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閑話「夢のような」

「……パパ、パパ起きて!もう朝だよ!」


「んん……タマモ……?」



 稼ぎはめちゃくちゃあるけど、その稼ぎに見合った疲れ。


 それが9割がた取れたかといういい感じのところで、私は明るい声に起こされる。


 双子の妹、タマモの方。


 私と白山くん……セイくんのちょうど中間、どちらのいいところも継いだような超絶美少女に育った彼女は無理矢理私の布団を引き剥がし、手を引っ張って私の目を覚ました。



「……何?まだ8時にもなってないけど……」


「誤魔化さないでよパパ〜、今日は上野に連れてってくれるって話じゃないの?」


「……ああ、そっか。そうだったね」


「ミコもママももう準備出来てるよ?あとはパパだけ!」


「分かった。着替えたらすぐ行くから、ちょっと待ってて」


「りょうか〜い!」



 そう言って勢いよく階段を駆け下りていくタマモ。


 私はパジャマを洗濯籠に入れ、カジュアルなハイネックとデニムに着替えてから髪をポニーテールに結んだ。



「……んぁ、パパだ。おはよ」


「おはよ、ミコ。昨日も遅かったの?」


「んん……ちょっと配信長引いちゃった。大丈夫、今日は元気いっぱい。鰻、これでもかってくらい食べるから覚悟してて、ね?」


「うん、いいよ。好きなだけ食べて。どうせママも好きなだけ食べるし」


「ちょっとパパ〜?また変なこと言ってるの?」



 メイクルームから出てきたセイくんは僅かに頬を膨らませる。


 ママになってから15年くらい経つ彼女は相変わらずの最強美少女といった感じで、娘達と並んでも見劣りしないどころか、タマモもミコもかなり背が高い方のため年下にさえ見えかねないほど。


 ちなみに2人の名前の理由は「(セイ)」と「(アメ)」から連想して「天気雨」、つまりは「狐の嫁入り」ということで「玉藻(タマモ)」と「巫女(ミコ)」。


 本人達には、数年前に「これ元ネタFateだよね?」とバレた。



「んじゃしゅっぱ〜つ!」


「お〜……!」



 昨日買っておいた菓子パンを食べ終えて車に乗り込むと、愛娘の合図で私は車のアクセルを踏み込む。


 日曜朝、比較的交通量も少なくスイスイと進む一般道。


 私は助手席のセイくんにプリッツを食べさせてもらいながら圏央道に乗った。



「パパ、今日ってどれくらいで着く?」


「ん〜、どうだろ。混んでなければ1時間ちょい、かな」


「1時間ちょい……ん、行ける、かな」


「ミコちゃんトイレ行きたそうだから急いでパパ!」


「タマモ、それ言わなくていい……!」


「もう、出る前にトイレ行きなよって言ったじゃん……パパ、頑張ってあげて♡」


「めっちゃ頑張る」


「うわ惚気てんな〜」


「さ、流石にトイレより、速度制限遵守で……!」



 そして頑張ったこと45分、不忍池近くのタイムズに車を止めて私達は上野の地に降り立った。



「で、2人はどこ行きたいんだっけ?」


「国立博物館!国立博物館行きたい!大奥フェス開催中!」


「私、老猿見る……!」


「随分変な趣味に育ったね」


「わたしとアメちゃんの娘だよ?」



 こうして華のJK2人を連れて私とセイくんは国立博物館へ。


 入場料とか諸々込みで8000円を払ってチケットを買うと、2人は大喜びで飛び出していった。



「ねえ、初めてミラコスタにつれてった時よりはしゃいでるんだけど」


「そんなもんじゃない?最近の子って大人びてるって言うし」


「大人びてるっていうか遡ってるんだよね、時」



 そして2人と別れ、私はセイくんと一緒にゆっくりと見て回る。


 初めて見たゲームの元ネタだったり、大昔に話したびじゅチューンの本物だったり、ちょっとえっちなことが書いてある手記だったり……まるであの頃を思い出すようだった。


 1時間、2時間、3時間。


 「お昼はだいぶ遅めで良かったね」なんて笑うセイくんに同意し、特別展を見終わったあたりで、二周目を終えたタマモとミコが私達に合流した。



「最高!国立博物館最高!」


「国立博物館、ばんざーい」


「ふふっ、2人とも楽しめたみたいだよ?パパ」


「うん、そうみたい。それじゃあ、そろそろご飯にしよっか」


「この黑谷ミコ、それはもう驚くくらい、お腹ペコペコ……です!」


「は〜い!黑谷タマモもで〜す!」


「そう。なら楽しみにしてて。すっごくいい鰻屋さん取ってあるから」


「う〜な〜ぎ、う〜な〜ぎ」


「あっは、ママもみたい。ほら、だったら早く行こ」



 そして私はタマモと、セイくんはミコと手を繋いで、明るい日差しの下を少し早足で歩いていった。



◇◇◇



「……って夢を見たんだけど」


「黑谷ちゃん、私も鰻食べたい」


「見境ないね白山くん」

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