第15話「ゆかいなパーティゲーム」
「そういえば私甘神アマミ、本日このようなものをご用意しておりました」
やたらと馴染んでいる甘神ちゃん込みでいつものように部室で戯れていた俺達だったが、賭ケグルイの回し読みをしている最中、ふと思い出したように甘神ちゃんは鞄から小さめのカードケースを取り出した。
「あれ、なにこれ?甘神ちゃん」
「自作のボードゲームです。引いたカードを組み合わせてSNSを作ろう、という内容なのですが」
「へぇ、ちょっと面白そうだね。タイトルは?」
「お姉ちゃんに『ミスターX』と名付けてもらいました」
「思想、強くないすか……?」
「まあそのようなことを気にしていては人生面白くないというもの。習うより慣れよということで早速始めましょう」
そう言って5種類の山札を並べる甘神ちゃん。
1つ目が「ターゲット層」、2つ目が「メインコンテンツ」、3つ目が「雰囲気」、4つ目が「ボーナス」、5つ目が「ご時世」。
どうやらこれらのカードを組み合わせてユーザー数、民度という2つのステータスを元に蠱毒を行い、最後に残ったSNSが勝ちというデスゲーム系ボードゲームらしい。
例として彼女が1枚ずつカードを捲ると、出てきたのはユーザー数5、民度2の「子供向け」ユーザー数3、民度4の「動画」ユーザー数2、民度5の「真面目」の3つ。
どうやら「子供向け」と「真面目」が揃うと「学習サイト」コンボが発動するらしく、その効果でさらに甘神ちゃんはボーナス山札の中を見る。
「ではボーナスから「大流行の替え歌」を選び、場の「子供向け」の民度を-1する代わりにユーザー数を+3します。あ、このSNSの名前は「子供挑戦」と致します」
「エセ中国語すぎない?」
「えっと、これで……ユーザー数12、民度11のSNSが出来たってこと?」
「いえ、全てのプレイヤーの効果を解決してから数字を確定いたしますので。それでは黑谷ちゃん、あなたもどうぞ」
「ふふっ、いいね。面白そう」
そして黑谷ちゃんが捲ったのはユーザー数4、民度3の「若年層」、ユーザー数3、民度4の「動画」、ユーザー数4、民度3の「サブカルチャー」の3つ。
甘神ちゃんはわずかに目を見開くと「流石でございます」と拍手した。
「こちら、3枚固定のレア役となる「流れるコメント」となっていまして、ボーナスを1枚使用できる上に自分のユーザー数、民度に+1の補正が掛かります」
「黑谷ちゃん、名前どうするの?」
「ニヤニヤ動画」
「即答っすね」
そして黑谷ちゃんが選んだボーナスカードは「ネットミームの濁流」、効果は場で被っているカードは被っている枚数分、ユーザー数か民度のうち高い方が上がるというもの。
ついでにボーナスカードの効果は全員に適応されるらしい。
「んじゃわたしは〜……お、「女性向け」「文章」「サブカルチャー」」
「おや、白山ちゃんも3枚コンボですね。「夢小説」が発動されますので、ユーザー数を半分にする代わりに民度を倍に出来ます。あ、ボーナスはありませんが」
「そんな民度高いかな?」
「黑谷さん流石にそこ敵にするのはヤバいっす……って、自分の番っすね」
「……おや、「女性向け」「動画」「真面目」……残念ながら役無しですね。ですがネットミームの効果はフルで乗りますのでチャンスは充分ですよ」
そして全員のSNS、「ベネッス」「ニヤニヤ動画」「占星術ツクール」「おとなちゃれんじ」が出揃い、甘神ちゃんは5つ目の山札「ご時世」を捲る。
俺達は固唾を呑んでそれを見守っていた。
「……ご時世「世紀末」。「ユーザー数」-「民度」が最も高い方が勝者となります」
「え、夢小説超不利じゃん!?」
「えっと、「女性向け」が3-4だから……うわ、自分もそこそこ痛いっすね」
「うわ、私も……っていうか動画サイトってそんな民度高くないって」
「ちなみに私、大流行の替え歌によって合計4の爆アドでございます。ぴーす」
そう真顔ダブルピースした後、甘神ちゃんは、こほん、と軽く咳払いをし「しかし、まだここで終わりではございません」と話を続けた。
「続きまして後半ラウンド、プレイヤーは「ターゲット層」「メインコンテンツ」「雰囲気」のうち、いずれかの山札から2つ選び、1枚ずつ追加で引くことが出来ます。もちろんそれは自由に場に出したSNSのパーツと入れ替えていただいて構いませんし、入れ替えないのも自由でございます」
「強化タイム、ってことすか?」
「はい。それも一周しましたら、今度こそルールに基づいて順位付けが行われ、最下位が脱落となります。そして、脱落となった方は自分のパーツを持っていずれかのプレイヤーの仲間となることが出来ます」
「あ〜、現実で言う買収みたいなやつか〜」
「そういうことです。これを繰り返し、最後に残る最強のSNSを決める、それが『ミスターX』というボードゲームの概要になります。ご理解いただけましたか?」
甘神ちゃんの問いかけに、俺も黑谷ちゃんも氷室先輩もこくりと頷く。
「それでは、改めてゲーム再開といたしましょう」




