第38話「実質なろう系主人公」
夏休み。
有り余る時間でわたしは黑谷ちゃんと一緒に妖怪ウォッチバスターズに勤しんでいた。
「あー、異世界転生したい」
「お、ありきたりな導入だね」
「黑谷ちゃん、こういうのってありきたりだから人気あるんだよ」
「ま、それも二、三理あるか。それで、どんな感じがいいの?」
「ほら、『二刀流』みたいなカッコいいスキルがあって、異世界でチヤホヤ……は別にいいや。今されてるし」
「私は膝枕されてるけどね。天井見えないや」
「んであとは……あ、カッコいい異名がついたりとかさ」
「それでそれで?」
「ん〜、仲間集めて魔王に挑んだり!結構捻りがない奴好きなんだよね、わたし!」
「それくらい?」
「うん、それくらい」
「オッケー。んじゃ行こっか」
「……あ、ヤバ」
そうじゃん、黑谷ちゃんに言ったら──
「3、2、1、GO!!」
「だから星の夢過ぎだって」
◇◇◇
そして目が覚めると、わたしはやたらと神聖な、神殿と森のハーフみたいな空間に立っていた。
適当に歩いているとテンプレのような泉が置いてあり、その中から声が聞こえてくる。
「……の子……人の子よ……」
「うわ初めて聞くけど結構知ってる単語だ」
「この地を訪れたということは現世で為すべきことを為し終え、生を全うしたということなのですね……」
あー、やってんな黑谷ちゃん。
「あなたの死因は……あれ、あれぇ?待って、死んでない?生きてる人来ちゃった?いやでもそんなことあるはずないしな……あれぇ?……、……んんっ、人の子よ……あなたがどのような最期を迎えたか覚えていますか……?」
「それなんですけど実は……」
「へー、テンプレって感じだね」
「増えたぁ!?」
「あっ黑谷ちゃんだ」
「え、え……あれ?こっちも死んでない?生きてる人?あれ、あれれ?」
「まあ別にいいでしょ?千年だか万年だかは興味ないけど、長くやってたらそんな日もあるって」
「いや、でも……やっぱ……あれ?なんで……?」
「ほら、いいから。そんなことよりさっさと異世界転生させてよ。もしそっちの手違いならスキルとか、ジョブとかでおまけしてくれたらそれでいいから」
「あ、あ……は、はい。……んんっ、それでは人の子よ……あなた方に祝福を授けましょう……」
「ちなみに白山くんは二刀流がやりたいらしいよ。私はおまかせで良いかな」
なんでこんな女神的な存在に対してイニシアチブとってるんだろうか、黑谷ちゃん。
……あ、まさか黑谷ちゃんの方が力関係的に上……?
「……そ、それではあなたには『二刀流』と『希望のカリスマ』を授けましょう」
「なんかキャストリアみたいなのついてきた」
「『希望のカリスマ』はパーティメンバーの才能を引き出し、素質を目覚めさせることが出来るようになります……そして『二刀流』は文字通り複数の武器を同時に装備出来るようになるスキルです……あなたの場合は……」
「わたしの場合は?」
「……なるほど、「棍棒」と「投擲武器」が装備できるようですね」
「二刀流って大谷の方なんだ……」
「そしてもう一人の人の子の方は……あれ、もうスキル持ってる……?「完全適性」「神速」「慧眼」……ほんとに持ってるな……いつの間にかあげたのかな……」
こいつやってんな、マジで。
「で、白山くんどうする?ホントに異世界転生する?」
「……いや、いいかな。見積もりだけで充分。わたし、グロいの苦手だし」
「オッケー。んじゃ帰るね、誰か知らないけど」
「……?え、ちょっ、ま……」
「3、2、1、GO!!」
「あギャラクティック・ノヴァみたいな!?」
◇◇◇
「いやー、楽しかったね、異世界転生」
「大丈夫だったかな、あの女神?的な……」
「ちなみに異世界転生しそうになってたってことは異世界の方は滅亡しそうになってるってことだよ」
「え、それって……ヤバい?」
「なので解決しといた」
「わお」
「ちなみに異世界転生するルートだと白山くんはジャパンから来たサムライってことで侍ジャパンって異名で呼ばれるようになるみたい」
「やっぱり大谷じゃんそれ」
それから何事もなかったかのように3DSを開き、バスターズを再開するわたし達。
時間かかるな、と思いながらひたすらブシ王をぶん殴る作業が幕を開けた。
「あ、忘れてた」
「何?黑谷ちゃん」
「読者のみんな。どこかでデカ目の質問コーナーみたいなのをやるつもりだから感想とかに書き込んでおいてね。評価も一緒によろしく。それじゃ、ばいばーい」
「また変なこと言ってた……」




