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第22話「倫理観ガール」

「……黑谷ちゃんってさ」


「うん、何?」


「不真面目だよね」


「ん〜、まあね」



 私が歴史の宿題をやっている間、ずっと隣でコントローラーをカチャカチャしてる黑谷ちゃん。


 何かと思ってディスプレイを見ると、彼女は自らのSwitchで堂々とバニーガーデンに勤しんでいた。


 ここ俺の部屋なんだけどな……



「おっぱいはいいね。おっぱいは心を潤してくれる。人間の生み出した肉体の極みだよ。そう感じないか?白山セイ君」


「フル詠唱やめなって」


「……あれこれ白山くんの方がデカ」


「流石にそれはないよ?……で、黑谷ちゃんはもう宿題やったの?」


「うん。もう《《出したことになってるから》》」



 何言ってんだろ黑谷ちゃん。



「……あ、待って。今の傍点ナシで。西尾維新みたいになっちゃう」


「ファンに怒られるよそれ。……で、黑谷ちゃん歴史嫌い?」


「なんか……数万年どうでもいいことやってるなぁ、って」


「全部どうにでも出来る人間が言うと説得力違うや」


「宿題より楽しいことなんてこの世界無限にあるしね」


「実は宿題の価値って楽しいかどうかじゃないんだよ黑谷ちゃん」



 そうは言っても正直今の自分が惰性で勉強してしまっているというのもまた事実。


 高校受験が終わってから勉強の目標を見失ってしまっている感じもなくはない、というかこれもだいたい事実。


 正直美少女になってなかったらあまりにも味気ない高校生活を送っていた可能性は非常に高い。



「じゃあさ、想像してみようよ。普通の男子高校生と、美少女にセクハラされる美少女、どっちが良いかさ」


「そりゃ美少女……っていうか、セクハラの自覚あったんだ」


「私としては純愛なんだけどね」


「正気の沙汰じゃないよそれ」



 にしても不思議。


 黑谷ちゃん、喋ってる限りじゃむしろ天才肌というか、圧倒的に才能がある側なのにどうしてこうもこんな感じなんだろうか。


 少し考えた後、俺は一問一答を読み上げた。



「諸葛亮孔明が没し」


「五丈原」


「大乗仏教」


「ナーガールジュナ」


「タイ人の」


「スコータイ」


「ねえ黑谷ちゃん歴史嫌いなんだよね?」


「何でもは知ってるわよ」


「西尾維新でイキるな」



 相変わらずコントローラーカチャカチャしながらもすらすら答えていく黑谷ちゃんに改めて「全知全能」の破壊力を見せつけられる俺。


 こうなってくると気になるのはどうしてこれがあんなにテストで惨敗していたのかということだが、尋ねると彼女は案外あっさりとした回答を提出した。



「だってさ、良くないじゃん。テストで不正行為って」


「その認識あったんだ、黑谷ちゃん」

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