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飛ばされ魔王のデタラメな毎日  作者: 遊希
魔王、始めました
2/15

002◇魔法と指輪と謁見


や、一ヶ月ぶりくらいの投稿ですね(´・д・`)


文化祭やら体育祭やら夏休みの課題(負の遺産w)を片付けておりましたら、時間があれよあれよと………(涙)


まぁ、今回もgdgdですけど、ヨロシクお願いします(。_。)v





「んで、二つ目は?」


ライターの火を指へ点したまま、燎牙は問うた。

場所は依然として大理石みたいな物で出来てる部屋。


「二つ目は、「暗黒ダークマター」というみたいだな」


「みたい、とは?」


話相手は、相変わらずキリストみたいなオジサン。

自称神様である。


神様は何か悩んでいるような、うーん、というような唸りをあげていた。


「それが、使用する魔法総てに闇の属性を付加するってやつなんだけど………」


「闇属性?」


神様は頷く。

魔王だし、闇属性ぐらい付加されたところで特に問題はないんじゃないか、と燎牙は考えていた。


「問題は、魔王なのに何故今更闇属性を付加しなければいけないのかって所なんだよなぁ………」


………俺の素朴な予想は、見事に疑問へと昇華した。


(まぁ、確かに一理あるな)


魔王ならば、闇属性を使えないのはおかしい。

だからといって、闇属性を付加しないと使えないようなやつが魔王にはなれないかといえば、そうではないだろう。

ないだろうが………。


「まぁ、この能力に関しては、ほぼなにも説明はないかな」


「そうすか」



神様は一息ついた。

その瞬間、今まで聞こえなかった喧騒が外から聞こえてきた。

まるで、聞こえないように(・・・・・・・・)されていたかのように。


「外が騒がしくなってきたことだし、少し急ぐとしよう」


「魔族が集まってるのか?」


「まぁそうなるな」


神様は鷹揚に頷いた。

そんなことより、と神様。


「次は魔法の基礎の話でもしようかな」


「ああ、頼む」


「………魔法は、さっき使っただろうからわかると思うけど、魔法陣と魔法の詠唱が必要なんだ」


「よくある魔力云々は?」


「MPみたいなモノだと考えれば大丈夫だ」


「それで、魔法陣と詠唱がなんだって?」


「それで、基礎だけ教えておくと、その二つともが既存の魔法には必要な技術になっているんだ」


「そりゃさっきも言ったな」


「だけど、ここからが重要なんだ。この二つの内、魔法陣の方には既存の魔法のものを改良してしまうことが出来るのさ」


「………?」


「つまり、君の出す、見たこともない魔法陣だって改良されてしまうということなんだ」



燎牙にはイマイチ意味が理解できない。

というのも、なぜそれが問題なのかがわからないからだ。

国力増強に一役買うのではないだろうか。


「燎牙、では聞くが。それが敵に知れ渡れば脅威にならないか?」


「………対抗魔法アンチスペルか」


対抗魔法アンチスペルは、相手の放つ魔法に対しての、打ち消しの効果を持つ魔法のことである。

神様は、燎牙がそれを知っていたことに驚いていたようだが、厨二病の燎牙からすれば当然の知識だった。


「そう。だからこそ、自国の知識として隠さなければならないし、それが燎牙独自の魔法ともなれば味方からも隠さなければならない」


「誰が敵になるかはわからない、か………」


燎牙は、概ね(・・)納得した。

だが、肝心のどうやって知られないよう隠すのかを聞いていない。


「で、神様とやら」


「神様だ」


「どうやって魔法陣隠すねんな?」


なんだそんなことかとか思ってんだろうなぁ、神様。


「なぜばれた?」


「………脳内解析サイコスキャニングかよ」


「はっはっは」


γγγγγγ


「まぁ、あれだ。それは凄く簡単なことでいいんだ」


「簡単なら早く言えばいいのに」


燎牙はわざと聞こえるように言ってみるが、神様は平然としている。

やはりメンタルは強いか。


「で、どうやんだよ?」


「つまり――――」










「――――魔法陣構築しなきゃいいじゃん」


「ああー、っていやそれちょっと待て!」


燎牙は頷きかけたことを少し反省しつつ、神様に食ってかかった。


「魔法陣作んなきゃ魔法発動しないじゃん !意味ねぇじゃんか!」


「いやぁ、だってさっき言ったのは基礎・・の話だよ?」


神様はやれやれとばかりに燎牙を見ながら話を続けた。


「魔法陣を構築しないで魔法を発動できる奴は、おそらくこの世界にはいない。 それは、この技術がまだ知られてないからだよ」



神様はつづける。


「加えて、魔法陣が描けないんじゃ、魔法の劣化複製は無理に近い」


「なるほどな」


「そういうことさ」


さて、と一息つくと。

神様は燎牙に向き直る。


「魔法陣を書かない、『無陣魔法』の方法だが。 魔法の詠唱時に、魔法陣の形をイメージをするんだ」


「イメージ………、それだけでいいのか?」


「頭の中で魔法陣を完成させれば、それを見る方法は脳内解析サイコスキャニングのみになるんだよ」


「イメージ、ねぇ」


さっき見た、「ライター」の魔法陣を思い出す。

確か、あんな感じ………?


「ライター!」


ボゥという音とともに、指先に火が灯る。

燎牙は、その火を眺めながら呟いた。


「なるほどねぇ」


ちょっと待て。

燎牙は疑問に思った。


「神様。今のは上手く行き過ぎ(・・・・)じゃないか?」


「どういうことかな?」


「あんな鮮明に(・・・)思い出せるかよ、見たばっかの物を」


「確かに………いや、ああそうか」


神様は納得しかけて、急に一人合点を打ちはじめた。

何だというのだろうか。


「どういうことだ?」


「さっき、「暗黒ダークマター」について説明したよな?」


「あの、闇属性自動付加だったかなんかか?」


「あれの本当の効果は、どうやら"一度見た魔法陣を絶対に記憶し、鮮明に思い出す"ことにあるらしい」


らしいってなんやねん、と思わず心の中で突っ込んでしまったが、


「これなんというチート属性………」


γγγγγγ


「まぁ、これで魔法については大丈夫だろう」


神様が魔法についての講義を終えたその頃には、外は静まりかえっていた。

あの喧騒が嘘のように止んだ。


その事実に神は。


「ふむ、そろそろ謁見が始まるな」


「謁見? 誰に?」


「お前にだぞ?」


俺!?と燎牙は驚く。

魔王であることを忘れてはいまいか。


「お前は魔王ジャマイカ」


「そーゆースラングを神様が使うなよ」


「いやん差別よっ!」


「はいはいそーですかっと」


神様の言葉を受け流しつつ、燎牙は扉を見遣った。

ざわつきが止んで、確かに何か始まりそうな気がする。

燎牙は神様に向き直る。


「なあ神様。時々助言してくんね?」


「………いいだろう。これを嵌めておくといい」


そういって、黒い指輪を渡してきた。

材質が何かはわからないが、ごてごてした装飾もなく、ただしトライバルみたいな紋様が彫ってあるのみのシンプルな指輪。


「これは?」


「我輩のカケラ、だな」


「カケラときたか………」


燎牙は神様のカケラを、右の中指に嵌めてみた。

どうにもブカブカで、指から抜けないどころか手を振れば飛んでいきそうだ。


「コレすごいブカブカだぞ?」


「まぁじきにわかる」


燎牙の疑問に対する神様の答えは、とても曖昧だった。

神様は何か唱える。

それも、聞き取れないレベルの音量で唱えられた、長い詠唱。


そして、


「なにを……っうお!?」


燎牙の手元にも変化が。

とてもブカブカだった指輪が、いつの間にか指から離れなくなるサイズにまで小さくなっていた。



「ってコレとれねぇじゃん!」


「別に大丈夫だろう。ソレは絶対錆びないし傷つかないし不意に抜けないし」


「まぁ……ならいいか」


燎牙は仕方なく顔をあげた。

が、そこには既に神様の姿はなく。

声は、


「どうした? 我輩はココだぞ?」


指輪から聞こえてきた。


γγγγγγ



クゥが重たい扉を開くと、正面に台座が見えた。

代々召喚者を降ろす場所に使われる、座標としての台座。

その下には、座標を定め、召喚をより行いやすくするための、召喚陣。


部屋自体は大理石で出来ており、本来ならその大理石の台座だけが見えるはずだった。


台座には今、誰かがいた。

黒い髪に黒い瞳。

見たことも無い服を着ているその人間は、台座に腰掛けていた。


あれが、次期魔王様。

そう思うクゥの胸は高鳴っていた。


次期魔王は、やや驚いた表情を浮かべていたが、それでもなぜか落ち着いていた。

まるで、謁見を予め(・・)知っていて、しかも謁見に来るのが人間ではないと予め(・・)知っていたかのような振る舞い。

それが、知らず知らずクゥに期待させていた。



台座へ歩み寄る。

台座まではそう遠くなく、クゥは次期魔王の前で、跪づいた。


そして、


「ようこそアークレイドへ、魔王様」


謁見した。


γγγγγγ


「ようこそアークレイドへ、魔王様」


扉を開くなり、歩み寄ってきて跪づいた少女(?)に、そんなことを言われた。

燎牙自身にとって、そんな経験はこれまでの人生で一度だってなかったし、これからも無いだろう、考えるまでもないことだと思っていたことが。


まさに目の前で一瞬の内に行われた。


(よくあるトリップモノだと、こんな時どんな感じだったかな………)


燎牙は召喚された事情を、少なからず知っていたが、それはあえて伏せることにした。

というか、自分の能力の都合上、そう易々とこれまでのことを話すわけにもいかなかった。


なので。


「………これは夢か?」


白々しく、イマイチ事情が飲み込めていない感じを出した。

寝ていたのだから、妥当と言えば妥当。

それに対し、目の前の巫女さん衣装の(耳がやたら長い)少女が言う。


「いえ、現実です。やはり事情が飲み込めてらっしゃらないようですね」


「当たり前だ、つーかなんだココ、そしてお前は誰だ?」


白々しい挙動不審さである。

如何にも事情知ってますよとでも言いたいみたいだ。


しかし、そんな白々しさには巫女さん少女は気付かないのか、


「ここは大陸オズライアにあるアークレイド帝国という国、その王宮ラザス城です。 そして私は召喚士のクゥといいます」


跪づいたまま、そう述べた。


更に白を切ることにしようか。

そうなると、あとがやっかいなんだがなぁ、この巫女さん少女の反応が気になるなぁ。

とか思いつつ、


「オズライア? 聞いたことないし、大体何故俺はこんなところにいるんだ?」


結局またもや白々しさが目立つ返答に。

そもそもこの時点で落ち着いているのがおかしい、と気づくべきであるが、この少女は気づかないみたいだ。

燎牙が落ち着いているのは、事前情報があったのと、地球世界で彼は古流武術を習っていたおかげなのだが。


「ここがあなた様の世界とは違う世界だからです。 私が召喚させていただきました」


さらに続ける。


「あなた様に、我々の国の王になっていただきたいのです」


あまりにも、セオリー(・・・・)な解答に燎牙は。


「………また随分と、勝手な理由だな」


困り顔をしてみせたが、内心では笑っていた。

あまりにも、よくある召喚モノすぎて笑えてきたのだ。


「勝手なのは重々承知の上で申し上げております」


巫女さん少女が頭を低くした。

跪づいて、さらに頭を低くするなど凄い芸当だ、などと変に感心してしまった。


よく見ると、巫女さん少女が開いた扉の向こう側には、なんだか体が赤いヤツとか青いヤツとか、また翼が生えてたり顔が蜥蜴だったり。

その辺ですら王道すぎて笑えてくる。


「………お前が俺を召喚したんだよな?」


「はい、それが何か?」


「今すぐ元の世界へ帰せ」


半ば脅迫っぽくなるが、妥当なのではないか。

ましてや魔王になるような器を考えれば、少し攻撃的に話しても大丈夫であろう。


これには巫女さん少女も困ったらしく、若干の焦りが見えた。



「申し訳ありません、それは無理です………」


「何故?」


「それは……、そういう仕組みだから、としか表現できません。召喚した対象は、この世界から出られなくなるという、よくわからないチカラが働いているようで……」


巫女さん少女の申し訳なさ度が上がってきたところで、燎牙は考えた。

ま、そろそろいいか。


「………はぁ、なんだよソレ。で、俺はどうすりゃいいんだ?」


少女の顔が少し元気を取り戻す。

後ろの奴らがザワザワしてたが、とりあえず無視した。


「今日のところは、お疲れでしょうから、休まれてはどうでしょうか?」


「なぜに提案?」


「あっ、失礼しました!」


そういって、顔を赤くする巫女さん少女。

この子なかなか可愛いなー。


ま、それはともかく。


「………一人部屋だろうな?」


「あ、はい! 前魔王様のお部屋がございます。とりあえず今日はそちらに――」


「なら案内してくれ」


そういって立ち上がる。

途端に、目線の位置が変わる。

少女―――、クゥと言ったか。

身長150センチくらいだろう、随分小柄な少女だ。

クゥは、燎牙を見上げ。


「案内させていただきます」


と、言った。


入口の奴らは、もう居なかった。



γγγγγγ

γγγγγγ


クゥが謁見を行っている間、外の連中―――大臣たちは、ずっと黙っていた。


かのように見えたが、マリエルとその上司、ビリオールは、念話サイコパスの魔法を使い、会話をしていた。


『ビリオール様、ビリオール様』


『………!? こんな時に何だ?』


『今度の魔王サマ、どうですかね?』


『どうって、どういうことだ?』


『我々魔族が、魔王としての人間に仕えるんです。我々に対して、理解とか仁義とかそういうのがある方なんでしょうかね?』


『知らん。ただ、我輩が見る限りは―――』




『期待は、出来そうだ』


『それは、楽しみです』


『ああ………、む。魔王様は退出のようだ。今日のところは謁見は無しだな』


『ええーッ!?』


『つべこべ言うな! 我輩とて一度は謁見して起きたかったわ!!』


そう言い放って、ビリオールは召喚課のあるほうへ歩いていった。


残ったマリエルは、やや困り顔で呟いて、立ち去った。


「期待は出来そうだ、か」







更新は不定期になります(・ω・`)


最近ログホラよんだらRPGがやりたくなって、、、


なんかいいのありませんかね?


さて次回予告←


◆003◆(仮)魔王の自覚



お楽しみに!



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