閑話「女系家族の妹ちゃんの一コマ」
春休み、兄さんが美少女になっていた。
大変だな、なんて思ってたら、数ヶ月後には父さんも美少女になっていた。
例えるなら……そうだな、兄さんは髪を黒く染めた松坂さとうって感じで、父さんは……ああ、モルガン陛下とトネリコを足して2で割ったような、ちょっと陛下寄りって感じ。
要はどっちもかなりの美少女で、これがわざわざ十数年、父さんに至っては40年以上も男をやっていたのかと思うとかなりもったいない。
……にしても……アタシが、どんだけ豆乳飲んでたと……
って、そんなのはどうでもよくて、今日は父さんが検査だかなんだかで大阪の方に戻ってくる日。
アタシは母さんと一緒に空港の方へ父さんを迎えに来ていた。
「……っていうか、母さんは大丈夫なの?愛する息子も旦那も美少女になっちゃったわけだけど笑」
「まあ。私が困っているように見えますか?」
「……むしろ楽しそ。なんで?」
「なんで……そう、ですね。強いて言えば、私が両刀だからでしょうか?」
「……は?」
「驚くことではありませんよ。ただ男の人と同様に可愛らしい女の子にも性的な興奮を抱ける、というだけです。思い出すだけで涎が溢れてしまいますね、カイトさんが初めて女の子になったあの朝……」
「母さん、ストップで」
「一から私が女の子の〇〇〇〇を教えてあげたんです。カイトさんの〇〇を〇〇して、それから〇〇〇──」
「ストップ、ストップ」
「まあ」
そして母さんをなだめて10分するとお目当ての飛行機が到着し、ぞろぞろと乗客達が降りてくる。
その中には仕事用のリュックを背負った彼……彼?
うん、一応彼も混ざっていた。
「……あ!ただいま、アカリ、アオ」
「おかえりなさい、カイトさん」
「あれ、兄さんは?」
「セイは部活の親睦会だよ。キャンプに行ってるみたいだ」
「へ〜。あれ、父さん今回は2泊だっけ」
「ああ。明日の検査は日帰りみたいだけど、せっかくこっちに来たんだしお世話になるよ」
「ええ。ゆっくりしていってください。もちろん、私としてはあまり寝かせるつもりはないのですが……」
お盛んだなぁ。
娘の前でそんな話すんな馬鹿。
「2人とも、お昼はもう済ませたかい?もしまだなら空港で何か食べてから帰ろう」
「良いですね。私はすき焼きが食べたいです」
「アタシもさんせ〜」
「……ああ、そうでした。カイトさん、セイの調子はいかがですか?私の見立てではそろそろかなぁ、といったところなのですが」
「セイも元気だよ。この頃はますますオシャレなんか楽しんでるみたいだ。もうすっかりTSにも慣れてて羨ましいよ」
「そうですか。それは何よりです」
そう言って、母さんはまた悪い笑みを浮かべた。




