第31話「グランドキャスター黑谷ちゃん」
「ねえママ、ママって昔は男の子だったってホント?」
「うん、そうだよ。今から……25年くらい前かな。わたしね、中学卒業したタイミングでTS症かかっちゃったんだ」
「TS症って……あ、あの変な病気?」
「そう、変な病気。あと、おばあちゃんも最初はカッコいいお父さんだったんだよ。ほら、これ。中学校の卒業式の写真」
「わ、ホントだ。おばあちゃんは結構面影残ってるけど……ママ、だいぶ変わったね!……あ、でも髪とか目とか、この辺はすっごいママだ……!」
「ふふっ、懐かしいな〜。わたしTS症がきっかけで高校デビューしたんだけど、そこで同級生だったのがパパだったんだ。結構びっくりしたんだよ?入学式で突然、変わり者だけどすっごい美少女が話しかけてきたんだもん」
「知ってる知ってる!パパ、ママに一目惚れしてたんでしょ?」
「そう。そこから数ヶ月パパからの猛アタックがあったんだけど、ちゃんとこっちからも伝えないとって思ってわたしから告白したんだ」
「そこからず〜っと一緒?」
「そうだよ。大学も一緒に行って、パパが院まで行ってる間に嫁入り修行して、院出たパパと結婚して、あなた達を産んで、こうして今年で結婚15周年。タマモ達も今度の春から高校生だもんね」
「……待って、てことはウチらってデキ婚……?」
「あ、えっと……それは……なんていうか……結果論的すぎるというか……どうせ黑谷ちゃ……パパが責任とってくれるからいっかみたいな感じだったというか……」
「わ〜、ヤバ。ミコにも教えちゃお〜」
「わ、待って待って!ハーゲンダッツ分けてあげるから!」
◇◇◇
「なんか変な夢見たんだけど、黑谷ちゃんの仕業?」
「あ、バレた」
「素直なのは偉いけどさ」
「ちなみに夢は夢でも予知夢的なアレだよ」
「……聞かなかったことにしとくね。……え人に未来見せられるってこと……?黑谷ちゃん……?」
黑谷ちゃんの部屋のカーペットに横になりながら尋ねると、黑谷ちゃんは「それくらいは楽勝だけど」とさも当然かのような顔で頷いた。
「例えば?」
「ん〜、明日の小テストの内容とかでも良いし、30世紀に最後に死ぬ人間の名前とかでもいいよ」
「なんでそれが出来るのに成績がああなるの……?」
「面白くないから、かな」
「愉悦部?」
「アッハは!面目ない!」
「愉悦違いだよそれ」
愉悦部で思い出し、私はポンと手を叩いた。
「黑谷ちゃんの魔法さ、一回型月で例えてくれない?」
「型月……やっぱり「空想具現化」じゃない?……あ、でも聖杯っぽいことも出来るし……そう考えると……」
しばらく考えていた黑谷ちゃん。
そして答えが出たのか彼女は顔を上げ、そしてブルブルと首を横に振った。
「ごめん、終章のネタバレになっちゃう」
「あ、創れるんだ、異聞帯……」




