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裏12話「ちょっとえっちな回」

「ねえ、黑谷ちゃん」


「何?」


「……どうしてわたし達、この時期のこんな時間に学校来てるの?」



 この時期=8月上旬。


 この時間=夜の12時手前。


 なるほど、確かに学校に来るには変な時間帯だ。



「いやさ、突然真夜中の学校のプールで泳ぎたくなって」


「ああ、そういう……」


「冗談だよ。ただ、夏の内に肝試しとかもしときたいなって」


「……え、おばけ、出るの?」


「さあ、どうだろ」


「えっ、ちょっ……わたし……っていうか、警備の人とか来ちゃうんじゃ……?」


「いいから、ほら」



 校門の端の電子ロックに指を当て、トントンと何度か叩いてやると、いとも簡単に校内のセキュリティはリセットされてあっけなく校門は開く。



「行こ、白山くん」



 私は彼女の手を取り、ゆったりと夜の学校を歩き出した。



「あっはは、いいね。誰もいないって、すごい新鮮」


「ほんと……だね。先生も警備員さんもいない……って、閉鎖期間だから当たり前か……」



 吹き抜ける風はぬるくて、真っ暗な校舎を照らしてくれるのは薄い月明かりだけ。


 なんともロマンチックで、非日常。


 静かな空間は、少し緊張して、少し怖がって、少し興奮した白山くんの息遣いまで聞こえてくるみたいだった。



「……く、黑谷ちゃん……今、あそこの棚揺れなかった……?」


「さあ、どうだろ」


「どうだろって……ほら、そこの机も……」



 あ〜あ、駄目だよ白山くん。


 お化けなんて存在しないものに怯えて、そんなふうに身体べったり押し付けてきて……


 R-15もついちゃったし、えっちなリクエストも読者くんから来ちゃったし、もう肝試しどころじゃなくなっちゃうじゃん……


 私の右腕にぎゅっと抱きつく白山くんに、私は囁いた。



「あ〜あ、白山くんが怖がるから、ホントにお化け来ちゃったよ」


「え、え……うそっ……!?」


「どうする?このままだと、白山くんお化けに付きまとわれちゃうかも……」


「待って、わたし、ほんとにお化けとか怖い話みたいなの無理だから……!」



 ふふっ、こんな時の一人称も完全に「わたし」になっちゃってるんだ♡



「黑谷ちゃん、どうにか出来たりしない……?」


「ん〜……じゃあさ、よくある方法、試してみる?」


「よくある方法って……?」


「えっちなことしてると、お化けが逃げていくってやつ。どうする?」



 抱きついてきた白山くんの胸元をなぞりながら、私は問いかける。


 薄手のカーディガンの下、タンクトップの生地を引き伸ばすたわわの谷間にはぽつんと小さなほくろ。


 顔を赤くした白山くんが、ごくっとつばを呑む音が聞こえた。



「……いいよ、黑谷ちゃん」



 そう言って、腕を解いた白山くんはタンクトップの裾を捲る。


 私は彼女の口から出た言葉に甘えて、背中側の脇の下からタンクトップの中に手を入れた。



「……あれ、またおっきくなった?もしかして、自分で弄ってる?」


「んっ……ノーコメントで……」



 とても掌に収まりきりそうもない特大サイズに、弾力強めのスライムのような、程よく馴染む感触。


 相変わらず、何度触っても飽きないし、この先一生飽きそうもない。


 しばらく触ってから、少し強くすると、白山くんの息がそれに応じて少しだけ荒くなった。



「多分だけどさ、割と白山くんって貧乳派だよね?少なくとも、男の子だった時は。……ふふっ、どんな感じなの?自分のおっぱいに「#爆乳」ってタグが付いちゃいそうになるのって」


「それは……なんていうか……」


「答えられない?そっか、そうだよね。じゃあ当ててあげる。白山くんはね、嬉しいんだよ」


「っ……わたしが……嬉しい……?」


「そう。TS病に罹って、すっごく可愛くなって、身体もこんなに女の子らしくなって……今の白山くんは誰もが認めてくれる美少女なんだから。人はね、誰かから認められなきゃ生きていけない、誰かから認めてもらうのが一番嬉しく感じるように作られてるの」


「んっ……だからって……」


「可愛い顔はみんなが褒めてくれる。大きな胸はみんながお気に入りしてくれる。白山くんはね、自分の承認欲求と、自分の見た目、自分の身体で切りのない追いかけっこをしてるんだ」



 夜の教室、並んだ学習机。


 その内の一つに白山くんを座らせ、背後からそのデカパイを堪能しながら、私は彼女の耳元であま〜く囁き続ける。



「ねえ、白山くん。私とさ、ずっ〜と一緒にいよ。何百年でも、何千年でも、好きなだけ生きて、好きなだけ若いままで。白山くんの承認欲求、私がぜ〜んぶ満たしてあげる。いっぱい愛して、いっぱい捧げて、いっぱい産ませて、い〜っぱい幸せにしてあげる。どうかな?白山くん」



 おっきな胸の奥、顔を真赤にして俯く白山くんは、乳肉を揉みしだく掌越しにも分かるくらいに鼓動を早くする。



「……それ、ほんと……だよね……?」


「もちろん。私は何でも出来るんだよ?だって、「魔法使い」なんだから」


「……なら、わたし……ずっと黑谷ちゃんと一緒がいい……黑谷ちゃんのお嫁さんになって、ずっとこのままがいい、な……♡」


「いいの?こんな最低なシチュエーションで、大事な将来誓っちゃって?」


「だって……黑谷ちゃんがそうしたから……♡」



 そう言って、白山くんは自分から1枚ずつ布を剥いでいく。


 月明かり、夜風、無人の教室、止まった時計、落ちない流れ星。


 私達は口実もすっかり忘れて、満足するまで、2人きりの夜に閉じこもっていた。

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