ゴリラゲウウ
近頃の夏は突然のゴリラゲウウが多い
20数年前まで全く無かった現象だが、近頃は毎年のようにやって来る
厄除けのように言う年寄りは多いが、子どもの時はまだしも、
大きくなった今、びしょ濡れになるのは笑えない
暑すぎる夏、突然の深い霧が発生し、
ナイフや包丁が切れなくなり、銃が撃てなくなったら
それはゴリラゲウウが来る前兆だ
深い霧の中から、大勢のゴリラが「ゲウウ」を持ってやって来る
ゲウウとは、ゲウウ目ゲウウ科、動物か植物かの分類は現在論争中の生物だ
どのように成長するのか、どこに生えるのか、どこで生まれるのかも不明
ただ、ゴリラが持って来るだけだ
なまこのような形で、全体が動物の黒い毛の生えたしっぽのような見た目で、
飛び出す目が2つある
強い刺激により、低い「ゲウウッ」という音(声?)と共に
無害な冷たい水を大量に吹き出す
現れたゴリラ達は、人を物を、目に入る全てのものを、「ゲウウ」で叩く
ゴリラの腕力で思い切り叩くにも関わらず、「ゲウウ」のおかげで
子どもに当たっても全く痛くない
爽やかな気持ち良い破裂音が響き渡り、冷たい水を全身に浴びる
一発で下着までびしょ濡れになるのは必然だ
デート前、仕事中、関係なく突然ゴリラゲウウが襲って来るため、
迷惑な時もあるが、諦めるしかない
子どもたちは歓声を上げ、ゴリラの周りに集まり、親に注意され並ばされる
歓声と光る水飛沫、気持ち良い破裂音と低い「ゲウウッ」の音
厄除けにと、赤ん坊を叩いてもらう家族もいるが、
ゴリラの方が、傷つけないか遠慮しながら叩いているように見える
赤ん坊が泣くのは、おしめが濡れたからだ
ゴリラ達は「ゲウウ」を使うことに夢中だ
誤って手を振るうこともなく、
至って安全にゴリラゲウウは行われる
一通り叩き終えたら、ゴリラは霧の中へと帰って行く
霧が晴れたら、どこにもいない
どこから来たのかも分からない
アフリカに生息するゴリラ達とは別個体ということが、調べで分かった
大勢のゴリラ達が、どこから来て、どこへ帰っていくのか
あの霧は何なのか
なぜ「ゲウウ」で叩くのか
彼らゴリラにとって、何の意味があるのか
それらの質問に、現在における世界最高の頭脳を自認するオカルト研究の大家は、
「これこそ、温暖化の影響だ。
温暖化に対する、宇宙の抵抗だ。
年月が経つにつれ、ゴリラゲウウは、もっと増えていくだろう」と語った。
そういえば、私が子どもの時よりも、ゴリラの数も頻度も増えている気がする。
彼はこうも語った。
「やがて、50年に一度の頻度で、
全世界同時に数日間、いや数ヶ月、ゴリラゲウウが続く
『祭』の時期が発生するようになるだろう。
その時、人の数より多いゴリラとゲウウが、
全世界で踊り続けるだろう」と。




