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王の没落

珍しく鷹鬼不在。

あいつも休むことあんのかと呑気に構えていたが。

「おっ今日鷹鬼休んでんのかな。」

朝学校へ行ってみると毎朝ある鷹鬼の姿がない。

いつも俺が着く頃にはあいつは席に座り静かに本を読んでいる。

鷹鬼いないなら今日は1日暇になりそうだ。

などと考えながら欠伸をしていると教室の扉が勢いよく開けられる。

ーーガラッ!開けられると同時に怒鳴り声。

「久里鬼ぃ!」

えぇ…松浦だ…1度勝ったとは言えあの筋肉は怖い。

「何だよ朝から。筋肉と元気モリモリじゃん」

「ふざけてる場合じゃねえぞ!鷹鬼の事聞いたか?」

「ん?鷹鬼今日休みだぞ多分。今いないし」

「違うって!鷹鬼…菅野の下っ端に囲まれてやられたらしいぞ!」

「は?あいつが下っ端にやられる訳ないだろ」

「詳しくは知らねえけどいきなり後ろからやられて後は囲まれて…らしいぞ」

…嘘だろ?そんなんありなのか?

菅野…絶対に潰してやる…

「ちょっくら殺してくるわ」

「1人じゃ無理だろ!よせって!」

「うるせえな。邪魔するならお前から殺すぞ」

初めて見せる激高した俺を前に松浦は動けない。



ー3年校舎

「菅野ぉ!いんだろ出てこいやぁ!」

「おいおいちょっとばかし有名だからって1年がのぼせ上がってんじゃねえぞ?」

「うるせえその他共に用はねえ」

その言葉を皮切りに3年達が廊下を塞ぐようにぞろぞろ出てくる。

「邪魔。」

顎を打ち抜く。白目を剥きその場で崩れる。

俺を抑えこもうと腕に組み付く。そいつをそのまま腕ごと壁に叩きつける。

走ってこっちに向かってくるやつがいる。タイミングを合わせ顔面にハイキック。

一撃粉砕していくが流石に数が多すぎる。

殴られ蹴られ口の中から鉄の味がする。

それでも止まらない。止まれないんだ。

傷を負いながらも叫ぶ。「道を開けろ!」

傷も滴る血も増えていくが転がっていく3年も増えていく。気づいた時には向かってくるやつはいなくなっていた。

とうとう辿り着いた。菅野がいる。

奴は腕を組み余裕の表情を浮かべている。


「……鷹鬼をやったのは、てめぇだな」


「だからどうした? 一年の分際で俺に勝てると思ってんのか?」


「勝てるかどうかじゃねえ!勝つんだよ!」


怒りのまま全力で菅野に拳を叩き込む。

菅野の体が宙に浮きそのまま壁まで吹き飛ぶ。

「後ろから襲って勝った気になってんじゃねえぞ?鷹鬼は俺より強い男だ。俺にも勝てない奴が鷹鬼に勝てる訳ないだろ!」

王が一撃で沈んだ衝撃的な出来事。

立ち去る俺を止めようとできる奴はいなかった。



ー病院。

ベッドに横たわる鷹鬼の横に立つ。


「……菅野、沈めてきた」


鷹鬼は薄く目を開け、かすかに笑った。

「……相変わらず、豪快だな」


言葉はそれだけだった。

だがその沈黙に、互いの信頼と絆が確かに刻まれていた。

菅野を沈める事ができたが組織の数の暴力の

恐ろしさを知った日でもあった。

これから俺らを襲う暴力の始まりでもあった。

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