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飛ばされ魔王のデタラメな毎日  作者: 遊希
魔王、始めました
1/15

001◇エセ神様


他の二作品をほったらかしにして、この作品を開幕させたのには理由がありました。


作品の見直しが余儀なくされました。

要は、内容に詰まりました。

なので、更新をストップします(´-ω-`)


といってもそれぞれに書きかけがありますが(´-ω-`)


まぁ、勉強の片手間の作品ですがどうぞごゆっくり( ̄∀ ̄)




俺が目を覚ますと、それはそれは白い天井が出迎えた。

恐らく、大理石で出来ているであろうこの天井を見つめながら、ふと考えた。


(………ここ、俺んちじゃないな)


γγγγγγ


夢に、こんなのが出てきた。


偉く質素な、キリストみたいな格好した男。


そいつは俺を見るなり、こう言った。


「ゲラッチョ!」


「……某淫乱教祖様?」


よくわかんないが、誰だコイツ。知り合いの顔にこんなヤツいないよなぁ。


「こんなヤツとは失礼な」


「わぁバレとるんかい」


ものの見事にバレていた。コイツ、心網使いか!?


「君はアレだ、うん」


「はい?」

どうやら俺はアレらしい。アレが何かはまるで理解出来ないが、どうやらアレらしい。


「明日から魔王ね」


「あーはいそうですかって、ええええ!?」


唐突なオッサンの一言に度肝を抜かれた。

てか、なんで魔王?!


「あーそれはアレだ、うん。気まぐれ」


「はあぁぁっ!? てかまずお前誰?」


「我輩は猫――――」


「なわけなかろうがっ」


思わず突っ込んだが、どうみても不審なヒゲオヤジにしか見えないこのオッサンが猫なわけない。


「――――ではなく神だ」


「へぇ? なら神様、一つ聞きたいことがある」


「なんだ愚民?」


「愚民言うなっ! ………なんで魔王なんだ?」


神は居住まいを正すと、右に左にウロウロ歩き始めた。


「あー、理由はいろいろあるが、簡潔に言えばこうなる。まず、魔王が死んだ。魔王には後継者が居なかった。臣下は慌てた。魔導師が提案した。『異世界の人間って強いらしいですよ』って。あとは察しの通り、召喚魔法でホイッと、ね」


「…………………」



あまりの理不尽さに、思わず核分裂するかと思ったが、なんとか留まった。


まぁ、いろいろあって死にたかった俺には丁度いいかもしれないが。



「んで、こっちには帰れるワケ?」


「無理」


神の即答に卒倒した。

もういいや、魔王だろうがなんだろうがやればいいんだろ。

俺はその手のオカルトは好きなんだ。オカルトだらけならむしろ歓迎ではないか。


「それで、一つ聞きたいんだけど、これは夢だよな?」


「起きたらわかる。九条燎牙クジョウリョウガ、いや、魔王よ」


神は真剣な顔をすると、俺に言った。


「………がむばれ!」


「まともな言葉をつかえぇぇぇっっ――――」


γγγγγγ


そんな一部始終を思い出した燎牙は、


「あー、俺はアレなのね」


と独り、呟いた。


γγγγγγ

γγγγγγ



城内は朝から騒がしい。

と、召喚士のクゥは思った。


「まぁ、騒がしくしたのも私が原因なのでしょうけど………」


などと呟いても誰も気づかない程には忙しかった。


それもその筈。

今朝、クゥ自身によって件の新魔王を召喚したからだ。

召喚したのは室内だが、まだだれも魔王を確認できるものはいない。

それは、部屋自体に封印がかかっていて、魔王が目覚めなければ部屋が開かないようになっていた。


それが、先程解かれたものだから、大臣やメイド達が慌ててるのだ。


でも、と置いてから、クゥは思った。


(1番先に謁見する権利があるのは私なのですけどね)


召喚士には、1番先に魔王と会うことが出来る、と決められていた。

それは言ってしまえばとても光栄なことであり、歴史にのるような魔王になれば、その召喚士であるクゥも歴史になるから、クゥとしてはこの上ない嬉しさであった。


「クゥ!」


と、そこでクゥを呼ぶ者がいた。

クゥが振り返ると、やはりいつもどおりの姿がそこにいた。


「どうしたのマリエル?」


「どうしたもこうしたもないよクゥ! 早く謁見してくれってビリオール様が煩いの!」


ビリオール、という名を聞いてクゥは溜息をつく。

一級書記で、召喚課の課長。

つまり、クゥの上司である。


真面目で仕事に煩く、尚且つ見た目がハゲデブのゴブリンエースなので、召喚課の皆から(主に女性から)嫌われていた。


ちなみに、クゥはハイエルフ、マリエルはハイサキュバスという種族である。


嫌な顔をしつつも急ぐクゥに、横から一言。


「今回の魔王様、イケメンだといいねっ!」


「ふっ、不謹慎ですこの子っ!魔王様のお顔に評価などっ………!」


「ははっ、相変わらずカタいねぇクゥはっ」


マリエルは笑いながら飛行する。勿論ハイサキュバスならではの、飛行能力である。

当然、森の種族であるエルフの上位種であるハイエルフには、翼の概念がない。


ただし、ハイエルフの脚力はサキュバス種のそれ(・・)とは比べものにならないほど発達していて、速さで言えば互角の勝負を繰り広げ―――


―――る前に目的地に着いた。




開闢の間。


代々重要な召喚に使われてきた、歴史のある部屋だ。

その扉は、先程までは淡い紫の光を放っていたが、今はその光を失い、荘厳なエルラドの木の質感だけが感じられる。


その部屋の前には、大勢の重役が集まっていた。

国務大臣を始めとした様々な大臣から、メイド長や料理長などの各責任者が揃っている。


勿論、ビリオール書記長も正装して並んでいた。

クゥとマリエルに気づいたビリオールが近づいてくるのを見て、クゥは気づかれない程度に嫌な顔をした。


「お前は何をやっているのだ、クゥ!早く謁見を始めなさい!」


「す、すいませんビリオール書記長………!」


ビリオールの言うことは最もだった。

クゥは扉の前に立つ。

新しい魔王となる方に謁見するとあって、胸が高鳴るが、反面物凄い緊張を要した。


深呼吸を挟み、一言、


「これより謁見を始めます」


と言い放つと、扉を開いた。


γγγγγγ

γγγγγγ

しばらく大理石の天井を眺める。

それに飽きた燎牙は、起き上がることにする。


まず、自分の確認からすることにした。

皮膚を見た。青く変化してたり………とかはなさそうなのでよかった。

服を見た。パジャマではないが、いつもの寝巻き姿だった。

部屋を見た。大理石で出来ていて、ところどころにミステリアスサークルみたいな、というか恐らく召喚魔法の類の陣が描かれてあった。


なにか変わった点というものは、おおよそ見つからなかった。



(あのエセ神は確か、俺が「魔王」になるとか言ってたな)


ついさっき言われた言葉を思い出した。

知らない部屋で目覚めた以上、ただの夢では済まされないだろう。


(それに、もしアレが本当ならここは異世界だ。それも下位相関でない、多分上位相関の世界)


魔王なんてシステムが存在する以上、この世界には少なくとも魔法の類が存在するかもしれない。


地球にも魔女だの錬金術だのは存在したらしい。

………まあこの目で見てない以上は適当なことなんかは言えないけどな。


不老不死だの黄金の精製だの、今の人類では不可能には到達不可能な技術がそこにあったなら、あきらかに魔法を使える人間は、そうでない人間の上位相関に相当する。


生物的には同じでも、あきらかにポテンシャルが違う。

自転車をただ漕ぐのと、ニトロエンジンをつけて漕ぐくらいには差があるということで。


(ただの人間の俺に、そいつらの親玉なんぞ務まるわけがないだろ……)


第一、魔王が存在するなら、それこそ地球で「悪魔」と呼ばれていた者達も存在するだろう。

わかりにくけりゃ鬼でもいい。とにかくその類の、強力な魔族とやらが存在するのでは、人間の俺には出る幕すら無くなる。

そうなると。


(なんで俺、召喚されたんだろ………)



当たり前の疑問だが、自然と思考がその解答に行き着く。

そんなモンがいたら、俺の存在価値などあるわけがない。


だから、根底を覆すなにかがあるはずなのだ。

人間を魔王として召喚する、大きなメリット。


そして、一つのメリットに行き着く。

それは。


「あ、そっか! 俺が厨二病患者だからか!」


そう、彼は厨二病だった。


γγγγγγ



燎牙が勝手に一人合点を打ったところで、声が聞こえた。


「ゲラッチョ」


「………エセ神様ですか」


相も変わらず変な挨拶をしてくる声の主は、先程の神様。

やはりキリストみたいな格好をしているが、先程とは違う箇所があった。


「あれ? 神様パツキンだったか?」


「まあ、なんだ………その、あれだ」


エセ神様はなんかいろいろ身振り手振りを頑張っていたが、やがてやめた。


「気分」


「その解答0点だろ」


まあともあれ。

燎牙は神様にいくつか質問したいことがあった。

先程の疑問に関する形で、また新たなる疑問が出てきていた。


「なあエセ神様」


「誰がエセだこら」


「なんで俺が召喚されたんだ? なんかこの世界、強力な魔族的な存在いるだろどうせ。だったらなんでわざわざ人間の俺なんだ?」


「うむ、いい質問だ愚民」


「愚民いうな」


「まあ、なんだ。説明するとすればこういうことになるな」


神様は語り出した。

まず、この世界に名前がないこと。この世界自体は、地球世界と同位置に存在し、同位相関としての平行世界が幾つも存在する、言わば「平行世界群パラレルグループ」の内の一つであること。

この世界には、地球世界には存在しなかったとされる、魔族の類が存在すること。人間と魔族の割合自体は4対6ほどである。

この世界には、地球世界で羨望や怨嗟の対象となり、今はなき古代の技術、ともされたが信じていた者は少なかった、「魔法」が存在する。もちろん、白や黒や赤などのカテゴリは存在せず、ただ魔法として存在するだけだが、漠然と魔法を使用する者達には、使い分け方がわかっていた。

この世界には、大陸が三つある。人間世界として、幾つもの国が競り合う大陸、「デイドス」。魔族が中心の「魔界」が存在し、四つの大国が睨み合う大陸、「オズライア」。そして、未開の地であり、「勇者」と呼ばれる者達が幾人も踏み込んでいく、古龍の棲む大陸、「シャガルディア」。

お互いの世界があまり干渉せずに、大陸内の小競り合いを繰り返してきたこと。

この国が、「アークレイド」と言う国で、先帝ロズモイ二世が倒れ、新たな皇帝を決めなくてはならなかったこと。

そして………。


「………じゃあなんだ? 地球世界の方が遥かにポテンシャルが高いから、そっちから召喚した、と」


「うむ。 あれだ、ポ○モンでも火蜥蜴をレベル100にするよりも、火龍にしてレベル100にしたほうが強くなるだろう?」


「名前隠して名前漢字にして名前の意味だけにして………、神様だからって著作権には勝てんぞ?」


神様は、いかにも「わかってるよンなことぐらい!」と、反抗期の息子ばりに嫌な顔をした。



「でもポテンシャルが高かろうが、なにも能力なぞないんだが」


「それを今から発現させるんだよ」


そういって神様は、トーガみたいな服の内側から、ビー玉くらいの虹色の塊を取り出した。


「………なに、それ」


「これは「鍵」だ」


鍵、か。

玉が鍵になるとはまた厨二な。

………俺が言えた義理じゃないが。


制止レストレイン


神様はビー玉を指先でつまみ、それを上に向けると、そっと指を離した。

どういう訳か、玉は空中に制止している。


「こいつが発動すると、対象の潜在能力を開花させることができる。もちろん対象は、九条燎牙、お前だ」


制止した玉は、やがてゆっくり回りだした。

次第に回転数をあげる玉は、微かな光を放ちながら、何故か膨張しつづける。

まるで、遠心力に引っ張られているかのような形で、ドーム状へと広がりつづける。


「と、まあこのくらいかな」


神様が呟くと、回転がピタと止まる。

そして、膨張も止まった。


「それじゃ始めるけど、大丈夫かな?」


「あ、ああ」


神様はドームの天井部分、つまりてっぺんに向かって、指を鳴らしながら呟いた。


開花ドローアウト


瞬間、ドームが燎牙を中心に、キュッと小さくなっていき、やがて縮みながら燎牙の中へ消えた。


その瞬間。


燎牙は脈動を感じた。

何か血が沸き立つような。

人で無くなるような。

それでいて、頭だけは急速に冷えていった。

頭が冴え渡る。


「ほぉ………」


「………神様、結局俺の能力はなんだ?」


神様が感心したような声を上げたのに気づき、燎牙が答えをせがむ。

それに対する、神様の答えは。


「続きはWEBで!」


「はよ答えろや」


γγγγγγ


「は? 二つあんの?」


「うむ、本来は一つしか持てない筈だったんだがな」


神様曰く、何故か二つも能力ついてしまった。

二つ発現することは、軌跡に近いらしい。

まぁ二つあっても害はないとのこと。


「一つ目は、「全知ゼネラル」だ」


「なんすかそれ」


「うむ。 要すれば、「思い浮かべた事象を、わかりやすいイメージとくっつけて、それを無理矢理魔法として発現させる」能力、になるかな」


燎牙の頭上に、いくつもの?マークが浮かんだ。

わけわからん。


「どゆこと?」


「まぁ………ようは、雨をが降らせたい課長。しかし今日は晴れていた」


「課長? なぜ課長?」


「そんなときは、まず雨を思い浮かべる。それから、雨が降ってるイメージがしやすい言葉を選び、あとは右手が勝手に動いて構成された魔法陣に対して、イメージしやすい言葉を詠唱すればOK」


「無視かい」


なんか試してみ?と神様が言うから、やってみることに。

とりあえず、指先からライターみたいな小さな火を燈そうとしてみることにした。


まず、ライターの火を想像した。

次に、詠唱する、イメージしやすい名前だが、「ライター」でいいと思った。


「ライター!」

真上に伸ばした指から、ボッと吹き出した小さな火。

だが、それは燎牙が既に人外である証拠でもあった。






更新は不定期です。

悪しからず。

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