裏6話「走れ白山くん」
あ、メロスには全く関係ないよ。
「黑谷ちゃん、明日ランニング行かない?」
突如、白山くんがそんなことを言い出した。
二つ返事で頷いたということはさておき、白山くんは熱心なインドア派。
どうしてそんなことを言い出したのだろうと少し考え、私はぽんと手を叩き、それから白山くんのデカケツをもにゅんと揉んだ。
「ひゃあっっ!?」
「随分可愛く鳴くようになったね、白山くん」
「いやそうじゃなくて!!ほんとにダメなんだよそれは!!」
「R-15つけないとってこと?」
「何の話をしてるの黑谷ちゃん!?」
「……で、太ったよね?白山くん」
「……」
私が尋ねると、巧妙に目が合わないように視線を逸らす白山くん。
あっち向いてホイみたいに指を動かし、白山くんにこっちを見てもらって目を合わせた。
すると顔を僅かに赤くしながら俯いた。
「やっぱりさ、おしりおっきくなってるよね?」
「……なってる」
「だから?」
「だから」
「……仕方ないなぁ。私的には安産型で全然ありなんだけど」
「今変なこと言った?」
「言った」
「認めないでよ、それ」
◇◇◇
ということで翌日日曜日。
私は白山くん、あと白山のパパと合流し、数km先のスポーツ公園へ向けて軽く走っていた。
「突然混ぜてもらってすまない。感謝するよ、黑谷さん」
「いえ、全然大丈夫ですよ」
「ありがとう。一度若返ってみて分かったんだ。……身体って、すぐ劣化するんだって」
「わー、説得力」
「お礼と言ってはなんだけど、スポーツ公園の近くに美味しいモーニングを出す喫茶店があってね。よかったらどうだい?あずきトーストが絶品なんだ」
「へえ、いいですね」
「うん、じゃあそうしようか」
「……まって、ふたり、はやい……?」
「白山くんが遅いんだよ」
「ペース上げてもいいんじゃないか?セイ」
「かんたんにいうな……ほんとに……」
そして30分ほど走り、目的地のスポーツ公園に無事到着。
私達は軽く汗を拭いた後、例の喫茶店へ入る。
店内は結構新し目で、同じように公園で運動しに来たらしい客で賑わっていた。
「3名様ですね、こちらへどうぞ!」
バイトの子に席に通され、私達はメニュー表を覗き込む。
目玉のモーニングセット(あずき)があずきトースト、ハムエッグ、サラダ、フルーツヨーグルトで500円とのことで、私達の注文はこれを3つと、白山くんのパパがレモンティー、私と白山くんがクリームソーダ。
やっぱ人気のセットは手慣れてるのか、バイトの子がキッチンに行ってから5分もしない内に運ばれてきた。
「そう言えばいいの?白山くん。これ、消費カロリーよりも多いよ?」
「しゃーない。我慢は美容の天敵だから」
「それホント?」
「知らない」
「勢いだけで話し過ぎだよ」
「すまない、ぼ……私もクリームソーダを追加で」
「かしこまりました!」
「……あ、待って。この後ゲリラ豪雨来るっぽい」
「そうか……でも折角だ。屋内で遊べる場所に行こう」
「屋内……ボウリングとか?」
「いいね。私大賛成」
「分かった。じゃあ食べ終わったら行こうか」
そして私は、運ばれてきたあずきトーストを頬張った。
……あ、白山くんは都合の良いところに肉がついて、都合の悪い部分の脂肪が減って、結果的にプラマイゼロになったらしい。
すごいね、美少女って。




