ』


「そりゃどうも」

γγγγγγ


闇の中、燎牙は考えた。

訳がわかんないし理不尽だが、確かにやらなくてはいけないことがあるからこそ、召喚されたのだろう。


(とはいっても、気持ちの整理がつかねぇよなぁー)


家族や友人に別れも告げぬままの旅立ちである。

今頃、居なくなった自分を探し回ってるのではないか、と燎牙は心配していた。


(もしそうだったら、すっげぇ申し訳ないな……)


いくら自分から居なくなった訳ではないとはいえ、やはり失踪したら探すのが普通の親である。

未練なんか無いし、とはいったものの、帰れないと知ると色々思うところがある。


(ま、考えてもしゃーねーかぁ………)


それよりこれからを考えなくちゃあなぁ。

まずは明日起きてからだな、そう決め込むと、意識が遠くなっていった。


γγγγγγ

γγγγγγ



召喚士専用寮の一室。

そこにクゥはいた。

事務用の、というか自分用の机に向かいながら、何かを読んでいた。


「なーにしてんのクゥ?」


「っ!?」


かなり集中していたため、後ろから声をかけらて驚く。

振り返れば、いつもの顔がそこにあった。


「ま、マリエル! 脅かさないでよ!」


「ははっ、悪い悪いっ!」


ハイサキュバスで、同僚で、学生時代からの悪友でもあるマリエルは、微塵も悪いとは思ってなさそうな顔をしながら笑う。


いつもそうだった。

昔っからこの、屈託の無い笑顔を向けてくるマリエルを、クゥは親友だと思っていた。

なにか疑いがあったわけでは無かったが、単に気になって聞いてみれば。

―実際、親友だとも。

そんな風に返された。


「で、真面目なクゥちゃんは何をよんでいたのかな~?」


「え、あ、コレ?」


マリエルが、右肩から覗き込むようにして聞く。

クゥが読んでいたのは、


「コレは魔導書よ」


「へぇ、なんでまた?」


すごく不思議そうに聞かれた。

当然といえば当然だ。


クゥやマリエルは「召喚士」だが、それ以前に「魔導士」である。

魔導士は、魔法を使う職業の基本。

召喚士になるためには魔導士でなくてはならないため、二人とも一般的な魔法なら一通り使いこなせるのだ。


魔導書とは、魔法の書き記された書物を指し、様々な魔法が記録されている。

もちろん、読んだだけで使えるわけではなく、しっかり練習しなくてはならないが。


だからこそ、マリエルには不思議でならなかった。


「………明日から魔王様を、リョーガ様を間近で護衛する立場になるし、そんな奴が基本も使えなかったなんて恥ずかしいから復習してたのよ」


「魔王様はリョーガ様っていうの?」


あ、しまった! とクゥが漏らしたころには、マリエルは「リョーガ様かぁ………」などと呟いていた。


クゥは謁見の後に、名前を聞かされていたが、本来は明日の戴冠式までは名前は内緒である。


思わぬうっかりをしてしまい、頭を抱えるクゥ。


「別に誰にも言わないわよ、全く。クゥは少し考えすぎよ」


「あぅ………」


「魔法だって私より使えるんだから大丈夫よ。それに………」


「?」


「ニンゲンのリョーガ様は、私達とは潜在能力が違うんでしょ?」


「え、ええ」


マリエルがいうとおり、クゥ達と、異世界から来たリョーガとではもともとの潜在能力が桁違いだった。これはどうも、世界の優劣が存在することに起因するらしく、その差は数百倍と言われている。


「数百倍も違えば、古龍種だって滅ぼせるわよ」


「まぁね………」


実際、リョーガが戦える存在なら、護る筈のクゥが逆に護られることになるだろう。

魔法を教えれば、その存在はさらに強くなるだろう。

そうなった時、クゥの存在意義は。


「あまりないのよねー」


「ろ、露骨に言わないでよ………」


こればかりは仕方がないが、諦めきれない。

せっかく側近になるのだから、頼ってもらえる存在でありたい、と思う。


「まぁ、せめてサポートでもできれば、なんてね」


「ふぅん」


マリエルは、なんだか納得していないような顔をしていた。

が、「ま、夜更かししすぎんなよー美容の大敵よー」などといいながら、二段ベッドの下段に入っていった。


クゥは、そんな同僚兼親友の様子に苦笑しながら、魔導書へと顔を戻した。


γγγγγγ

γγγγγγ


「………時魔法、か?」


巨大な闇の中で、ソイツはのそりと顔を上げた。


「この世界でそんな無粋なモノを使うのは、まぁ奴しか居らぬわな」


辺りを見回して、今が夜だということを悟る。

煩わしげに欠伸をすると、眠りについた。


「余計なマネをしなければよいのだがな………」







えー。

文章、雑魚いね。

構想、粕いね。

設定、浅いね。

敬語、わからんね。


いつもの話ならハイスピードで一日が過ぎるところを、この話では引きずります。

なるべく長く書きたいものでして、軽快なのもいいとは思うのですが………どうですかね?


感想なんかでそこら辺を教えていただけたら幸い、と思います。


では次回予告。


燎「あー、今回から次回予告させていただきます、九条燎牙です」


作「とりあえずお前だけな?」


燎「まあ飛ばされたばかりだしな………」


神「我輩がおるだろう粕作者ッ!」


粕「なっ、粕とはなんだ粕とは! って、名前も粕に変わってるし!?」


神「粕だからな」


燎「さ、さて次回はー」


神「燎牙が「魔王リョーガ」として、戴冠式に出るぞ」


燎「冠ないからただの即位式だけどなw」


神「そして魔王として、よーやく働き出す怠け者」


燎「別に怠けてはいねーよ!」


神「そしてそしてそこへ突如として現れる粕作者!」


粕「や、でないから」


神「次回、「餃子はチャオズと読むんですよ!」の巻!」


粕「お前帰れ!」


燎「お、お楽しみに~…」





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