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裏13話「作戦会議・その2」

「わ……いくらするんすか、ここ……」


「知らないわよ……あたしだって打ち上げでなんかでちょっと来ただけだし……」


「資本主義の匂いだ」


「恩恵受けてる側じゃん黑谷ちゃん」



 「場所を変えましょうか」と甘神ちゃんのお姉ちゃんにハイヤーに乗せられ、やってきたのは何駅か行った先の高級ホテル。


 それもパパが集まりで行くタイプのガチのやつ。


 昔来たっけな〜どうだったっけな〜、なんて考えながら私達は案内されるままラウンジへ向かった。



「今準備をさせていますから、その間にアフタヌーンティーでもいかがですか?私も食べる機会はなかったのですが、中々の評判だと伺っておりますわ」


「遠慮しなくていいですよ。お姉ちゃん財布の紐ガバガバなので」


「……え、いや……7000円……?」


「見たら負けですよ〜氷室先輩」


「っていうか、準備って何の準備よ」


「皆さん、文化祭では和メイド衣装を着られるのでしょう?その採寸を、と思いまして。無論代金はいただきません。完成品含めて、甘神家で全てご用意いたしますわ」


「って言ってますけど、大丈夫ですか?氷室先輩。図書研究部として借りとか作っちゃって」


「いや、まあ……くれるっていうならもらっちゃって大丈夫なんじゃないすかね……?」


「イツキ……あんたほんと将来気をつけなさいよ……」



 そこからはマンゴーをテーマとしたスイーツの数々をインド製かな?の高級紅茶といっしょに頂きつつ、この中じゃ一番の新参にも関わらず氷室先輩に代わって色々と話を進めていく駕籠野先輩。


 最終的には無条件の贈与から甘神家が購入し、それを貸与してもらうというまあ多分問題はないのであろうラインにまで落とし込んだ彼女はまるで一仕事終えたかのように得意げに紅茶をすすった。



「あんた達も、契約ってやつには気をつけなさいよ。紙切れ一枚で人生ぶっ壊れるんだから」


「あら、流石業界人。お詳しいのですね、マキさん」


「……何よその顔。まだ何かあるわけ?」


「ええ。正直に申し上げると……わたくし、割とどうしようもない浪費癖……いえ、浪費中毒を発症しておりまして。そこで丁度良く文化祭で成功しそうな集団を見つけたものですから、これは占星術部としても、甘神アマカとしても金を突っ込んでおかなければと思い立ったのです」


「……つまり?」


「契約どうこう、わたくしの知ったことではありません。可愛い妹の頼みでもありますし、有無を言わせずあなた方に全部押し付けますわ」


「お姉ちゃん、私一言も頼んでませんよ」


「とにかく。お礼はカフェにさり気なく占星術部のチラシでも置いてくれれば構いませんわ。これが最終決定、もし不満があるというのであれば、皆様が首を縦に振るまで札束を積み上げますわ」


「……あれ、占星術部も一枚噛ませろって言ってませんでしたっけ……?」


「あら、とてもご立派な乳をお持ちのセイさん、良い質問ですわね。わたくし甘神アマカは占星術部部長。ということは、わたくしの決定は占星術部の決定、わたくしの介入は占星術部の介入という意味を十二分に持ちますわ。ほら、占星術部も一枚噛んでいるでしょう?」



 流れるような白山くんへのセクハラ……私じゃなきゃ見逃しちゃうね。


 良かったね、白山くんがセクハラされるの割と好きな変態じゃなかったら死んでたよ今。



「チッ……芸能界といい社交界といい……どうして金持ってるやつは頭のネジ外れてんのかしら」


「作風……ですかね」


「ま黑変」


「……あら、準備が出来たようですわ。皆様アフタヌーンティーも綺麗に召し上がって頂けたようですし、採寸の方へと移動いたしましょう」



 こうして甘神先輩に圧倒的経済力で押し潰された私達は無事に甘神家……じゃなくて、占星術部から和メイド衣装の寄贈を受けることに。


 いや〜、あの気持ちすごくよく分かる。


 楽しいんだよね、金に物を言わせて人に貢ぐのって。


 そんなシンパシーを感じながらマンゴーパイの最後の一欠片を頬張り、私は先輩達の後を追って会議室の方へと向かった。



◇◇◇



「では、改めて後日デザイン案をいくつかお送りします。本日はお時間いただきありがとうございました」



 プロってすごい。


 白山くん担当の人なんかあんなに(この子すごいの持ってるわね……)ってなってたのに全く顔に出してなかった。


 信じられない。


 ほんとに人間なのかな……



「ふふっ、やはり散財は心地良いですわね。また何かご入用でしたらいつでもお呼びくださいませ」


「はいはい。とりあえず今日のとこはあんたに感謝しとくわ、アマカ」


「あら、珍しいですわね。マキさんが素直にお礼だなんて」


「あんた……あたしのことなんだと思ってんのよ」



 良かった、駕籠野先輩って氷室先輩以外にも交友関係あったんだ。


 そんなことを考えながら私は白山くんと一緒に帰りのハイヤーに乗り込んだ。



『みんなあそこのアフタヌーンティー食べたの!!!!?????』



 そんな阿須加先生のLINEが飛んできたのは、大体3時間くらいあとのことだった。

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