第27話「ゆるい▽キャンプ(その1)」
「……あら、来た来た!黑谷さんに白山さん、おはよう!」
「おはようございます、阿須加先生」
「おはようございま〜す!」
親睦会的なことをしたいという阿須加先生の提案で、今日は静岡、富士山の麓の方へキャンプへ行くことに。
朝8時集合ということで7時45分、学校近くのコンビニに到着すると新し目のアルファードが停まっていて、運転席の窓を開けた先生は俺達へひらひらと手を振る。
こっちも手を振り返し、彼女の下へと駆け寄った。
「2人とも元気そうね。今日は暑くなるそうだから、今のうちに飲み物とか買っておくのよ」
「は〜い!あ、わたしのとこと、あと黑谷ちゃんの両親からの手土産あるので後ろ積んどきますね!」
「あら、ありがとう」
「おや。おはようございます、お二方」
「甘神ちゃんだ。おはよ」
「朝から唐揚げ棒に炭酸か〜」
「ええ。せっかくのイベントごと、身体の内部から点火していかなければ損ですので」
そう言って揚げ物をコーラで流し込む甘神ちゃん。
ポテトもあるしメニューだけ見るとアメリカンデブという感じだが、本人はスラッとした美少女体型。
「ダイエットは得意ですので」とドヤ顔するその後ろには少し駆け足の人影が2つあった。
「ぎりセーフ……皆さんおはようございます」
「イツキ……あんた自分が足速いこと忘れないでよ……!」
オーバーサイズのTシャツにホットパンツという相変わらずの性別不明ファッションに身を包んだ氷室先輩と、少し息切れしながらその後をついてきたNoMAちゃん先輩。
というか男子高校生が麦わら帽子被ってこんな儚げになることあるんだ……
「駕籠野先輩サングラスにマスクとか不審者みたいですね」
「本当ですね。夜道で見かけたら何らかの事件性を疑いますが」
「違うわよ!あたし一応有名人なの!朝っぱらとはいえバレたら大変なんだから!この終末だって運良くバラシになったからいいものの……騒ぎになったら台無しじゃない!」
「……黑谷ちゃんやった?」
「やった」
「ほんと何でもありだね」
そして「親が使ってなかったから借りてきた」とホームベーカリーのような理由で動員された阿須加家のアルファードの三列目に乗り込む俺と黑谷ちゃん。
助手席には1.5Lのコーラを開けている甘神ちゃんが、2列目にはいつも通りの氷室先輩とだいぶはりきり気味なNoMAちゃん先輩が座り準備完了。
塩味たっぷりのポテトを甘神ちゃんに食べさせてもらってから、阿須加先生はエンジンを入れた。
「阿須加さん、今日、どんなルートで行くんすか?」
「そうね……横浜から高速乗って東名かしら。海老名とか、足柄とかもあるし」
「良いじゃない、サービスエリア!海老名とかロケで行った時もすっごく美味しかったもの!」
「は〜い!わたしもさんせ〜!」
「それじゃあこれで決定。出発するわよ、シートベルトは忘れないでね」
◇◇◇
「うわ、やば……カレーパンのエビフライうっま……」
「でしょ?名物のメロンパンもすっごく美味しいんだから!……半分、あげてもいいけど……」
「マジで?だったらこれ、カレーパン半分と交換で」
「えっ!?……あ、ありがと……」
「ラブコメだなぁ」
「黑谷ちゃん、これ。カルビー」
こうして俺達は海老名サービスエリアを満喫し、
◇◇◇
「先生、先生、私足湯カフェを所望致します」
「あら、いいわね、足湯カフェ。ぜんざい食べる?甘神さん」
「ごちそうさまです、先生」
「黑谷ちゃん、やけに飲み慣れてるね、抹茶」
「中学茶道部だから」
「マジ?」
「マジ」
「逆じゃないそれ?」
足柄サービスエリアを満喫し
◇◇◇
「空気おいしーーーーっ!!!」
無事に富士山の麓のオートキャンプ場に到着。
真っ先に降りたNoMAちゃん先輩はビルの影一つない広い青空の下で息を大きく吸い、満面の笑みで芝生に寝転がる。
「みんな〜、荷物下ろすから手伝ってもらえる?」
こうして俺達の一泊二日の親睦会が幕を開けた。




