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第33話「一軍女子のお悩み相談」

「き〜〜ぃ〜〜て〜〜よ〜〜せ〜〜ぇ〜〜ちゃ〜〜ん〜〜」



 某日放課後、学校から少し離れたカフェテラス。


 わたしは珍しく黑谷ちゃん以外の愚痴を聞いていた。


 彼女の名前は七夕(たなばた)アヤメ。


 F組の文字通りカーストトップに君臨する生粋の陽キャ女子であり、ひたすら顔の良さだけで人間関係を凌いでいるわたしや黑谷ちゃんとは違う圧倒的コミュ強である。


 ちなみに二度目の登場。



「彼氏がぁ……彼氏が浮気しててぇ……中学の時から付き合ってたのにぃ……」


「あ〜……あ〜……わたしあんま恋愛経験とかないから適当なこと言えないんだけど……とりあえず、御愁傷様……」


「せーちゃんの優しい言葉が沁みるよぉ……」



 わたしや黑谷ちゃんとは違うタイプの、華やかな感じの美人のアヤメちゃん。


 それがガチの涙で顔面をぐちゃぐちゃにしている。


 なんだかよくない扉を開きそうだけど、それはそれこれはこれ。


 今は彼女のメンタルケアが第一である。



「てかさ、なんでアヤメちゃん、わたしに相談してきたの?わたし達、仲悪いとは思わないけど……アヤメちゃん、もっと仲良い子いるじゃん?」


「いや〜、そうなんだけどさ?仲良すぎてもアレ、的な。ほら、あの子達優しいからさ、多分必要以上に同情してくれちゃって、めっちゃ攻撃しちゃうの。ウチは復讐でスッキリしたいってよりは……誰かに全部聞いてほしい?的な」


「あ〜、ファンネル使いたくないわけだ」


「そうそれそれ!!ほら、その点なんかせーちゃんは口かたそーじゃん?いっつもああめちゃんと一緒だし、多分けっこーな秘密共有してるっしょ?だったらウチもおこぼれで信用しちゃって良いかな〜、って!」



 茶髪の長いポニーテールを揺らしながら泣いたばっかの顔で笑うアヤメちゃん。


 こんな表情がコロコロ変わるタイプは回りには中々いなくて少し新鮮な気分になる。


 そして彼女は彼氏のどんなとこが好きだったか、どんなところが苦手だったか、自分はどう幸せだったか、みたいな中々恋する乙女がやることじゃないくらい的確な自己分析を零し終えると、何ともスッキリした顔で笑った。



「あ〜あ、や〜っと話せた!ありがと、せーちゃん!」


「ううん、聞いてただけだよ」


「それが大事なんだって!ほんとせーちゃんいい女だな〜」



 そして彼女はわたしのことを頭の上から足先までじっと眺めると、一拍置いて口を開いた。



「……せーちゃん、女の子って興味ある?」


「ぴぴー、白山くん警察だよ」


「わ、白山くん警察来ちゃった。って、そりゃそうだよね〜、女の子興味あるならとっくにあめちゃんに手ぇ出してるか〜」


「あ、えっと……それは……」


「……それとも、もうデキてる感じ?」



 いたずらっぽく笑い、問いかけてくるアヤメちゃん。


 やばい、そうだ。


 こういうのって無駄に鋭いのが相場だ。


 一瞬言葉が詰まりそうになるが、詰まったら詰まったでそれが答えになってしまう。


 どうしたもんかとめちゃくちゃ考えていると、黑谷ちゃんはわたしの手を掴んで言った。



「白山くん、私の彼女だよ」


「ぉわ〜……!」


「く、黑谷ちゃん?」


「ちなみにこのドスケベボディはもう〇〇〇して〇〇も〇〇〇〇って感じだけど」


「黑谷ちゃん?」


「だいぶ放送コード違反て感じだね、あめちゃん。……ま、これならウチが混ざっちゃ無粋って感じか〜」



 そして残ったアイスティーを呷りながらアヤメちゃんは外の景色を眺めている。


 黑谷ちゃんは一体どこから来たのかみたいなことはさておき、わたしはネイルの参考にするため彼女の爪先をこっそりと写真に収めていた。



「……あ、2人って図書研だっけ?じゃあ放課後って大体図書館いる?」


「まあ、そうだね」


「じゃ通お〜♡今は恋よりも人の恋眺めてたいって感じだし〜」


「あ、いいよ!来て来て!……なんか複雑そうだね?黑谷ちゃん」


「いや、別に……」



 こうやって目を逸らす時、だいたい黑谷ちゃんは何か隠している。


 まあそれは一旦置いといて、やりたいことは終わったらしいアヤメちゃんはわたしの分までお会計を終わらせて先に帰っていった。



「……で、黑谷ちゃんは何が嫌だったの?わたしが盗られそう、とか」


「ううん、そしたら最悪……言えないようなことするだけだから」


「じゃあ何?」


「いや……この前図書研メンバー紹介やったばっかだから、増えたら困るなって」

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