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第39話「日本国憲法第30条」

「パチンコになるならさ、転落式よりもSTタイプの方がいいよね」


「突然何?」


「だからパチンコの話だって。転落式はユニコーンとかブルーロック、アズレン2、にゃんこ大戦争とか。STタイプはエヴァとか初代アズレン、まどマギ……あ、東京喰種もそうかな」



ファミレスで渋々補習代わりの課題をこなす……ことはなく、やな宿題はゴミ箱に捨てて分厚いハンバーグにがっつく黑谷ちゃん。


 いつも意味分かんないことを言ってる黑谷ちゃんだけど、今回に関しては別に分かんないわけではなかった。


 理由は簡単、何故か、な〜ぜ〜か、最近近所のゲーセンがどこもかしこも揃いも揃ってパチスロを導入しまくっており、黑谷ちゃんに連れ回されているわたしも必然的に詳しくなってしまったからである。



「シラヤマ君はさ、アズレン初代のLTとシンエヴァ129のLT、どっちがいい?」


「パチスロの悪魔やだな」


「パチスロは怖いイメージは全くないから「パチスロの悪魔」がいたら弱いだろうね」


「それ黑谷ちゃんだけだよ」



 わたしはため息を吐きつつ、黑谷ちゃんの顔を見る。


 ちゃんと見る度思うけど、ほんとに顔が良い。


 艶のある水色の長い髪、切れ長で二重でまつ毛バシバシで理想的なアーモンドアイ、主張控えめな唇、シャープな輪郭……


 わたしさえいなければ学年トップの美少女であったことは間違いないだろう。


 魔法抜きにして、こんな顔であんなお金持ちの家に産まれてもギャンカスにはなるんだと思うと、世は無常だ。



「そうかな?私、豪運だからさ。パチンコに限らず、あらゆるものの期待値、絶対100越えるんだ」


「前「運」って概念ないって言ってなかった?」


「うん、あれは普通に見栄張ってただけだよ。普通に上振れ下振れあるし」


「あ、そうなんだ……」


「でもね、私、そもそもが天性のスーパーラッキーガールなんだ」


「というと?」


「25%以上なら、私は好きに、都合が良い方を起こせるの」


「……魔法抜きで?」


「魔法抜きで」



 そう言って黑谷ちゃんは財布から100円玉を取り出し、わたしに「表と裏、どっちが良い?」と尋ねてくる。



「……じゃあ、裏」


「オッケー。何回出す?」


「何回って……じゃあ10回」


「良いよ。見てて」



 そう言って黑谷ちゃんは財布から100円玉10枚を取り出すと、ぱっとテーブルの上にそれをばら撒いてみせる。


 裏、裏、裏、裏、全部裏。



「……魔法じゃないんだよね?」



 尋ねると、黑谷ちゃんは「そう言ってるじゃん」と笑った。



「じゃあ、黑谷ちゃんって1回当たったらラッシュ大体続く……?」


「そんな感じかな。後は……あ、天井システムもあるよ」


「え、遊タイムのこと?」


「違う違う。もっとちゃんとしたやつ。例えば……そう、アズレン2って169でしょ?1/169って、50回以内に当たる確率は26%くらいなんだ。で、私は25%以上の確率で起こることはどうにでも出来る。つまり、私だけアズレン2の天井は50回転」


「じゃあ排出率1%のガチャは……」


「30連以内に絶対当たる。ソシャゲ無双。ぶい」


「……っていうか黑谷ちゃん、ガチの4パチ打ってるけどさ」


「あバレてる」


「……大丈夫?納税」


「…………あ」


「あ」


「……わ、私、魔法で納税無効だから……脱税系ヒロインは流石に不味いし……」


「国民の義務は果たしなよ黑谷ちゃん」

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